グレン皇帝
第44部分 グレン皇帝
男爵邸の書斎の前まで来た。一応、ベンには付いて来てもらっている。
「この中に父と、グレン皇帝がいらっしゃいます。礼儀にはお気を付けください」
とクーランラ嬢、
「ミチル、挨拶するときは右膝を床に付けろ」とベン、
まあどうにかなるだろ。
”トントン”ノックをした。
「失礼します。ミチルです。いま参りました」 と俺、
「ミチル殿、入られよ」と男爵の声、
部屋の中には、男爵の他に、黒に金色の刺繍の入った魔法使いのような格好をした男が立っており、こちらを見ている。
「ミチル殿、こちらグレン皇帝だ」と男爵、
俺は、言われた通りに、右膝を床につけ挨拶をすることにした、
「グレン皇帝殿、初めましてミチルと言う物です冒険者を生業としております」
俺の後ろで、ベンも同じように片膝を付いているようだ。
「堅苦しい挨拶は抜きだ、ミチル殿」とグレン皇帝、
「モリスの遺体回収に関わったとか、間違いないかな」
「はい、間違いございません。発見したのは私どもです」と俺、
「発見した状況を聞かせてくれ」
「ブラックドラゴンの巣を探し当て、討伐したところ、その巣の中に18名の遺体がありました。そのお一人のようでした。死後かなり経過していたように見受けられます。私は本日朝にドラゴンを討伐し、その頭部を冒険者ギルドに収めております」
なんか変な疑いをかけられているのかもしれない。関係ないことをアピールしておいた。
「ミチル殿、勘違いされているようだな、おぬしを疑っているわけでは無い、ただモーリスは若い頃俺たちと一緒に戦ったこともある剣の達人ぞ。ミチル殿達に倒せた魔獣に、なぜモーリスのパーティが全滅させられたのかと思ってな」
「ブラックドラゴンですが、想像以上の難敵でした、まともに正面からやり合ったのでは勝ち目がございません、不意をついて、後ろにいるベンが仕留めました、彼女のジョブはドラゴンべインでドラゴンスレイヤーのスキルを使える剣の使い手です」と俺、
適当にごまかすことにした。
「ドラゴンベイン、本当か?師匠が最近ようやく竜騎士からドラゴンベインにクラスアップ出来たと聞いたが、その若さで本当か」とグレン皇帝、
グレン皇帝は男爵のことを師匠と呼ぶんだな。
「男爵殿もご存じの通り、ベンはドラゴンベインです」と俺、
後ろで男爵がグレン皇帝にうなずいた。
「なるほどそう言うことか、上には上がいるものだな」
「モーリスはブラックドラゴンに敗れ、それ以上に強いミチル殿のパーティによってブラックドラゴンは討伐されたと、なるほどそうか、そんな単純なことであったか」
「そちらのベン殿がドラゴンベインである証拠を見てみたい、スキルを使ってみてくれないか?」とグレン皇帝、
男爵を見ると、俺にうなずいた。
「ではベン、お見せしなさい」
「失礼します”ドラゴンスレイヤー光の剣”」とベン、スキルを起動して光の剣を手に持った。ベンは右手に出した光の剣を左手にもちかえ逆手に持つと剣を床に向けたまま、前に突き出した。そしてすぐに光の剣を消した。
「おお、始めて見たぞ、それでドラゴンを切ったのだな」とグレン皇帝、
ウンウンとうなずいている。
「納得いたしたぞ。では失礼しようか。師匠、ミチル殿、時間をとらせたな。ではいずれまた」
”ブンッ”と音を出して消えた。
皇帝は魔道士なのか、無詠唱だったが、今の魔法はテレ・フィールドだった。
「ミチル殿、皇帝が急にいらしてな、わしに尋ねてきたのだよ。”ミチルと言う冒険者について、なにか知っているか”とな、申し訳ないとは思ったがミチル殿に来てもらった」
と男爵、
「そうでしたか。皇帝は魔道士なのですね。男爵が剣を教えたとおっしゃっていたので、剣術使いかと思っておりました」
「魔法使いは血統ジョブ、それにとても便利だ。魔法使いが剣術を会得するのは珍しいことではない、冒険者として長生きしたければ剣術を覚えて損は無いからな」と男爵、
魔法使いは近接攻撃をされると弱い、俺たちもユリにも剣術を教えたことを思い出した。
「そうですね。なるほど」と俺、
「では、私はこれで失礼します」
男爵に頭をさげ、部屋から出た。部屋の外ではクーランラ嬢が心配そうに待っていた。
「ミチル殿、大丈夫でしたか?」
「はい、特になんでも有りません。私が発見した遺体が皇帝のお仲間だったようでして、その状況を知りたかったようです」
「モーリス殿ですよね。父の友人でもありましたのに残念です。剣の達人でもいらして父とよく木刀で打ち合って汗をかいておりました。良い方でした」とクーランラ嬢、
そうか、男爵とは友人だったのか。
男爵邸の正面ゲートを抜け、ベンと2人で家に向かう、
「男爵殿も元気がなかったな」とベン、
たしかに、いつもの男爵のような感じは無かった。友人を失って気落ちしていたのかもしれない。
俺が遺体で見つけた冒険者達にも家族もいれば友人もいる、子供がいるやつももちろんいたろうな。その人達は悲しんでいることだろう。
「ミチル、早く帰ってみんなと夕飯たべよう」とベン、
「そうだな、そうしよう」
俺たちは生きてるし、仲間と一緒に飯も食える。
家についた、ドアを開ける。
「ミチル、夕ご飯食べるニャアよ。肉食べるニャア」とレン、
みんな待っていてくれたようだ。
テーブルに座るとミミンが食事を並べてくれた。
「いただきます」と言うと、みんなで食べ始めた。
肉にかぶり付いた。じゅわーとハーブと塩とコショウで味付けされた肉汁が口に広がった。
こりゃうまい、
「うまいな」と俺が言うと、
「うん、うまいニャ」とミミン、
そう言えば最近、報酬を出すのを忘れてた。
「あとで、今朝の討伐のボーナスを出そう、一人金貨10枚を渡そう、みんな無駄遣いするなよ」と俺、
「オオー」とみんなの歓声、やはり報酬はうれしいようだ。
”目利き”で全員のステータスを確認しておく、
先週からの魔獣狩りで、
スザンナがもう少しで、マイスターにクラスアップできる。
マイスターになれば装備も充実できるだろう。
マーベリックは竜騎士、ルミナはバルキリーになれそうだ。
こりゃもう一踏ん張りだな。マーベリックを竜騎士にできたら、すぐにドラゴンベインにしても良い。
そうすれば、もう一人前だ、ルミナと一緒に独立させても安心できる。
ユリの魔道士レベル25は結構近いかもしれない。やはり強敵を倒すと、レベルアップが早いのだろうな。
盗賊の討伐や、ランクAなどの魔獣を狩ってどんどんレベルアップしたいな。
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①ミチル・タサキ ジャンクヒーローLV36
種族:ヒューム 男 20歳
*スキル
<アクティブ>
マルチリペア、目利き、クリーニング
エコロジーリサイクル、永久機関、魔獣解体
<パッシブ>
節約レベルアップ(大)、省エネ(中)、コレクターボックス
*装備
頭 聖銀の帽子
手 竜革のグローブ
胴体 聖銀の鎖かたびら
足 竜革のブーツ+靴底(エゾキングオオヤモリの足裏革)
盾 オリハルコンの小盾
武器1 オリハルコンの槍
武器2 オリハルコンのショートソード
その他 ダマスカスのバタフライナイフ、予備:槍数本
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②レン シノビLV17
種族:猫耳族 女 16歳
*スキル
<アクティブ>
狙撃、ヒットアンドアウェイ、投げナイフ
毒攻撃、魔法矢(中)、首刎ね(小)、色即是空
<パッシブ>
状態異常無効、素早さ上昇(大)、回避上昇(大)、
索敵、罠解除、先制攻撃(大)、二刀流(中)、
スキルコンボ(2)、クリティカル発生(小)
*装備
頭 聖銀の帽子
手 竜革のグローブ
胴体 聖銀のジャケット
足 竜革のブーツ+靴底(エゾキングオオヤモリの足裏革)
武器1 オリハルコンの脇差
武器2 オリハルコンのクナイ
武器3 オリハルコンのショートボウ
その他 投げナイフ、ダマスカスのバタフライナイフ
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③ベンジャミン・マクギルス ドラゴンベインLV16
種族:エルフ族 女 30歳
*スキル
<アクティブ>
真空兜割、ドラゴンジャンプ、ドラゴンダッシュ、
ドラゴンスレイヤー光の剣
<パッシブ>
回避上昇(大)、防御力上昇(大)、素早さ上昇(大)
剛力(大)、二刀流(大)、スキルコンボ(3)、
クリティカル発生(小)
*装備
頭 オリハルコンの兜
手 オリハルコンの小手
胴体 オリハルコンの鎧
足 竜革のロングブーツ+靴底(エゾキングオオヤモリの足裏革)
武器1 オリハルコンのロングソード
武器2 オリハルコンの両手剣(背中)
武器3 ダマスカスのバタフライナイフ
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④スザンナ 鍛冶師LV38
種族:ドワーフ族 女 15歳
*スキル
<アクティブ>
アイテム作成(中)、アイテム鑑定(大)、アイテム修理、
スキルカード結合、なぎ倒し(中)
<パッシブ>
剛力(中)、防御力上昇(中)、エンハンスウェポン(中)、
エンハンスアーマー(中)、アイテムボックス
*装備
頭 オリハルコンの兜
手 オリハルコンのガントレット
胴体 オリハルコンの重鎧
足 竜革のロングブーツ+靴底(エゾキングオオヤモリの足裏革)
武器1 オリハルコンの大斧
武器2 ダマスカスのバタフライナイフ
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⑤ユリ・ヒカゲ 魔道士LV15
種族:ヒューム 女 10歳
*スキル
<アクティブ>
攻撃魔法(中)「ファイヤーボール、ファイヤートルネード、
ウォーターボール、ウォーターシールド、
アイスアロー、アイスシールド、アイストルネード、
ライトニングアロー、エンハンスウエポン、エンハンスアーマー」
回復魔法(中)「ヒール、アドバンスドヒール」
空間魔法「テレ・ダンジョン、テレ・フィールド」
浮遊魔法「フライ」
魔法薬合成(中)
ゴーレム作成(中)
「ゴーレムクリエイト、スピリットクリエイト、スピリットムーブ」
時空間魔法(無効)
<パッシブ>
知力上昇(中)、回避上昇(中)、MP回復(中)、ゴーレム従魔(中)、
無詠唱、2重詠唱
*装備
頭 聖銀の魔法使い帽子
手 竜革のグローブ
胴体 聖銀の魔法使いローブ
足 竜革のブーツ+靴底(エゾキングオオヤモリの足裏革)
盾 ライトメタルの盾
武器1 オリハルコンの魔法杖
武器2 ミスリルのショートサーベル
その他 ダマスカスのバタフライナイフ、ミスリルのスタッフ、竜革のバッグ(ノリユキ)
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⑥ミミン 薬草調合士LV18
種族:猫耳族 女 15歳
<アクティブ>
スコップアタック、催涙玉、ダッシュ、
薬草調合、薬鑑定
<パッシブ>
素早さ上昇(小)、回避上昇(小)、状態異常耐性(小)
索敵、罠解除、先制攻撃(小)、植物採取眼
*装備
頭 竜革の帽子
手 竜革のグローブ
胴体 竜革のジャケット
足 竜革のブーツ+靴底(エゾキングオオヤモリの足裏革)
武器1 ミスリルの戦闘用スコップ
武器2 ミスリルのショートサーベル
武器3 ミスリルの植物採取用ナイフ
その他 竜革の植物採取バッグ
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⑦アレックス チャンピオン LV15
種族:アマゾネス種 女 29歳
<アクティブ>
アイアンパンチ、アイアンキック、てなづけ、気功砲弾
<パッシブ>
体力上昇(中)、回避上昇(中)素早さ上昇(中)、
防御力上昇(中)、素早さ上昇(中)、状態異常耐性(中)
剛力(中),スキルコンボ(3)
*装備
頭 聖銀のニット風帽子
手 格闘家用オリハルコンと竜革のナックルガード付グローブ
胴体 格闘家用オリハルコンのフルメタルジャケット
足 格闘家用オリハルコンと竜革のプレート付ロングブーツ
(エゾキングオオヤモリの足裏革)
盾 オリハルコンの円盾
その他 アマゾネスのイヤリング、ダマスカスのバタフライナイフ
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⑧マーベリック 剣士 LV19
種族:ヒューム 男 14歳
<アクティブ>
兜割(小)、なぎ倒し(小)、受け流し(小)
<パッシブ>
剛力(小)、回避上昇(小)、防御力上昇(小)
エンハンスウェポン(小)、アイテムボックス、聖剣を抜く権利(無効)
*装備
頭 ライトメタルの兜
手 竜革のグローブ
胴体 ライトメタルの鎧
足 竜革のブーツ+靴底(エゾキングオオヤモリの足裏革)
武器1 ミスリルの刀
その他 ダマスカスのバタフライナイフ
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⑨ルミナ ワルキューレ LV19
種族:ヒューム 女 13歳
<アクティブ>
三段突き、狙撃、
回復魔法(小)「ヒール」
<パッシブ>
剛力(小)、素早さ上昇(小)、回避上昇(小)、
防御力上昇(中)、状態異常耐性(小)
*装備
頭 竜革の頭巾
手 竜革のグローブ
胴体 ライトメタルの鎧
足 竜革のロングブーツ+靴底(エゾキングオオヤモリの足裏革)
武器1 ミスリルの槍
武器2 ミスリルのショートボウ
その他 ダマスカスのバタフライナイフ、竜革のリュック
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夕飯をたらふく食って、風呂に入ったら眠くなった。
ベッドの上でノートPCを開く、石鹸の製造工程でワセリンの分離方法について調べていたら寝てしまったようだ。
俺が居間でTVゲームをしているところだ。
その後ろで、死んだ親父がビールを飲んでいる。
母さんは台所でつまみでも作っているようだ。二人とも若いな。
その時点でなんだ夢か、と気づいた。
そういえば、色の配色もどこかおかしい。
俺はゲームに夢中だ、シューティングゲームと言うやつだ。
敵のボスが沢山ミサイルを撃ってくる。こちらの攻撃はあまり効かない。
逃げ場所が無くなりゲームオーバーだ。
「あーあ、せっかくあそこまで行けたのに」と俺が言いながら立ち上がる、
出来たばかりの親父のつまみを指でつまんで食べた。
「満それお父さんのだから、ダメでしょ」と母さん、
「まあ良いじゃないか、満も一緒にビール飲むもんな」と親父、
「ビール苦いから嫌い、コーラの方がいいな」と俺、
そうだった、おれは一時期、家でコーラばかりよく飲んでいた時期があったんだ。
今は全く飲まなくなったな、異世界でなら尚更か。
「そのうち、満もこいつ(ビール)の旨さが分かって、俺と一緒に飲むようになるさ、ハッハハハ」と親父、
親父は特に趣味もなく、休みの日は読書したり、TVで野球を見たり、昼間からビール飲んでいるような人だった。
シーンが変わって、親父の葬式の場面になった。
俺は、無表情だ。
俺が泣いたのは葬式の後だったな。ジワジワと涙が止まらなくなり。
声を上げて泣いたっけ。
「くそったれ、なんで親父が!!」と大声を上げた。自分の声で飛び起きる。
「ハアハア、夢だ!、なに叫んでんだ俺はバカか、もう十年くらい前の事だぞ」
心臓がバクバクしているのが分かった。
「”アイテムボックスオープン”」とスキルを起動し、水筒を取り出して一口水を飲んだ。
ふうー、バッチリ目が覚めてしまった。
俺たちのパーティも少し気を抜くと、ブラックドラゴンに殺された冒険者達のようになる。
昨日、何回かそんなことを考えていた。
そして何かを恐れた。
それが変な夢をみさせたのかもしれない。
「慎重にな、十分気をつけろ」と、死んだ親父からの警告なのかもしれない。




