序章
あたし?
あたしは魔導師のアキ。
今はドラゴンをぶったぎってるところ。
え?
なんで斬るかって?
そりゃー、あたしが魔法なんてさっぱりわかんない脳みそ筋肉の魔導師だからよ。
隣で、双子の妹のルミは、補助魔法をかけてくれてる。
ルミは戦士。
……どーしてこーゆーことになったかとゆーと。
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18歳の誕生日。冒険者は役所に登録して、職業を決められる日である。特に適正シートなどというモノを書くでもなくなんでもなく、ただ役所に行くと「はいじゃああなた今日から僧侶ね」と事務的に手続されるだけの誕生日。
前回の魔王封印の際に勇者と共に旅をしたという両親を持つあたしたち双子の姉妹の18歳の誕生日。
さて役所に行きますと……。
「あなたは戦士。あなたの方は魔導師ね。」
……は?
魔力が少なく、呪文の詠唱もうまくいかないような脳みそ筋肉のあたしが魔導師。
体力もなく、学校でもずっと体力系の科目は燦々たる成績だった妹が戦士。
……嘘デショ!?
そりゃー、勇者になりたかったという思いもあるけど、冗談抜きでそんな職業でやっていけるとは思えない。
「「あの、私たち双子なんです、何かの間違いじゃないですか?」」
あたしたちが揃って声を上げるも、お役所仕事で一応きちんと検索をした結果、
「いいえ、間違いありません、ルミさんが戦士、アキさんが魔導師です。」
無機質に答えられた。
……ふざけんな。
これから、どうしよう……。