未知との遭遇
こつこつ……こつこつ……コツ。
……コツ?
「ルミ、ハツネ、ちょっと待って。ここ、なんかある!」
――と、声がした。
『何かではない、生きておる。』
「喋った!?」
『昨日の地震で埋もれてしもうた。
我が名はバーン。そなたたちの言うところのワイバーンじゃ。』
偉そうな口調で喋ってはいるが、土砂まみれで姿はほとんど見えない。
あまりにも格好悪い。ダサい。
とはいえ相手は自称ワイバーンだ。黙っとこ。
っていうか、地震なんかあったっけ?
……あ。昨日の崩落。あたしたちのせいだ。黙っとこ。
あたしは唇に指を当てる。2人は頷く。
「それは大変でしたね……
あたしたち、いまこの辺を掘ってるんです。
ついでにと言っては何ですが、掘り出してあげますね。
お礼は弾んでくださいよー♪」
……ワイバーンって、お金は持ってないよねぇ。
あたしたちはこれまたこつこつと、ワイバーンの周りの岩を取り除く作業に没頭していた。
取り除き終わったら、あらカッコイイ。さっきはダサいなんて思って申し訳ない。
『感謝するぞ、人間たちよ。礼は弾めと言ったな……ワシの血でも浴びるか?』
バーンはとんでもないことを言い出した。
「それって、不老不死になる、ってヤツ……?」
おばあちゃんから聞いたことがある。ドラゴンの血を浴びると不老不死になるとか。
『ハッハッハ、不老不死になどなったら苦しいだけじゃよ。ワシ程度の寿命でも生きるのが面倒じゃ。』
「じゃあ、何が起きるんですか?」
『何が起きるかは、ワシは知らんよ。何かが起きたら、それが効果じゃ。』
えーと。
要するに。
わからんけど、ご利益ありそうだから受け取れ、と……?
まぁいっか。ご利益ありそうだし。
『では行くぞ人間ども。』
バーンは翼の先っぽにちまっと小さく噛み跡を付けて、あたしたちに血を浴びせてくれた。
……結構、痛がりさん?




