俺がナイトだ!!!
冒険者登録の騒動から1週間ほどが過ぎた。ギルド長の課題を無事クリアしC級ライセンスの付与という事でギルド長の個室にいる。
Cランクは中堅冒険者。優秀でなくても注意深く地道に活動を続ければ辿り着けるラインである。そのため危険な魔物退治は少なく、圧倒的な力よりも冒険者としての経験がある事を期待する依頼が多い。例えば護衛任務で新人4人にCランクが1人付くといった具合である。
そんな訳でパーティでの活動が多くなる点についてギルド長からアレコレと小言がくる。
『そういえば、お主のいう<光属性のナイト>について詳しく教えてくれんかな』
『俺がナイトだ!!』
『お主が他の冒険者と違うと思うことを説明してくれんか?』
『キングベヒんもスの一撃を受け止める最強の盾だ』
キングベヒーモスは象の化け物であるベヒーモスの親玉だ、街を破壊できるレベルの災害だと認識して良い。さて、一般的な冒険者と比較をしてみる。5点評価では次のようになるだろう。
普通の戦士 耐:4,攻:5,魔:1
普通の神官 耐:4,攻:3,魔:4
光のナイト 耐:5,攻:3,魔:3
ここでいう神官は白魔道師ではなく武装神官である。鉄鎧を着て、メイスでモンスターを撲殺する野蛮な連中だ。教会の任務として魔物退治をするため冒険者と関わることは少ない。彼らは回復魔法や解呪は使えるが攻撃魔法はない。目潰しや捕縛といった補助魔法が精々だ。
そして、光たるナイトであるプロントは軽微な回復魔法と攻撃魔法が使える。唯一の攻撃魔法.<ホーリー>は旧世界でも生半可なナイトでは使えない、致命的な致命傷を与える神聖属性の一撃だ。
攻撃はそれほど得意ではない、パーティの盾となるのがナイトの役目。だがプロントがもつ<暴食の剣>は神話が出典の剣だ。普通の戦士に攻撃面で遅れをとることはない。
・・・・・・そんな事をかいつまんでギルド長に話す。
『そうであれば、元神官見習いとして活動するのが目立たぬかもな』
『俺がナイトだ』
『ふむ、元神官見習いで現在はナイトを自称する。それで良かろう?回復魔法が使えるのは神官時代の修行のおかげ。攻撃魔法については暫くは隠した方が良いじゃろ』
『ほう、経験が生きたな。老骨でズルい、さては忍者か?』
『お主はまだCランクじゃ。このランクの依頼では攻撃魔法なしでも十分じゃろ?異国の英雄どの』
最後の一言は皮肉か挑発か。とりあえず味方だというのは有り難い。