お祭り騒ぎに便乗して飲むタダ酒は旨い
当初から今まで、プロントさん以外の登場人物はギルド長のみ。
だってキャラの名前覚えるの面倒じゃないですか?
いつものようにギルド長の私室。最近こいつは俺を頼りすぎではないか?
だが、こいつの依頼は報酬がよく、週1日勤務で十分な暮らしができる今の環境も捨てがたい。7大罪のうち<暴食>でなく<堕胎>がお似合いだと皮肉を言われる日も近い。
『ちと厄介な魔物が発生しての・・・』
『お前はそれでいいのか?』
『コカトリス、石化の魔眼をもつ厄介な相手じゃ』
『肉が旨いな』
旧世界では、熟練冒険者からニワトリ扱いされる倒し易い魔物だったと記憶している。
一部の伝説級の魔物や神は「見るだけ」で一方的に石化や即死をさせるチート能力があるが、コカトリス程度の量産魔物はそこまでの能力はなく「視線を合わせる」事が必要になる。ならば対策は簡単で視線を合わせずに倒せば良い。最強のナイトたる俺は敵の攻撃をふんいき()で感じることができる。ヤンキーから視線を逸らす中学生のように下を見ながら歩いてもコカを倒す事に問題はない。
新世界での一般的な対処法は、罠に嵌めて動きを封じてから大量の弓で遠距離攻撃。石化の魔眼は射程が短く十分に距離をとれば効果がおちる、しかし狙いを付けると目が合う可能性が高いため、狙いを定めずに打ちまくる。そのため多めの兵が必要になるそうだ。
『それをお主にソロ討伐して欲しいのじゃが』
『どちかというと大反対、何故人手が足りない』
『この街の衛兵は盗賊討伐に出ておる、冒険者で討伐を任せれるPTは出払っている。そしてコカトリスの出現場所は主要街道から近い』
『俺は孤高のナイト。だが転ばぬ先のバックアッポが欲しい。新米に荷車を引かせ、石化ポーションを持たせろ』
『ポーションはともかく何故荷車を』
『今夜は串焼きパーティだ』
(中略)
ギルド前の広場で串焼きパーティーをするご満悦なプロントさんの姿があった。プロントさんは町の人気者、「凄い!」「流石!」「憧れちゃうな」「これで勝つる!!」と皆が口々にヨイショし豚が木の上でカーニバル状態。
心からの言葉ではない、だがそれで良いとプロントは思う。今は気持ちよく酒を飲むことが大切だ。
俺ツエーな英雄譚にするか、のんびり魔物狩りライフにするか。
成り上がりストーリーの方が受けが良い気はするんですよね。