初期装備
第4部分 初期装備
「あれか、冒険者ギルドって思ってたよりもけっこう大きいな」
「冒険者ギルドはいろいろやってるニャンよ、よく捕った獲物を買い取ってもらうニャ」
レンはなじみがあるらしい、受付に移動する。
「この2人は奴隷だけど、戦闘奴隷として復帰することになった。登録してほしい」
「あと俺とレンは冒険者ギルドに登録したい」
そう言うと、受付が何らかのスキルを使用して、ベンとスザンナのステータスになにかを書き込んだ。最後に全員で順番に水晶にふれたるだけで、登録が完了した。
「これが冒険者ギルドカードです。身分証明書にもなるので無くさないでくださいね。素材や討伐した魔獣、各種ドロップアイテムの買取時にカードを提示する必要があります。クエストを受ける際や達成報告も同様です。買取金額をチャージすることもできます。
他人のカードを使おうして、本人以外が触ったら色が変わるので悪用できません。冒険者の遺体を発見しカードを入手した場合は、あそこにある回収箱に入れてください。説明は以上です」
なるほど、これが冒険者ギルドカードか。魔道具と呼ばれるものなのだろう。
カードを受け取り、4人で金貨1枚を支払った。結構高い。
「次はジョブ神殿へ行こう」
と言いながら移動する。中庭では各種ジョブの基本訓練もしているみたいで、木剣で訓練をしているのが見えた。ギルドの人がいたので聞いてみる。
「このギルドでは訓練もやっているのか?」
「はい、銀貨5枚で、基本ジョブの訓練を一日受けることができます。」
「スカウターなんかの訓練もだいじょうか?」
「大丈夫です、もしスカウターにジョブ変更したのでしたら必ず受けたほうが良いですよ。各スキルの有効な使い方や、ナイフ、投げナイフ、格闘、弓の基礎を学べます。基本がしっかり身につけばレベルアップもしやすくなりますよ。罠解除とかは知識が無いと危険です。」
なるほど、これは良いことを聞いた、レンは野生児タイプだから細かいスキルとか生かせそうにない。訓練は受けさせた方が良いな。
「レン、スカウターにジョブ変更したら、ここで訓練を受けた方が良い」
と言いながらレンを見ると、同じ考えだったようだ。
「ベン、剣術は得意か?」
「私か?、私は元騎士だぞ、剣術の基礎訓練など受ける必要は無い」
「そうか、おれは基本的な訓練は受けたが所詮初心者レベルだ、正直言うと盗賊と戦った時もビビっていた。実践経験も少ない」
「私もです」
スザンナも同じ不安を感じているようだ、
「では、私が剣術を指導しよう、訓練用の木剣は安いし、防具を付けて木剣に布を巻き付けて訓練すればケガもしない。型を覚えるだけでかなり有利に戦えるぞ」
なるほど、
「ではよろしく頼む、レンが基礎訓練受けている間、俺とスザンナはベンに剣術を教えてもらうことにしよう」
「ベン、よろしくお願いします。あまり厳しくしないでください」
とスザンナが言った。
「じゃ次は、ジョブ神殿に行こう」
「レン、ジョブ神殿は近いのか?」
「隣の建物ニャ」
ジョブ神殿に移動した、ここは小さい郵便局の窓口のような感じだな。受付があって水晶玉を操作する受付の人がいた。
「すまん、このレンのジョブを変更したい。」
受付の人に要件をつたえると、レンに水晶を触らせている。
「スカウターへのジョブ変更ですね。金貨1枚になります」
金貨一枚を支払う、水晶が光りレンのジョブが変更された。
「レン、なにか変わったか?」
「別になにも変わってないニャン」
そうか、急に強くなったりはしないよな。レンのステータスを”目利き”見てみる。
*スカウター
<アクティブスキル>
狙撃
ヒットアンドアウェイ
投げナイフ
<パッシブスキル>
状態異常耐性(中)
素早さ上昇(小)
回避上昇(小)
索敵、罠解除、先制攻撃(小)
なるほど、RPGゲームで言うところの盗賊とかシーフのジョブに見える。
たしかにジョブ名が盗賊だと問題あるよな、本物と見分けがつかなくなる。
狩人には無かったパッシブスキルによって身体能力も強化されるようだ。
ベンの”落ち騎士”、スザンナの”鍛冶師見習い”も見てみる。
”落ち騎士”ではなく”騎士”に変更されていた。
*騎士
<アクティブスキル>
ダッシュ
バックステップ回避
<パッシブスキル>
回避上昇(小)
防御力上昇(小)
剣のスキルが中心のシンプルなスキル構成だ。
*鍛冶師見習い
<アクティブスキル>
アイテム作成(小)
アイテム修理
アイテム鑑定(中)
なぎ倒し(小)
<パッシブスキル>
剛力(小)
防御力上昇(小)
エンハンスウェポン(小)
エンハンスアーマー(小)
アイテムボックス
”鍛冶師見習い”は生産者ジョブのようだ、少し戦えるスキルもある。
「スザンナ、アイテムボックスが使えるのか?」
スザンナが答える、
「鍛冶師はアイテムボックスが使えます。重い金属や木炭、樫木などの素材を運ぶ必要があるので便利です」
なるほど、そう言われてみると必要なスキルだ。
「次は買い物にいくぞ、ベンやスザンナは何も持っていないようだし、リックや水筒、服からだな」
気が付かなかったが、ベンやスザンナは裸足だった。アイテムボックスから革のブーツを取り出して。目立たないところで”ボックスオープン””マルチリペア””クリーニング”をかけて彼女たちにブーツを履かせた。言ってくれればよいのに。
雑貨屋と服屋に移動して、こまごまとした必要な物を買いそろえた。
次に武器屋と防具屋に行ったが、結構高い、すぐに財布が空になりそうだった。
「思っていたより冒険者の装備は高価だな、盗賊から回収した装備をリフレッシュして、使えるものは使い、不足しているものだけ買うことにしよう。装備買ってご飯食えなくなったら死ぬんだし」
と俺が言うと。
「使える物があるなら、先にそれを確認してからの方が無駄がない。宿屋に戻って作戦会議だな」
ベンも同じ意見だ。
宿屋に戻ると、アイテムボックスの中に入れていた盗賊6人分の装備を全部出し、全てのアイテムに”マルチリペア”と”クリーニング”をかけた。
綺麗な中古品になるので結構使えそうだ。俺的に”ブーツの中古はかなり抵抗あるな”と思ったが”クリーニング”で中が綺麗になっていることを確認して我慢して履く。
「革の装備は全員分あるから買う必要ないな。私が装備したい盾やロングソードが無いな」
ベンが言う。俺も盾がほしいなと思った。ビビリーだし。
「私、武器は大斧が良いです、ドワーフの定番武器ですし使い慣れてますから、あとこの鉄の鎧は皆さん装備しないのですか?であれば私が使います」
「えっ、こんな重たい物装備して動けるの?」
「少し重いかなと思いましたが、鉄の鎧は以前も装備していたので大丈夫です」
なるほど、ドワーフは力持ちだった。
「じゃこれ装備して、武器屋と防具屋に行こう、不足している武器と盾だけ買うことにしようぜ、不要な物は売り払う、邪魔だしな」
武器屋に移動し、いろいろ見ていると、槍が使える人いた方がパーティ的にバランスが良い、と言うベンのアドバイスが聞けた。ビビリーの俺の専用武器として”鉄の槍”を買うことにした。
盗賊から回収したショートソードは俺とレンで2本使うことにして残りは下取りとして売った。
「ミチル、申し訳ないが鋼のロングソードが欲しい」
ベンが言ってきた。ベンは一番の主力になるだろうから良いか。
「少し高いが、良いだろう、十分節約もしているからな」
「私はこの鉄の大斧が良いです」
スザンナがかなり大きい大斧を指さしている。大丈夫なのだろうか。
「デカくて重そうだけど、それ装備してブン回したりできるか?」
と聞いてみる。
「大丈夫です」
と言いながら、片手で少し持ち上げて見せた。怪力だ。
パッシブスキルの”剛力(小)”が有効なのかもしれない。
結局、武器屋では、訓練用の”木剣”を3本”鋼のロングソード”鉄の大斧”鉄の槍”レンが使うであろう”投げナイフ”を購入し、金貨5枚を支払った。
次は防具屋に移動する。
あと不足しているのは、俺とベンが使用する盾だな。
「ベン、盾は何が良いんだ?」
詳しそうなベンに聞いてみた。
「戦場では通常、槍とロングソード持ちは円形の小盾だな」
なるほど、大きい盾はたしかに無理そうだ。
「俺たちが買えそうなのは木製、鉄、鋼だ、どれにする?」
「とりあえず全部持ってみましょう」
店主に声をかけて、ベンが順番に手に取って装備してみた。
「うーん、結構がっしり作られていて重いですね」
と言ってきた。
「たしかに、少し重たいな」
と近くで見ていた店主が別の商品を勧めてきた。
「それより軽い物だと、ライトメタルの盾になるねえ、少し値段が高いがこれは俺が手作りしている物だから作りは良いよ」と言うと、ライトメタルの盾を手渡した。
持った瞬間軽いと感じた。
厚みも十分で強度も問題ないように見える。これなら片手で持てる。
これ、値段はいくらかな?
「1つで金貨3枚だ」
「けっこういい値段だな、ところでライトメタルってなに?」
「ライトメタル・スライムは魔獣でこの街の近くの森に生息している、そのモンスターがドロップする素材だ、たしか森の東側の奥、岩場の辺りだ」
なるほど、どう見てもアルミニウムに見えるがモンスターのドロップ品なのか。
「ライトメタルの防具は軽くて丈夫だから人気の商品だ。材料が足りてないので冒険者ギルドにクエストとして依頼している。ライトメタル10個で金貨5枚で買い取るよ。直接うちの店に売りに来てくれ、ギルドに手数料を支払わないで済む。これは内緒だったなハハハ」
「俺たち冒険者に成り立てだから、強い魔獣は無理かもな。少し強くなったら挑戦してみるよ。じゃこの”ライトメタルの小盾”気に入ったので2個買うよ」
「おお、買ってくれるか、金貨6枚だ」
店主が喜んだ。
支払いを済ませると盾はふだん背中に背負うものらしく、ベンは自分のリュックにくくり付けていた。俺もそうする、たしかに邪魔にならない。
「全員、装備が整ったので、森で少し戦ってみることにしよう」
レンに聞いたところ、この街へ入った反対側にも門があり、そちら側が俺の旅の目的地”ストーンサークル”の方向で、そこ道の横に森があり、森に魔獣がいるらしい。
狩人のレン一人だけでは戦力的に厳しくて森には今まで近づけなかったが、4人のパーティであれば問題なく戦えるレベルのようだ。
森の奥にさえ入らなければ安全だろう、無理なら町まで逃げれば良い。
この低レベルの状態で無理やり目的地にむかって進むのは、危険すぎる。
レベル1のままで第二の街までつっ走って移動するRPGゲームをイメージした。1回死ぬと2度と起動できない難しいゲームだ。
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①<ミチル>
頭 革の帽子
手 革のグローブ
胴体 革のジャケット
足 革のブーツ
盾 ライトメタルの小盾
武器1 鉄の槍
武器2 鉄のショートソード
武器3 Amazunの大型ナイフ
②<レン>
頭 革の帽子
手 革のグローブ
胴体 革のベスト
足 革のブーツ
武器1 Amazunのコンパウンドボウ
武器2 鉄のショートソード
武器3 投げナイフ
③<ベン>
頭 革の帽子
手 革のグローブ
胴体 革のジャケット
足 革のブーツ
盾 ライトメタルの小盾
武器 鋼のロングソード
④<スザンナ>
頭 革の帽子
手 革のグローブ
胴体 鉄の鎧
足 革のブーツ
武器 鉄の大斧
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