武道会一回戦
第33部分 武道会一回戦
審判と両選手が定位置についた、ベンは白コーナーだ。
「はじめい!」審判の鋭い声で、試合が始まった。
両者ゆっくりと間合いを取った。敵側の選手がゆっくりと左に回り始めると、ベンもそれに合わせるように左回りに移動し始める。
ベンが歩みを止めた、敵側の選手もピタリと歩みを止める。
来るかなと思ったら仕掛けてきた。
「”ウシャー”」良い分からないかけ声と共に、上段からの振り下ろしだ。
ベンはバックステップのような足さばきでスッスーと後ろに下がりその攻撃をかわした。
「”チョリャー”」敵側の選手は振り下ろした剣を戻さずそのままに、さらに距離をつめて下段から鋭く切り上げた。
なるほど、初太刀はかわされることが前提で、鋭い二の太刀が必殺の剣だな。なるほど考えたなあ。
ベンは、躱せないと判断したか、木刀を振り下ろし、切り上げてきた木刀を”ガッン”と受け止めた。
自分の攻撃を受けられた敵側の選手は”サッ”後ろに飛びのく。
ベンは木刀を正眼に構えると、ジリジリと敵につめてゆく、敵側の選手は先ほどの攻撃が全く通用しなかったことに臆したようで、逃げ腰気味に後ろに下がった。
ベンは、ツツーとさらに間合いを詰めると、上段から素早く振り下ろした。
敵選手は真横に飛び退くようにその攻撃を躱すと、ゴロンと転がり、スクッと立ち上がっる。
”ブゥオ”とベンの木刀が空気を切り裂く音が聞こえた。
敵選手は躱すと、間髪を容れず片膝を付いて片手で突きを放ってきた。
「”チョエー”」と敵選手の奇声が響く、鋭く伸びのある攻撃だ。
それを見た俺はなぜか”フォームが美しい技だな”と思った。この片膝ついた片手突きは敵選手が長年工夫してきた必殺技にちがいない。完成されている技に見えた。
”ググーグー”と敵の木刀がベンの体の中心に迫る。
おおヤバイと俺が思った瞬間、
ベンは、サッと横に躱すと、振り上げた木刀で敵選手の木刀を、上段から
”バシッン”叩きつけた。木刀と木刀がぶつかった音が闘技場に反響する。
同時に、敵選手の木刀が”カラン”コロン”と手から壇上に落ちてころがった。
「勝負あり、白の勝利」と審判の大きな声、白い旗が高く上げられた。
ベンが勝った。
ベンのパッシブスキル”剛力(大)”は常に有効だ、その力で木刀を打ち込まれたらかなりの衝撃になる。
木刀を片手で持った状態では保持できなくなって落としたに違いない。大会ルールでは木刀を落とした時点で、負けとなる。
これは安全を考慮したルールなんだと思う、この大会はダンジョン祭りの余興であり、スポーツ的な要素が高い。
無防備な者を木刀で攻撃するのは双方にとって良いことはないだろう。
ベンが俺たちの席に戻ってきた。周りにいた知らない人たちも拍手している。
「ベン、良い試合だったな。思っていたよりも敵が強かった」と俺、
「ハアハア、結構疲れるな。まあこんなもんだろう」とベン、
「ベン、水をのんでくださいニャー」とミミンが水筒を差し出した。ミミンは気が利くな。
お前は女子力高いぞ。
「ああ、ありがとう」とベン、水をゴクゴクと飲んだ。
「はあ、美味い」とベン、ベンの顔がいつもの笑顔になっていた。
フー、良かった。
とりあえずなんとか勝ち進めそうだ。ベンは強く、調子も問題ない。




