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光の庭  作者: みずいろ
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01.プロローグ

 私には3つ年下の弟がいる。


 名前はアレックス。


 これは内緒の話なのだけれど、アレックは魔力不放出症だ。自分が生み出す魔力を体外に上手く放出できなくて体内に蓄積されていってしまう病気。


 身体の中の魔力を上手く体外に放出できないのは、魔力を持ち出す小さい子どもには良くあるもので、私も4歳の頃はそうだった。


 だいたい数ヶ月~1年で放出の方法を覚えて初等部に入る6歳の頃には自然と出来るようになるものがアレックスは出来なかった。


 もしかして、と王都の医者にかかったところ、色々な原因があるうち、アレックスの場合は放出のための気道のいくつかに、魔力の結晶が詰まり、塞がってしまっているというのだ。


 アレックスは身内の贔屓目を抜いてもすごく良い子だ。


 穏やかで、努力家で、笑顔が可愛くて、たまに年相応にやんちゃで。人の悪口をいったり、わがままを言ったり、そんなことは一度も無かった。


 なんでアレックスがこんな目に合わなくちゃいけないんだろう、とずっと思っていた。


 私の方がよっぽど悪い子だ。いたずら好きで、お稽古をサボったり、侍女の目を掻い潜って木に登ってみたり。


 この病気は治すのが困難だ。


 治らないなら代わってあげたい。


 ずっとそう思っていた。


 だから、急に目の前にチャンスが訪れたとき、私はアレックスの手を引いて無謀にもその奇跡を掴みに走っていたのだった。

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