新たな依頼
改めて隣町に戻ったあたしたち一行。
そういえば、町長さんに報告してないや。まさかのうちの村長が犯人でしたーですっぽ抜けてた。
「なるほどのう……あの村の村長が犯人だったとな。
それにしても、咄嗟にフレッシュゴーレムを作るとは、なかなか有能じゃのう。
わしがスカウトしたいぐらいじゃよ、ハッハッハ。」
「まぁ、数年は出てこないんじゃないかと思いますけどねぇ……。」
「しかしお前さんたち、ついとるのう。あの村の出身じゃったからすぐに村長じゃと気付いたわけじゃし。」
「それはそうですね……どこの誰ともわからぬジジイを捕まえたところで面倒ですもんね。」
あたしは出されたスコーンと紅茶に手を伸ばしながら答えた。他の二人は既におかわりまで頼んでいる。確かに、このパーティの主導権はあたしにあるのかもしれないが、そういう問題なのか……?
不意にルミが切り出す。
「あの、そういえば、あたしが燃やしちゃった家、順調に建ってます?」
「あの全焼した家か。どうにも人手不足でな、何ならお前さんたちが建てるかい?」
「い、いえ、すみませんがそういうのは専門外でして……お役に立てそうにないかと。」
そこにハツネが言う。
「新築じゃなく、元の状態に戻す程度なら……おそらくできると思いますが。」
「なんと! それは頼もしい! では2万ギルダーでお願いしてもよろしいかの?」
「「「はい!!!」」」
ルミ、ちょっとは遠慮しなさいよ……。
焼け跡にまたあたしたちが見たこともない魔法陣をさらさらと描き始めるハツネ。あたしたちの知識不足・経験不足を完全に補ってくれるハツネには感心するしかない。
そうこうしているうちに、魔法陣が出来上がったようだ。ここに何かを発動させて終わり?
「アキちゃん、ルミちゃん、ちょっと手伝って。あたしの魔力だけじゃたぶん発動しない。」
「「へっ??」」
「手を繋いでてくれるだけでいいの。あとで疲れちゃうとは思うけど。」
「「わかった!」」
あたしたちは3人で焼け跡の方を向いて、魔力をハツネに集中させる。と、ハツネが何だかわからない呪文の詠唱を始め……
”Zurück!!”
あ、すごい。おんぼろな家が復活した。って、ちょっと待って、魔力、魔力切れ……。
そのまま3人仲良く倒れてしまった。