ストーンサークルにて(第一部 完)
第20部分 ストーンサークルにて(第一部 完)
ハウザーの宿屋を朝早く発った。
そのまま、迷宮都市ドルガードの反対側の門を出て、離れてゆく街を馬車の荷台から見た。
ダンジョンには入ったが、少し期待外れだったな。
武人の男爵と知り合いになれて良かった。クーランラ嬢の顔が頭をよぎる、彼女とは一度きちんと話しをするべきなんだろう。
これからレンの友人が住むと言う湖の近くの村、”漁村ガロン”に向かう。
ここには温かい池があるとレンが言っていた。温泉のことだと思う、楽しみだ。
湖で採れる魚も旨いらしい。名産は干し魚や、煙で燻した魚とのこと。
その村から遺跡は馬車で2時間~3時間の距離だ。1日で往復できる。
俺は、当初の予定通り、その遺跡でハイテク情報が記録された、パンドラボックスを遺跡に埋める予定だ。
だが、その後使用する予定だった転送ビーコンは使用しないことにした。
なぜなら偽装された爆弾だったと分かったのだ。
転送ビーコンを使用したら俺は確実に死ぬ。あの装置では現代に帰れない。
俺はあの秘書や社長、装置を操作していた研究員たちに、だまされたのだ。
片道切符で異世界に特攻させられ、パンドラボックスを埋めて、爆弾で死んでこい。
と言うことらしい。俺は、捨て駒にされたのだ。
俺は、未だあきらめていない。
パンドラボックスを埋めるまでの仕事を済ませ、ユリのレベルアップと上級職へのクラスアップを効率よく進める。そしてユリのユニークスキル、時空魔法のアンロックに賭けるしかない。
俺が現代に帰る方法はそれしか無いようだ。
仮に現代に帰れたら、あいつらにかならず仕返しをしてやる。どんな仕返しが良いかなあ。考えながら進めるとしよう。
馬車はゆっくりだが、歩くよりは早い。
「前から、馬車がくる」ベンの声だ、荷台から前方を確認した。たしかに、ありゃ商人だな。大丈夫だ。
「商人だろあれ」と、俺。しばらくするとすれ違った、やはり商人だった。一応”目利き”でも確認した。盗賊では無い。軽く会釈して通り過ぎてゆく。
「レン、もう少しで村なのか?」
「そこの山を超えると見えるニャンな、ひさしぶりだニャ」とレン。レンは以前そこに住んでいたらしく、尻尾がバタバタ揺れている。なんか嬉しいみたいだ。
坂を上りきり、下り道になると、大きな湖と、村が見えた。左奥には、モヤモヤとした煙が見えた。あれが温泉だな。
「もう少しだな、宿はあるのかな?」
「あるニャンよ、あそこのモヤモヤしているところにある大きな建物ニャン」
「ああ、あれな」
「ベン、あそこの大きな建物が宿だ。」
「わかった」とベン、
宿屋に到着し、受付で馬の面倒と、2部屋を頼んだ、2泊でと言うと。
1部屋しか開いていないとのこと。
俺たちは1部屋でギュウギュウで泊まることになった。
こりゃ、修学旅行みたいになりそうだ。
自分達の部屋で少しひと休みすると、
「わたし、友達に会いにいってくるニャン」とレンが言った。
「じゃあ、俺たちもつれていってくれ」
「いいニャンよ」
と言うことで、みんなでゾロゾロと出かける。もう夕方だ。宿では食事が別料金で、食堂で食べる形式だった。このまま街のレストランで食べても良いと思った。
レンは、湖の近くにある建物に向かってドンドン歩いて行く。魚の干してある所にいた女性になにか聞いている。
なんか悲しげな顔になった。そして俺たちの所に戻ってきた。
「ミミンちゃん、引っ越して街に行ったみたい、もうここにいないニャン」
「残念ニャンよ」とレン、尻尾も元気がなくなっている。
「レン、残念だったな友達とはまた会えるよ。あんまり気を落とすな。なんか旨いものでも食べよう」と俺が元気ずけた。
「うん、おいしいところ知ってるニャンね」とレン、また歩き出した。
しばらく歩くと、裏道の半分飲み屋のような小さいお店に入った。大丈夫か?と思いながら俺たちも一緒に入る。
店主とレンは知り合いらしい。何やら話しをしていて笑っている。
そして戻ってきた。
「料理頼んできたニャンよ」
「レンはこのあたりに知り合いが多いんだな。」
「そうニャンよ。昔住んでたニャンね」
お、料理が運ばれてきた、かなり沢山あるなあ。
「スザンナ、酒のんで良いぞ、俺も飲む」
「じゃ私も」とベン
ユリ以外は少し酒を飲むことにした。
なんだか凄く楽しくて、酒飲んで沢山笑った。ひさしぶりだなこんな気分。
レンは途中からなぜかお店を手伝っていて。皿や料理を他のお客に運んでいた。
「おう、もう帰る時間だな、宿に帰ろう」と俺、店主に幾ら?と聞くと、銀貨9枚とのこと、金貨1枚払って礼を言い出てきた。
みんなで宿に帰る。
「色々見たくて飛び出したニャンけど、なんだかんだ言って、このあたり一番なのかニャ」
とレンが言った。
「こんな感じがズーと続くのが嫌で村を出たんだろう?」
なんとなく分かる。
「そうなんだニャー、自分でも何がしたいのかよくわからないニャンよ」
俺もそうだ、本当になにしたいのか分からない。なんとなく無難な方への勝手に流れてる気もするし、時々ばかな判断してこんな異世界に来ている。
「おれ、風呂はいるな。と言うと」露天風呂に向かった。男の湯の印は確認しておいた。
服を脱ぎ、露天風呂に向かう、ここ少し遠いな。先客がなん人か見えた。あーん。女性に見える。もしかしてここ混浴かあ?
目立たない端っこに入ることにした。
「プハー気持ちいい。」思わず声がでた。旨いもん食って、温泉に入るなんて。極楽だな。
「キャハハハ」の声、
やべ、あいつらだ。もう上がるとしよう。うちの女どもが向こうに行ったのをシルエットで確認し、早々に湯をでた。なんか入った感じしねえ。
自分たちの部屋に帰り、一番静かそうなベッドを確保して、携帯端末を確認した。端末には現代側の日付と時間が表示されている。別にこちらの世界の時間も表示してある。
こちらにくる前に撮影した、小さい新居の写真や、庭を造り始めている母の写真、最後に食べた夕ご飯、そんな写真を眺めた。まだ1ヶ月ぐらいしか経ってないのにずいぶん前のような気がする。そんなことを考えていると、”ヤガガヤ”と騒がしい、女ども帰ってきた。
こう言う時は、寝ているふりだな。と、すぐに横になり、目をつぶった。
気がつくと、もう朝でした。
翌日は朝早く出た。この日は日帰りだ、おそらく片道10~15キロぐらいだろう。
サッサと終わらせてまたこの宿でゆっくりしたい。
「遺跡まで、いっきに行こう、サッサとおわらせよう。」
「じゃあ、出発」とベンの声
「下ってこの村に来たから、抜ける時は登りが多くて、馬がたいへんそうだ」
「そうね、スピードが落ちてきた」とベン
「あそこの平坦なところで休憩だ」と俺、
平坦なところで、馬車を停め、馬に水をやる。”ガブ、ガフ”言いながら、馬が水を飲んだ。馬はけっこう水をのみすぎるので良い加減で停める必要があるらしい。
「もう良いだろ」と言いながら、馬の頭をなでた。”ふん”というような目で馬が俺を見る。馬が人を見るとか、人をナメル馬がいると聞いたことがあったが、実際に馬を世話するまで分からなかった。なんとなくだが、この世界では馬と人間は共存関係にある。馬もそのことを理解しているのか人間と仲良くしたいみたいだ。
「でるぞ、ベン以外は馬から下りて、この道を上りきるまで歩きだ」
「エー」とスザンナ、レンは眠れないことが不満のようだ。
「馬の気にもなってみろ、こんな坂道たくさん人乗せて上れるかよ」と俺が言うと、みんな納得したみたいだ。
馬を見ると、”ウンウンその通り”と、うなずいているように見えた。
なんか可笑しくなって少し笑いながら馬の横を歩いた。
地図を何度も見ている、俺が×印をつけた遺跡まで後もう少しなんだ。
休息から1時間ぐらい進むと、
「魔獣ニャンよ、左の林から2体!!」と寝ていたはずの、レンが大きな声を出した。
「みんな降りろ戦闘準備!!」ベンが叫んだ。
馬車から”バッババ”っと飛び出した。
「レン、ユリ、後ろに下がって!!」とベン、ここで待ち構えるようだ。戦うには少し狭くてやりにくい感じかした。左右の林は密度が高くて入り込めない、この道の上で戦うしかないな。
「ゴー、ゴーギィ」という魔獣の声がした、トロールかな、でかいやつだ。
「見えたら、弓と魔法撃ちまくってよ」とベン、
矢が沢山ささり、魔法が2・3発当たるだけで魔獣はずいぶん遅くなったり、弱って戦いやすくなる。時には逃げ出す魔獣も多かった。
見えた、トロールだ、でかいな。
”バフッ””シュシュ”とファイヤボールと、矢が飛ぶ音がした。そして両方が命中すると、前衛と中衛の俺たちが走って魔獣につめてゆく、おれはやりたくなかったが魔獣の股間に隙があると判断し、思いっきり槍を魔獣の股間に突き刺した。同時に”永久機関”スキルを起動、MPとHPが回復、俺自身の背中がすこしムズムズした。
「ギュエー」と魔獣の声、股間を押さえて逃げていった。もう一体残っている。
「”なぎ倒し”」とスザンナがスキルで魔獣の足を切り飛ばした、倒れる魔獣。
めちゃくちゃに手を振り回している。
「引け、引け」とベンの声、
「魔法と、矢でやっつけてくれ」とさらにベンの声、
”バフッ””シュシュ””バフッ””シュシュ”ファイヤボールと矢が飛ぶ音が連続して聞こえるともはや蜂の巣状態だ。残り一体も息絶えた。
「面倒だ、道の横にずらして先に進むぞ」特に、素材も無いと判断して先に進むことにした。
「あっ、わたしステータス画面に、上位職にクラスアップしますか?って出てるニャンよ」
とレン、
「レン、速攻でOK選択だろ」と俺、
「ハイニャ」とレンの声、どうやらレンは”アサシン”にクラスアップしたらしい。
「レン、新しいスキルなにがある?」と一応聞いておく、ローレルマインヤーさんもアサシンだったから、だいたい知ってるけどな。
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クラスアップでアサシン
レン:猫耳族 スカウターLV20 → アサシンLV1
*アクティブスキル*
狙撃
ヒットアンドアウェイ
投げナイフ
(新)毒攻撃
(新)魔法矢(小)
(新)隠密移動
*パッシブスキル*
状態異常耐性(中>大)
素早さ上昇(小>中)
回避上昇(小>中)
索敵、罠解除、先制攻撃(小>中)
(新)二刀流(小)
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リサイクルして得た素材でミスリルの剣を作成。
<ベン>
頭 ライトメタルの兜
手 竜革のグローブ
胴体 ライトメタルの胸当て
足 竜革のロングブーツ+靴底(エゾキングオオヤモリの足裏革)
武器右 ダマスカスのロングソード → ミスリルのロングソード(スザンナ作)
武器左 ダマスカスのロングソード
武器 ダマスカスのバタフライナイフ
盾 ライトメタルの小盾(背中)
*鋼のロングソードは予備として保管
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「スザンナ、”魔法矢(小)”ってなんなんだ?」
「魔法矢(小)を覚えると、矢がなくとも、弓が打てるようになります。MP1ポイントで1つの矢を作成します。矢は当たってしばらくすると消えます。消える時間はレベルにより長くなるらしいです。」とスザンナ、
「うニャー、矢がいらないのかニャー、どれほどいままで矢の確保に苦労したかニャー、助かるんニャー」、レンが凄くよろこんでいる。
「”魔法矢”」レンが、スキルを起動して、幌の中から外に向かって矢をつがえずに弓を引くと、光の矢が現れた。そのまま道の脇の木に向かって撃つと木に光りの矢がささり、しばらくして矢が消えるのが見えた。木に穴はあいたままだ。
なるほどな、利点もあるが、短所もあるな。魔獣にダメージは与えられるが、鳥のような魔獣を打ち落としたり、獣系を足止めしたり、矢を沢山打ち込んで動作を遅くしたりする効果は半減だろうな。でもすごいスキルだ。
「ミチル、あれじゃない遺跡って」とベンの声、幌の中から前方を見た、
あっあれだ、おれが来た現在でも実際に観光し、現地確認したから間違いない。あれはおれが目的としている。ストーンサークルだ。
「ベン、あれだ、あれだよ」自分でもよく分からんが、なんかやっぱり嬉しい。だまされたけどな。
道の端に馬車を停め、馬車を動かなくしてから、みんなで歩いて遺跡に近づく。なんか所どころ丸く凹んだり、丸く草がはえていないところがあるな。遺跡もなんか破壊されている気がする。
しかもここ数年のことのように見える。断面が鋭角だからだ。
まあ、いい。
おれは所定の場所から方角を正確に確認し、メジャーで正確にパンドラボックスを埋める位置を確認した。
持っている、役に立たないAmazunの大型ナイフで埋めるための穴を掘り始めた。
”ガッチン”ガッチン”なんか金属にあたった。
「なんだこれ、パンドラボックスだ!」
「そんなまさか…なんで既にパンドラボックスがうまっているんだあ!!」
おれが、うめようとして50cmぐらい掘った場所に、既にパンドラボックスが埋まっていたのだ。
取り出してリュックから取り出した物と見比べる。
「これは同じ物に見える、なんで?」頭が混乱した。
「何でか教えてやろうか、昔の俺」いきなり遺跡の裏から人が出てきた。
びっくりして、みんな戦闘態勢になる。
が全員、すぐに戦意をなくしたようだ。ベンが剣を下げた。
そこには”俺たち全員と一人の大きい女”が立っていたのだ。彼らは武器を構えていない。
さっきまで全く気配がしなかったぞ。
つかさず、「”目利き”」スキルを発動して確認した。
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①ミチル・タサキ:ヒューム 25歳 男 ジャンクキングLV15
*アクティブスキル*
マルチリペア
目利き
クリーニング
永久機関
魔獣解体
ユニークアイテムデザイナー
スーパーエコロジーリサイクル
ニコイチ
*パッシブスキル*
節約レベルアップ(大)
省エネ(大)
交渉力(大)
コレクターボックス
②レン:猫耳族 21歳 女 シノビ LV24
③ベンジャミン・マクギルス:エルフ種 35歳 女 ドラゴンベイン LV23
④スザンナ:ドワーフ種 20歳 女 マイスター LV5
⑤ユリ・ヒカゲ:ヒューム 15歳 女 大魔道士 LV1
⑥アレックス:アマゾネス 34歳 女 拳聖 LV3
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「目利きして確認したろう、俺だ。驚かせてすまんな」とおそらく5年後の俺だ。
「5年後の俺たちですか?」
「そうだ」と、5年後の俺。
「時間が無い、手短に話そう。だいじょうぶか?」と、5年後の俺。
「大丈夫です。先輩」なんか5年後のおれに丁寧な言葉を使ってしまう。まあ先輩だからな。
「ハハハ、いいね先輩とは」と、5年後の俺。
「さっそくだが、俺たちは、この時点の5年後からユリの時空間魔法”タイムトラベル”で”ここ”に来ている。
そこで、来ている理由だが、俺たちはしくじったんだ、強くなるのに時間がかかり過ぎた、のんびりチンタラ、安全にレベルアップし、強くなった。そしてこのゲームみたいな異世界のゲームとしては”バッドエンディング”となってしまったんだ。
細かい情報はあとで渡すノートに記した。
要するに1年以内にユリを大魔道士に育てて、俺たちの元の世界に戻り、時空世界のズレを少し補正する必要があるんだ。で、
その前に注意点だ。”全員自分には絶対に触れないこと”
”余裕をとって2m以内の自分に近づかないように!”
仮にふれあった場合、両方が消失する可能性がある。
そして、話をつづけよう。
まず、ここにあるパンドラボックスだが、どこかの面にシリアル番号が小さく書かれている。あるか?」
「あります。僕の持っていたのは73番です。ここにうまっていたのは125番です。」
と、俺。
「で、その周辺を探すと、200番台とかあるから、その125番と一緒に持っておいてくれ。君の73番は埋めておくと良いだろう。
なんでか?、の理由だが、
君がここに来る前に見た、”君が転送されるあの動画は偽物”だ、あいつらが言っていた、”君じゃないとだめなんだ。”と言っていたことも嘘だ。あいつらが君に見せて信じ込ませた、パンドラボックスの”新しい物”と発見された”古い物”も嘘だ。回収なんてできてやしない。
”単に貧乏な学生や社会人を探し、そいつらに数億渡し、こちらの異世界に200人以上も転送時の設定を少し変更しながら転送を繰り返している。やつらの実験なんだ。”
この丸いクレータみたいな跡の理由は分かるだろう。転送ビーコンと名付けた自爆装置を首につけスイッチを押した跡だ。
レンが罠だと指摘し、”目利き”スキルで鑑定しなければ、俺たちもこうなってた。
埋めてすぐに使ったやつは、これ。少し歩いて歩きながら使ったやつは、あそこ。
遺跡の岩に腰掛けすこし一服してから転送ビーコンを起動し爆風で遺跡ごとふっとんだ奴の痕跡があれだ。中にはパーティーでここまで来て、パーティーごと吹っ飛んだやつもいることだろう。
わかったか?、あいつらは、罪も無い人間を殺している。
やつらは、この世界が自分たちの世界の3000年前だと信じているんだ。
自分達の利益の為、根本的なやり方が間違っていることに気づかないで、何回も人体実験しているんだ。馬鹿だろ」
と、5年後の俺。
俺は、全身の力が抜けるのを感じた。そして、その場にひざをついた。
「俺はなんて馬鹿だったんだ、あんな簡単なトリックに騙されたなんて、よく考えればわかったはずだ。そういえば報酬はもらった。でも事前に報酬はもらいましたよ」と俺、
「あの社長の年収は300億円だぞ」と、5年後の俺。
「俺にしたらすごい大金でも、やつらにしたら”はした金”かあ、たしかにあの社長なら財布から簡単に出せる額だな。」と、俺。
「おい、しっかりしろ、俺もお前もだまされた、重要なのはこれからだ。幸いお前は、あの転送された直後に戻れるルートを手に入れたんだ。これはやるしか無いんだ」と、5年後の俺。
「わかった、ヤロウ」俺もいまヤロウ派になった。
「では説明を再開する。将棋には、最善手という言葉がある。”局面にける最も良い手のこと。”だ、君たちにはぜひそれだけを進んでもらいたい。そこで、これから俺が作成した最短攻略ノートと、攻略マップ、攻略データを渡す。あと金と必要となる装備もだ。装備については通常作成できる物とした。現在私たちが装備している物にはユニークアイテムがあるが、それは渡せないんだ。時間がないさっそくやろう」
と、5年後の俺。
「まず、スザンナ、彼らに装備を渡してくれ」と、5年後の俺。
5年後もあまり変わらないスザンナが、俺たち全員にそれぞれ1つづつ布袋にはいった装備を自分のアイテムボックスから出し、それぞれの前に置いた。
「そして、これが攻略ノート、攻略マップ、金貨8000枚だ。あと、携帯端末を出してくれ。データを転送する。」と、5年後の俺。
おれは端末を出すと、データ送受信を可能にしようとするがうまく相手を認識できない。
「アッだめだ、全く同じデバイス識別コードだから相手を認識できない。」と、5年後の俺。
「メモリーカードを抜いてそこにおいてくれないか」と、5年後の俺。
メモリーカードを抜いて布袋の上に置いた。5年後の俺がそれを手に取り、端末にさしてデータを転送し、もう一度布袋の上に置く、俺はそれを端末にさしておいた。
「で次、最上位職ジョブの取得方法の詳細は攻略ノートに記載した。が口頭でいうと、
先ず、レンだ、レンは今解除できる。」
「これを装備するニャン」5年後のレン、が自分の差している刀をレンの布袋に置いた。
「それを装備して、ステータス開くニャンよ」と、5年後のレン。
レンは借りた刀を装備すると、”ステータス”を開いた。
「アイテムの力を解放しますか?って出てるニャンねえ」
「それに”OK”するニャン」と、5年後のレン。
「あっ、ジョブがシノビになったニャンよ」とレン、
「その刀をわたしに返してニャンよ、それはあげられない物ニャンね」と、5年後のレン。
「はいニャン」レンが布袋の上に置く。
「うけとったニャン」と、5年後のレン。
5年後のレンは言葉使いは同じだが、かなり大人に見えた。
エルフとかドワーフとかって年取らないように見えた。猫耳族はヒュームなみに年を取っているようだ。
「レンの”シノビ”へのクラスアップはこれで完了だ。アサシンのスキル期間最短記録だろうなあ、ハハハ」と、5年後の俺。そりゃそうだ。アサシンだったの1時間くらいか?
「次は、ベンだな、レッサー・ドラゴンを弱らせて2枚重ね、一太刀で2体の首を同時に刎ねるだけだ。簡単だろ、男爵にも教えてやってくれ。詳細はノートに記載した。」と、5年後の俺。
「次は、スザンナ、スザンナは鍛冶師LV40でクラスアップできた。詳細は不明だ多分大丈夫だろう。すまんな。」と、5年後の俺。
「そして、ユリ、ユリは最も重要だ、魔法使いLV25で魔道士になり、魔道士LV30に成ったら、北にある賢者の祠に行ってくれ。詳細はノートに記した。」
「そして、昔の俺だな、実は、この任務の遂行に直接関係ないから教えないことにした。面倒で難しい。無駄な時間を消費してしまうだろう。これは、最後の任務完了後に自分で探してくれ。」
「あとは、おっともう無理だ。では、詳細は攻略ノートに記しているし、必要な物は布袋に入れてある。えーと後は、そうだ。ノートに記載した最後の始末の付け方は俺がやったやり方だ、これは現場の君の判断にまかせた」と、5年後の俺。
「お兄ちゃん、時間だよ!」と、5年後のユリが言った。なんの時間なんだろう?
「ユリ頼む、じゃあな昔の俺、頑張れよ」と、5年後の俺が言い。
彼の仲間がユリの周りに集まると、一瞬で消えた。
しばらく、ボーとした。
おれは、爆発跡のクレーターの周辺を掘り返し、251番を掘り当てた。
こいつは251人目、俺を除いた250人目に死んだやつが埋めたパンドラボックスだ。
それを、先に見つけた125番と一緒にアイテムボックスに入れた。
そして、自分がもっていた73番を土に埋めといた。
携帯端末で、座標と、埋める写真を撮り、おれが埋めた証拠を確保しておいた。
これで第一の俺の目標は達成した。
そして次だ、
攻略地図とノートを広げた。
「まずは、漁村ガロンに帰るんだな。」
「とりあえず、ここでの仕事は終わった、漁村ガロンに帰るぞ。暗くなっちまう。」
と、俺。
心がパンクしそうだ。
みんなを見ると、5年後の自分が立派に見えたらしく、なんか凄く張り切っているいるように見えた。
ベンは先輩からもらった装備をすぐに身につけたいらしくソワソワしている。
「装備変更したいやつはどうぞ」と俺が言うと、全員装備を変えた。
1つ持ち主の無い布袋は”アレックス”と言う大きい女性の物らしい。俺のアイテムボックスに入れておいた。
ベンやスザンナ、ユリ、レンの布袋には、装備以外に、ノートのような物が入っていたみたいだ、自分への手紙と言うかそれぞれの攻略ノートだな。
みんなそれを広げて読み出した。
「こっこれ凄いです、未来の私からの鍛冶アドバイスです。こんなレシピが、ゴーレムの研究まで、わわわ。ヤバイ内容です。」とスザンナ。ニヤついている。
「スキルコンボの必殺技から、剣術の工夫、足の位置や呼吸まで、凄い」とベン、驚いているな。
「ところどころ字が読めないニャン、勉強するニャンね」とレン、お前はまったくもう。
「まてまて、移動が先だ。帰り道を急ぐぞ」と、俺。
俺だって早く見たいんだ。その攻略本を、
先輩もできなかった、最善手の一つひとつを、
そして俺は、1年以内にこのゲームみたいな異世界の現実をパーフェクトでクリアしてみせるぜ。
第一部完 第二部に続く。




