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呪魔祓い—Believe in your honesty—  作者: 弱酸
序章
2/19

補足の補足

 補足の章においては、身元を明かすことはできなが特殊なルートを通じて入手した、キララたちの世界において出版されている各種書物・資料等について纏めてある。

 なお、書物中にて使用されている暦法については、我々の使用してるグレゴリオ暦とは大幅に異なるものであり、既存の暦法と互換性を有していないことから、記載されている年代について補足等は一切行えない。

 少なくとも言えることは、我々の住む世界とキララたちの住む世界は、同じ4次元空間に存在しながらも、それらは普段において干渉することはないということである。これはつまり、我々の住む空間Wとキララの住む空間W'はほとんどの場合において、独立しているということである。

 しかし、時として稀にその秩序に異変が訪れることがあり、局所的に空間が同期あるいは転移することにより、あらゆる物質が空間を乗り越えることがあるようだ。

 これらの不可解な現象は、世界中で確認されており、過去に出版された新聞記事データベースに参照したところ、いくつか疑わしき記事があったため以下に抜粋して付記する。


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毎日経済新聞 朝刊 九州版地方面にて[1972/11/10]

 近隣住人は驚きを隠せないでいる。福岡県警小倉北警察署は8日、福岡県北九州市小倉北区(プライバシー保護)で洋裁店を営む糸永康弘さん(65)と妻ツキさん、次女美智子さん(41)の三人が住んでいた自宅とともに忽然と姿を消し、家族の依頼に基づき公開捜査に踏み切ったと発表した。

 建物は、不規則にえぐれた形で消失しており、そのえぐられた表面は黒く焦げた状態になっている。火事が発生した等の報告もなく、近隣住人の話によると深夜の間に糸永さん一家は、家ごと消失したようである。

 康弘さんは近所で大変評判が良く、町内会長等も積極的に引き受けており、金銭や人間関係で悩みを抱えている等の話はない。

 警察内部の話によると、事件性のある物的証拠・証言等は未だに見つかっておらず、何かしらの事故であるとして、捜査を進めるとのことだ。

 事件現場周辺では、頻繁に上空を往来する米軍機が目撃されており、未公表の新型兵器が誤って投下されたのではないかという噂もあるが、真相は謎に包まれたままだ。


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The World Press 日本語版[2006/4/5] アーカイブ記事

 彼らはUFOにさらわれたのか?

 動画共有サイトVideoGo!に投稿された、イギリスの少女ニーナちゃんの投稿動画が今ネット上を賑わせている。

 彼女の話によると、イギリスの首都ロンドンの郊外レッチワースに住むキットソン一家が、家族でピクニックに出かけたきり帰ってこないというのだ。

 一家行方不明の件については、地元紙で取り上げられており、一家は先月の12日、近所にピクニックに行くと言い残したきり帰ってきていない。一家が何かしらのトラブルに巻き込まれているという情報もなく、また、周辺に乗り捨てられた車もないため、地元警察は頭を抱えている。

 また、それに類する不可解な情報として、レッチワースにほど近い公園ヒッチウッドでは同日、原因不明の直径10メートルほどのえぐられた穴が発見されている。

 ニーナちゃんは、動画の最後で「エリスちゃんにこの動画の存在が伝わりますように。私はエリスちゃんのことをずっと待っているんだからね!」と涙ながらに話した。

 この投稿に対して、1000件以上のコメントが寄せられ、

 「ニーナちゃん可哀想! みんなで拡散してエリスちゃんに伝えよう!」

といった励ましの声が寄せられる一方で

 「そういえば、あそこら辺ってUFOの目撃情報結構あっったよね。もしかしたら、この家族も……。」

といったオカルトと結びつけたコメントも散見された。

 

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 これらの話は、神隠しに代表される、ある日突然姿を眩ました者が、年月を経て突然姿を表したといった話とは、その性質を全く異にしていることは明らかだ。

 神隠し等は、その体験者の主張する話によれば、ある日異世界に突然運ばれ、紆余曲折の末に元の世界に帰ってきたところ、体感時間とは大幅に異なる時間が実際には ---- 我々からしてみればだが ---- 経過したという話が大勢を占めている。

 しかし、先ほどの記事にあるような内容は、 明らかに異世界に対して、我々の住む世界の物質が丸ごと何かしらの巨大なエネルギーを受けて一方的に移動したとしか考えられない ---- 少なくとも私が入手した資料を読んだ限りではだが、


 特殊ルートから入手した書物等の言語は、我々の使っている言語とはある程度異なる物である。

 しかし、関係者より当該言語と執筆者の用いる言語の対応方法について教えていただいたところ、文法や必要とされる表現の完成において殆ど我々の意識と変わらないことがわかった。

 これはつまり、異世界という存在は、何かしらの形で私たちの世界と連動しているとも見て取れるのだが、前述のように原則的に二つの世界は独立しているはずなのでそこに関する真相はまだ闇のままだ。もしかすると、もともと一つの世界だったとも考えられるのだが、これは早計だろうか?

 今後後悔する資料については、筆者が翻訳したものを公開していく。


謝辞

 身元を後悔することはできないが、本公開資料の執筆に協力してくださった、たった一人の関係者に心より感謝申し上げる。


弱酸


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