デスペラード
第39部分 デスペラード
冒険者ギルドのクエスト掲示板に盗賊の討伐クエストが貼られた。
”黒蛇団のモグリ団長”に金貨200枚、罪状は20人以上の行商人などの殺害”となっている。
”黒蛇団は盗賊が30人ほどの集団なので注意されたし”と注意書もある。
”盗賊団のアジトは迷宮都市ドルガードから漁村ガロンの街道沿いとのこと”以前俺たちが倒した盗賊のほかにもいると言うことだろう、またはその一味のようだ。
「ベン、このクエストをやろうぜ」と俺、
「盗賊30人か、結構厳しいな。でもヤロウ」とベン、ベンは基本ヤロウ派に属している。
「いやいや、結構どころじゃなくてかなり厳しいですよ」とスザンナ、
「きちんと作戦を立ててやれば、問題ないだろう。一気にレベルアップできるぜ」と俺、
「うーんそうですね、作戦次第ではありますね」とスザンナ、
「ここにはアジトの大体の場所しか書かれていないが、俺たちは先輩からもらった地図を持っている。入念に計画すれば問題ない」
今夜作戦会議だ、
冒険者ギルドの受付で、盗賊の討伐クエストを申し込んできた。
証拠はモグリ団長の死体で良いらしい。モグリ団長は元冒険者なので冒険者ギルドカードも持っているとのこと。
「作戦会議を行う、まず俺の作戦案を聞いてくれ」と俺、
「作戦は、まず陽動しておびきだして各個撃破、さらに出て来たやつを倒し、本陣を叩くと言う3段階だ。数で勝っている相手に有利な作戦だ。」
「まず、ユリとレンで偵察を行う」と俺、
魔道士になったユリはミスリルのスタッフに跨がると空を飛べるようになった。フライと言う魔法だ。
スタッフには2人乗れるので、偵察が得意なレンでペアを組ませるの良いだろう。
「あと、ゴーレムのノリユキを強化して働いてもらおう」
陽動作戦は囮役が危険だが、ゴーレムのノリユキなら適任だろう。その前に人間並に大きくして強化する必要がある。
「盗賊相手だから、近接戦は最後まで避けたいな。弓や魔法、スキルを有効に活用した方良いな」とベンから意見が出た。
なるほど、人間は魔獣みたいに猪突猛進してこないからやっかいなんだよな。怪我しても面倒だから、遠距離攻撃でボコった方が良いな。
レンとルミナは弓、アレックスは気功砲弾が飛び道具的攻撃ができる。もちろんユリは魔法攻撃が可能だな。レンは遊撃で良いとして、ルミナとユリには護衛役が必要だな。
「相手は罪の無い人間を20人以上殺している盗賊で極悪人たちだ。手加減する必要は無い、こちらはフルメンバーで臨むことにする。チーム分けはこうしよう」と俺、
コンビネーションとバランスが重要だ、仲の良い者で組ませるのも良いだろうな。
「索敵が使えるレンとミミンは別れてもらった。アレックスのチームは統率がとれているから問題ないだろう。ゴーレムの強化が実際どれくらい強力なのか確認する必要がある」
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<盗賊討伐のチーム分け>
Aチーム(陽動、攪乱、遠距離攻撃)
レン・ユリ・ゴーレムのノリユキ
Bチーム(近接攻撃、掃討)
ベン・スザンナ・ミチル・ミミン
Cチーム(遠距離攻撃、遊撃)
アレックス・マーベリック・ルミナ
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「特に、意見はないようだな、ではチーム分けはこれで決まりだ」
「では~、ゴーレムの強化をいまからやりましょう」とスザンナ、
なんか嬉しそうだ。
「そうだな、ミスリルのインゴットいくつだ?」と俺、
「スザンナ先輩の研究ノートですと、ユリのゴーレム作成(中)ではミスリルのインゴット8個で、ヒュームの男性と同じ大きさまで大丈夫です。構造は部分的に中空にしないと重たくなって動きが悪くなったり、体のバランスが悪くなるそうです」とスザンナ、
「さすがスザンナ、研究しているな」と褒めた、
「それほどでも、無いです”カチャカチャカチャ”」スザンナが照れて、バタフライナイフを開いたり閉じたりさせた。それ、少し怖いから。
「工房に移動しましょう。ユリ、ノリユキを連れてきてください」とスザンナ、
スザンナは工房のテーブルに、鍛冶師のマット敷き、鍛冶師のハンマーを置いた。素材となるミスリルのインゴット10個、竜革を鍛冶師のマットの上に置く。
「スザンナ、8個じゃないのか?」と俺、
「今回、武器と服も一緒に作成します。片手用の戦闘斧が良いかと思っています」
なるほど、武器も一緒に作成しないと、体のサイズを変更した時に収縮できないからだな。
「では、作成します」とスザンナが鍛冶師のマットに手を置き、鍛冶師のハンマーを手に持った。
「うーん、う、イメージが」とスザンナ、
「どうしたスザンナ、大丈夫か?」と俺、
「大人の男性の体をあまり見たことが無いので、イメージがわきません」とスザンナ、
「ミチル、裸になってスザンナに”男の裸”を見せてやってくれ」とベン、
「え、俺?、なにするの?」
「だから、パン一になって、体をスザンナに見せてやってくれと言っている」とベン、
「それ、必要か?」と俺、
「必要です」と女達がハモった。
しょうが無いなあ。上着、シャツ、ズボン、靴、靴下を脱いだ。
「これでいいか?」と俺、裸になってスザンナの前で一回りした。ジックリ見るスザンナ、なぜか赤くなる。照れるなよスザンナ。
俺も恥ずかしくなるじゃないか。
「ミチル、少しお腹出てきたな、訓練した方が良い」とベン、
「余計なことは言わんでいい!」
「スザンナ、早く作ってくれ。顔は今まで通りでよいからな、俺に似せるなよ!ややこしいから」と俺、
「では、いきます”アイテム作成”」とスキルでゴーレムを作成した。少しの光、煙の中から、大きなミスリルのゴーレムが竜革の服を着て、手には斧を持っている。斧にはカバーまで付いている。体つきは俺とほぼ同じだ、以前のゴーレムと比べるとシャープなラインになった、俺の服も着せることができそうだ。
「おお、出来たな。上手いもんだ、さすがだなスザンナ」と俺、服を着ることにした。
「じゃあ、次はユリの番だ、こいつをゴーレムにしてくれ」
ユリがゴーレムの前に立った。
「”ゴーレムクリエイト”」ユリが、魔法を唱えると、全体が光り、同時に細かい模様のような物が刻まれた。成功だ。
「次に行こう、今のノリユキから魂を移すんだよな」と俺、
ユリは、ノリユキを取り出すと、新しいゴーレムの横に置いた。ノリユキは隣の大きなゴーレムに興味があるらしく、少しだけ撫ぜ回してから横になった。
「では魂を移します”スピリットムーブ”」ユリが、詠唱した。
小さいゴーレムのノリユキの口からキラキラした煙が出ると、それが隣の大きなゴーレムの口に入っていった。
大きなゴーレムが”ピクッ”と動いた。
大きなゴーレムは起き上がると、テーブルから降りて立った。
「おお、すごい動いた」と俺、
「ご主人様、新しい体ありがとうございます」とノリユキ、ユリに頭を下げた。
「しゃべった!!」全員でハモった。
新しいゴーレムは喋るんかい。
「話ができるみたいです。なんか以前よりも意思の疎通がとてもスムーズみたい」とユリ、
ゴーレム作成(中)、ゴーレム従魔(中)の効果なのだろうか、ゴーレムが少し自我を持ったように思えた。
こりゃスゲーぞ魔法みたいだ、と言うかこれは魔法だったんだ。
「これは凄いな、活躍できそうだ。明日、ベンと木刀で訓練できそうだな。どの程度まで剣が使えるのか確認しよう。それで作戦を練れば良い」と俺、
「そうですね。”小さくなれ”」とユリ、ゴーレムのノリユキが今まで通りのサイズまで小さくなった。大きなプラモデルサイズだ。
「これ以上は小さくならないようです」とユリ、
そうか今までのポケットサイズまで小さくはならないんだな。
「では、今日はここまでとする。明日は盗賊を討伐するから各自装備の点検と、十分体を休めるように。装備に不具合があれば、スザンナと俺に言ってくれ、すぐに修理する」
ユリがテーブルの上に乗った、小さいゴーレムの抜け殻をサッと撫ぜた。動いていた時にはあった表面の模様も無くなり人形のようになっている。
「ユリ、それはリサイクルしないで取っておこうな。俺のアイテムボックスの中にしまっておくから」と俺、
「お兄ちゃん、ありがとう、フフ」ユリが笑った、俺の言葉が嬉しかったみたいだ。




