何かが変わる
何も起きない。
背も伸びないし、ウエストもくびれない。飛べるようになったわけでもなけりゃー、魔力や体力が上がった感じもしない。
うーん、骨折り損だったかな……そもそも、ワイバーンって、助けてよかったの? まぁあれだけ流暢に話しかけて来られて、問答無用で斬る! なんてひととはなるべくならお付き合いしたくないし、今のあたしたちには到底かなう相手ではないのだから、他に選択肢はなかったのかもしれないけど。
その夜。
あたしはなんとなく皆を誘ってカジノに行くことにした。
ルミは眠いから、ハツネはギャンブルは嫌いだから、と、結局ひとりで行くことになった。
さてと、あたしも全然ルールわかんないし、とりあえずスロットマシーンにコインを1枚入れて……がしっ。
ダンッ! ダンッ! ダンッ!
え?
7が揃っちゃった……。
もしかして、ワイバーンの血の効果って、これ?
ジャラジャラジャラジャラ……止まらない払い出し。
周りの客がざわざわし始めた。
どうしよう。怖い!
とりあえず、ルミを呼びに行くことにした。
……が、黒服のこわもてのお兄さんに呼び止められる。
「お客様、失礼ですが魔法で不正遊戯をされたというようなことは……。」
「ありませんっ!」
走って逃げる。コインの払い出しはまだ止まらない。
ルミを叩き起こして、ついでにハツネも連れてカジノに戻る。
「アキちゃん、もう夜中の2時だよ?」
ルミが言う。……言われてみれば。あまりにカジノやカジノ周辺が明るいので気付かなかった。
結局、ルミもハツネも大勝。ビギナーズラックではないだろう。
さっきのこわもてのお兄さんが、ちらちらとこちらを見る。
周りのお客さんたちも、こちらを見ている……気がする。
なんとか無事に換金できて、大金ゲット……いいのかな、これで?
それから2週間……経たず、1週間。
やりとげました。ちゃんと、隣の村へのトンネルを掘りましたよ。
報酬もちゃんと貰って、宿の確保と食事を贅沢に楽しんで。
やっぱりワイバーンの血には運が良くなる効果があったみたいで、ちょっと掘り進んだらもう拓けてるだとかそーゆーのが続いてさくさくと仕事が片付いたというわけ。




