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二度目のおしごと

 町長と名乗ったおっさんが言い出した。


「ワーウルフじゃが……以前は街に近付いては来なかったんだがの。

 どうも最近ちょくちょく近くに来るようでの。

 ……もっとも、あんな大群は初めてじゃが。

 魔王の魔力が高まって来ておるのかもしれぬ……。


 どうじゃ、3万ギルダーで巣の討伐に行ってはくれぬか?」


 ……今はお金に動かされるようなあたしたちではない。が、さすがに黙って見過ごすわけにはいかないし、そもそもそれくらいの依頼をこなせないようなら、魔王討伐なんて到底無理だ。二つ返事で引き受けた。


「巣は1箇所だけなんですね?」

「増えていないとは言い切れぬが、な。」


 不安なことを言われたが、気にしている場合ではない。

 目の前のご馳走を平らげたら、早速装備を買い換えて出発しよう。


「おおそうじゃ、この街には伝説の剣があるんじゃよ。

 前回の魔王封印のときの戦士さまが使っておったらしい。

 それも持って行くがいい。」


 ……前回の魔王封印のときの戦士さま?

 それ、あたしたちのお父さんなんだけどな。

 超胡散臭い。


 でもなんか強そうだから貰っとこっと。


「ごちそうさまでした! 剣はいただきます!

 あとは防具を適当に見繕って報酬から差っ引いといてもらえますか?」

「ああ、構わんよ。まぁ、この街じゃ大したものは手に入らんとは思うがな……」


 さっきの戦闘で、ルミのせいでぼろっぼろになったローブさえ買い換えられれば、正直何でもいいんだけどね。だいたいのものは、ルミの補助魔法で性能アップするし。


 ……そーいえば、ルミ。

 あたしはルミを肘でちょんちょん、とつついて睨む。


「あ。あの……言いにくいんですけど、さきほどの戦闘で家を1軒うっかり燃やしてしまったんですけど、大丈夫でしたか?」

「なんと! ワーウルフが火を点けるのかといぶかしんでおったら、あんたか!」

「はい……すみません。」

「家人は無事じゃがな、家は全焼じゃ。」


 町長さん、なんでワーウルフが放火したと思うの……?


 修繕費用、というか一軒家を丸々作る費用を報酬から引くという話でまとまった。

 ……察しのいい方ならお気付きであろう、つまり、タダ働き。

 いくらお金に困らないとはいえ、ああもうっ!

 まぁ、修行だと思うしかない、か。

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