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拳聖ユパン

第51部分 拳聖ユパン


俺たちは、拳聖ユパンと思われるお婆さんに近づいて行くことにした。

”目利き”お婆さんを鑑定する。

”ユパン ヒューム 女 拳聖 LV60  年齢376歳”

これは、本物だ。年齢376歳って仙人かよ。最上級職でのLV60は凄いな。アレックスが手合わせして勝てる相手では無い。


「こんにちは、初めまして冒険者のミチルと言う者です」

「ほう、こんな所に住むババアになんの用かね」と拳聖ユパン、

「拳聖ユパン様がこちらにお住まいとか、お婆様が拳聖ユパン様ですよね?」

「そうか、ユパンと知っていての訪問か、久しぶりじゃのう」

「はい、こちらのアレックスについて、拳聖へのクラスアップにご協力いただけないかとお願いに伺いました」

「そうか、そっちのアレックスとやらが拳聖にな。どうやら拳聖になるアンロック条件を知っているようだが、そちらのアレックスでは、わしには勝てんぞ、あきらめろ」

「拳聖ユパン様、アンロック条件は拳聖と手合わせし、拳聖に”参った”と言わせると言うのが条件のはずです。そこをなんとかご協力いたけないでしょうか?、こちらお土産です」と俺、手に持っていた”銘菓「蜂蜜落雁」”を手渡した。

「おっ、これは蜂蜜落雁ではないか!わしの好物まで知っているとは、ただ者では無いな」”銘菓「蜂蜜落雁」”の効果は有ったようだ。

「まあ良い、分かった。手合わせだけで殺し合いをするわけでもないからのう。では早速、こぶしで語りあうか、アレックスとやら、そこの平坦な空き地でやろうぞ」

「はい、よろしくお願いします」とアレックス、

「わしを、ババアと思ってると痛い目に合うぞ、本気でかかってこい」とユパン、手のひらを前に突きだし、”クイクイ”とアレックスを手招きした。

俺とユリは少し離れたところから観戦することにした。

「では、まいります」とアレックス、猛ダッシュをするとユパンに殴りかかった。

”ガシッ”とユパンが腕でブロックする。次にアレックスは右足でキックする。ユパンはそれを手のひらでブロックした。

「ふむ、我流かな、攻撃が荒い」とユパン、

アレックスは次々に攻撃を繰り出したが、全部ブロックされている。

ありゃダメだ全く刃が立たない、手合わせどころか師匠が弟子に武術を教えているように見える。ユパンは全く攻撃をしていない。

アレックスが疲れてきたようだ、拳も傷めているように見えた。


「お前の実力はその程度か、その腕前で拳聖に挑戦とは100年早いわ、出直せ小娘」とユパン、

「まだです、フン」とアレックス、ユパンにまた攻撃を始めた。だが、アレックスの攻撃はユパンにまた全部ブロックされてしまう。

「アレックスとやら、お主のこぶしには怒りがあふれとるのう、初対面の私になんの恨みがあるんじゃ」とユパン、その間もアレックスはユパンを攻撃し続ける。

「”バシン”ほれ、また怒りがこもっておる」ユパンはブロックしながら、アレックスに語りかける。

「なんの怒りかのう、自分の生まれか?、それとも今までの人生か?、それとも自分が何に怒っているのかも分からないことに怒っておるのかのう?くだらぬと思わぬか、怒りで体が動かん、頭も回らん、心は閉ざしたまま、まだ若いのにもったいないのう。そんな事すら自ら乗り越えられずして武術で強うなろうとは、それがお主の弱さよ」とユパン、

「そんな事は関係ない”シュ”」アレックスが右の正拳突きをユパンに繰り出した。

「”バシッ”」ユパンがアレックスの拳を左手で掴むと、そのまま離さない。

「くっ、離せ!」とアレックス、ユパンの左手を離そうと、右手を揺する。

「それが、関係あるのだよ”パッシン”」とユパンがアレックスの右手を持ったまま、左手の手のひらでアレックスの胸を軽く押したように見えた。

すると、アレックスが後ろに吹っ飛び、地面にゴロゴロっと転がると動かなくなった。

あっ、アレックス大丈夫か。と思ったら、アレックスが自分の右手で自分の心臓のあたりを”ドン”と叩いた。

「ほう、根性だけはあるようだ、自ら心臓を動かしたか」とユパン、

「もう止めだな、ここまでだ。全くわしの相手にならんことは分かったろう帰れ」とユパン、アレックスと俺を交互に見ながら言ってきた。

その時、

「拳聖ユパン殿、参りました。どうぞ私を弟子にしてください」とアレックスが土下座をした。

あれ、そう言う流れだっけと思った。

「わしはそう言う面倒なこととはもう関わらんことにしておる。諦めてくれ」とユパン、

「拳聖ユパン様、弟子とは言わず、私となんらかの取引をしてその替わりに1ヶ月間だけアレックスに武術を教えてもらえないでしょうか、そして再度お手合わせしていただきたく、なにとぞお願いします」と俺、

俺からもお願いした。

「うーん、まあそれくらいなら良いか、わしの拳法を教えてやっても良いぞ。取引はそちらの魔道士がテレフィールドをつかえるようだから、何カ所か転送してもらいたい場所がある」とユパン、

「ありがとうございます、ではアレックスは通いにしますか、住み込みでよいでしょうか?」と俺、

「住み込みでも良いが、食事の準備とか面倒じゃな。ワシがそちらの家に行くのはどうか?」とユパン、

「はい?、えーそうですね、問題ございません」と俺、

「うんうん、では準備してくる少々待たれよ」とユパン、

なんか攻略ノートと違う展開だな。ここで修行することになっていた気がする。

「お待たせした、では参ろう」

「はい、では”テレフィールド”」ユリが家にテレポートした。


家に戻り、他の仲間に事情を説明し、拳聖ユパンを部屋に案内した。

マーベリックの部屋が空いていたはずだな。ドアを開けると、少し汚れている。

”クリーニング”と俺のスキルで部屋を掃除し、ベッド綺麗にした。

こちらの部屋でお願いします。トイレとお風呂は1Fです。

「ほう、冒険者にしてはなかなかの屋敷にすんでおるな、もしかしてミチル殿は貴族の出か?」

「いえ、違います。平民です。荷物を置きましたら、下に来てください、みんなに紹介します」と行ってドアを閉めた。

「ミチル、アレックスが拳聖の元で修行するんじゃないんだな」とベン、

「そうだ、なぜかこうなった。拳聖ユパン様は1ヶ月間アレックスの修行中ここで暮らすことになった、よろしく頼む」

と話しているとユパンが降りてきた。お婆さんなのに素早いな。

「ミチルどの、紹介を頼む」とユパン、

「みんな、キッチンに集まってくれ」と俺、

キッチンではジーナが一人で夕食の準備をしていた。もうミミンからの引き継ぎは終わったようだ。


「みんな聞いてくれ、アレックスを1ヶ月間訓練していただくことになった、拳聖ユパン様だ、俺たちの大先輩であり、大変お強い方である。みんなよろしく頼む」と俺、

「ユパンじゃ、よろしくな。1ヶ月の間じゃが同じ飯を食べる仲間として迎えてほしい、よろしくお願いする」とユパン、

気さくだな、なんとなくこれは良い人物と知り合いになれた気がした。

「では、時間も無い、アレックス早速修行じゃ」とユパン、アレックスを庭に連れ出すと、

なにか教え始めた。どうやら足のさばき方のようだ。見本を見せている、うおっ素速い。

「なんだあれ、見たこと無い速さだな」とベン、

「ベン、あの婆さん400歳近いらしい、達人なんてもんじゃ無い、言わば仙人だ。近くで聞くだけなら良いんじゃ無いか」と俺が言うと、

「チョット見てくる」とベン、アレックスの近くに行くと、一緒に講義を聴いているようだ。

あっ一緒にやり始めた。うまいことやったなあいつ。拳聖ユパン様に教わることは武人として、とてもラッキーなことだろう。

ユパンが高速で移動する時、若干地から浮いている気がするのは俺の目の錯覚なのだろうか、それともあの獣のような足さばきに秘密があるのだろうか。


そうだ、ミミンのところと、男爵のところに”銘菓「蜂蜜落雁」”を届けようと思っていたんだ。

男爵の屋敷に行き、男爵が留守なので、クーランラ嬢に”銘菓「蜂蜜落雁」”を渡す。

「ミチル殿、最近屋敷にあまり来ませんのね。今度、私も魔獣狩りに連れて行ってくださいませんか?」とクーランラ嬢、

「そうですね、良いですよ。」

「では近々お願いします。ローレルマインヤーにも話をしておきます」

「では、また」と早々に屋敷から引き上げた。

石鹸店に行くと、ミミンとマーベリックが露天で忙しそうに働いていた。ルミナは工場でなにか作っている。

掃除をしていたパンクにお菓子を渡し、みんなで食べるように言うと帰ってきた。


「お食事の準備ができましたー、みなさーん、お食事です」とジーナの声だ。

庭に行き、ユパン、ベン、アレックスに食事を知らせる。

「ドラゴンのステーキと、野菜サラダです」とジーナ、

ユパンは肉とか食べるのかな?と見ていたら、普通に美味いうまいと言いながら食べていた。食事は普通のようだ。

「ジーナ、これデザートだ。”銘菓「蜂蜜落雁」”と言う物らしい」と言うと、

「あの勇者も食べたと言う、伝説のお菓子ですね」とスザンナ、

へえ、そうなんだ。

蜂蜜落雁はちみつらくがんを食べて見る。

「ほう、これは上手いな。とても上品な甘みだ。蜂蜜と砂糖のベストな配分、それになんだろうこの香ばしい香り、サクサクとした食感が心地よい。これは手間がかかっているお菓子だ。お茶とよく合う」

「こんなに美味しいお菓子は初めて食べました」とジーナ、

デザートも食べ終え食事が終わると、ユパンはその後、俺が風呂を沸かす所を見学し、風呂に入り。女どもとキッチンでギャーギャーと話をし、暗くなってしばらくするとすぐに寝たようだ。

自然体の人だなと感じた。


「スザンナ、どうだ調子は?」と俺、

「大体の範囲は勉強し終えました、もう一度復習しています。あと2日ですから」

とスザンナ、

「あと2日か、からだ壊すなよ」

「分かりました」

「あのお婆さんすごいですね。昔の話なんかすごく詳しいです。200年前の魔王討伐の話とかすごいですよ」

「へえ、魔王討伐とかに関わったのかな」と俺、

「魔王に戦いを挑んだら強かったので逃げたらしいです」

「えっ、逃げたんだ」

「その後、勇者と一緒に協力して魔王を倒したみたいですね」ほう、そうなのか。

元勇者の仲間か、なるほどどおりで強いハズだな。

もしかして、聖剣のこともなにか知っているかも知れない。

明日、聞いてみることにしよう。


アレックスとユパンは早朝から訓練をしている。スザンナとアレックスに留守番を頼むと、俺たちはユリと、ジーナのレベルアップの為に魔獣狩りに出かけることにした。

ユリのレベルアップについて怠けないでいこうと心に決めているからだ。CランクやBランクの魔獣を30匹ほど昼飯抜きで狩り、冒険者ギルドで素材を売り、家に帰ってきた。

ジーナも今日でレベル20となりもう十分の強さだ、母に教わったと言う、縦横無尽なムチさばきは名人級の腕前で、力も強く、そこれへんの冒険者では相手にならないほどに強くなった。

「ジーナ、明日から魔獣狩りはしなくて良いな。ミミン石鹸店の仕事も覚えてくれ、俺たちの重要な資金源だし、戦えない仲間の生業でもある。それにジーナは美人だから、化粧水を売るとみんな買ってくれるだろうしな」と俺、

「フフフ、そうですかミチル先生と戦えなくなるのはさびしいですが、石鹸店の仕事も頑張ります」とジーナ、

居間に入るとアレックスが疲れて座っていた、

「アレックス、直そう”マルチリペア”」とスキルを使い、アレックスの体の痛みを取ってやった。少し怪我もしていたな。ボックスからポーションを3本取り出すと、

「アレックス、これでも飲め」と言ってポーションを1本飲ませた。2本は明日飲めば良い。

「どうだ強くなれそうか?」

「ミチル、私はとんでもないお方から武術を教わっているのかもしれないな、師匠の強さは全く底が見えん」

「拳聖ユパン様だが、俺が見る限りヒュームなのに400歳近い年齢だ、人の強さを突き抜けている仙人のような方なんだ、そのようなお方から教えてもらえることに感謝しよう。そして訓練が終わって再度手合わせしてもおそらくアレックスは勝てないだろう。次元が違う強さだからそれは俺もあきらめている。

 でも、拳聖ユパン様に拳聖の実力ありか無しかの判定をしてくれるんじゃないかと思う、その時なるべく善戦できるように頑張ってみようじゃないか、仮にダメでも相当に価値のあるものを学べていると思う」と俺、

「そうだな、師匠と恥ずかしくない手合わせができるように頑張るよ」とアレックス、

 この訓練を始めてからアレックスの表情が穏やかな気がする、ユパンは武術が強いだけでなく、人物として尊敬できる方だ、アレックスはきっとそこから何かを学んだに違いない。

体も筋肉ガチガチだったのに、少し小さくシャープになった気がする。まさかこんな短時間で無駄な筋肉が無くなったのか。

時々瞑想をしていたりもしてガサツな感じが取れた。まあ、ユパンに任せておけば、大丈夫だろう。

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