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何も無かった者  作者: あーる
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プロローグ

処女作ですのでご指摘お願いします。

プロローグ


今日、私は死んだ。


何て事は無い、寿命で死んだだけ。


今迄の人生も、そうであった。


波など立たず、嵐などおきず、但し無くなることも無いような「普通」な人生だった。


人は皆、波乱万丈と聞いたことがある気がするがそんな事はない。


少なからず、私は何も無かった。


だから中学生のあの時に引き篭もったのは誰かの気を引いて、その何かを見つけようとしたのかもしれない。


だけど、そんなものは見つからなかった。


高校生になっても何も変わらなかった。


学舎に言っては当たり障りの無い会話をし、

上辺だけの話に花を咲かせ、

作り笑いを浮かべる。


何も無かった私には、いじめっ子達も興味を示さなかった。


その後も大学、社会人、と歳を重ねても何も変わらなかった。


寧ろ、皆が皆腹を探り合い、化かし合い。


中学生の頃から思っていた。


何故、皆は楽しそうに笑っていられるのか。

何故、自分は仮初の笑顔しかできないのか。

何故、私には何もないのか。


皆はまるで漫画の主人公のように、泣いて、叫んで、怒って、そしたら大概上手くいく。


それはある種の才能なのか。


才能ならば私は無かったのか。


私は泣いた所で馬鹿にされ、叫んだらまるで狂人と話しているかの如く二度と近くに人が来ることはなく、そして、怒った所で何も変わらなかった。


何一つ変わらなかった。


何時頃からか私は自分が分からなくなった。


今笑ってる自分が本当の私?


それともこの怒ってる私?


この泣き叫んでる私?


分からない。分からない。


だから私は誰と話しても、何をしていても、ストレスが溜まっていった。


だから私は人と距離を置いた。


仕方の無いことだと思う。


こうでもしないと私は2ヶ月も経たずに暴れてもしまうだろう。


それ程に私の心は病み、荒みきっていた。


でも私は心の何処かで願っていたのだろう。


もし、私が主人公ならばここで救世主が来てくれる。


そう、思っていた。


だが……いや、やはりと言った方がいいか。


私の元に救世主など来ることは無かった。


来るのは、幸せを纏った死神ばかり。


しかし、30歳を超えた頃。


駅のホームで泥酔状態の会社員を見た。


その会社員はそのまま線路の方に歩いた。


少ない順番待ちの後ろに止まろうと思ったのだろう。


しかし、足元が覚束無く、そのまま転けた。


線路へ。


それを見ていて、私は思った。


ああ……これが自業自得という奴か


自分にも当てはまると思ったのだ。


悪いのは世界ではなく、そんな考えを抱いた私の方だと。


少し、心は軽くなったように思う。


それでも世界を好きにはなれなかった。


その後も人との距離を置いて生活していた。


今は寝室にて、1人、最期の時を待っている。


人生を振り返り終わったら丁度迎えが来たみたいだった。


意識が徐々にぼやけてきた。


覚束無い思考の中、私は思った。


中学生の頃の夢、それを叶えたかったと。


意識が途切れる前に私は呟いた。


『強く…………全てを越える力が……』


それは、俗に言う厨二病と、言われるものであったが。


しかし、男ならば1度は考える事であろう。


普通な私は最期の時まで普通であった。


この時迄は……


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