がっこうとうちゃく
ヒロイン攻略対象と出会う そのいち
一人の少女が校舎を見上げている。
鮮やかな金の髪と瞳。
同世代の少女達と比べて背丈は高めで、均整とれた肢体を白い制服が包んでいる。
胸元には、黄色の糸で光の紋章が刺繍されているう。
その傍らには、少年が立っている。
黄色い髪と瞳。
少女より背丈はすこし高め。
男子用の制服である、白地に金の縁取りのされた腰よりすこし下までの詰襟の上衣に、同じく白いゆったりとしたズボン、くるぶしまでの茶色のブーツを履いている。
胸元の紋章は、少女と同じく、光。
少女の名前は、春日姫華。
少年の名前は、黄神琥珀。
後天的に魔力を得た少女と、彼女をひきとった黄神家の傍系にあたる少年だった。
「わー‼ ここが学園なんだー‼」
「ふん。子供でもあるまいし、はしゃぐな。
黄神の格を貶めるつもりか」
「なによ、えらそーに」
膨れっ面をする姫華を見下ろして、琥珀は告げる。
「えらそうではない。
俺はお前の監視役だから当然だろう。
とにかく、まずは教室へむかえ。
簡単なホームルームのあとに、入学式が始まる」
「ちょっとどこ行くのよ⁉」
姫華はあわててよびとめるが、琥珀は肩をすくめるとそのまま立ち去ってしまった。
「もー。あの俺様は!」
膨れっ面をすると、あきらめたようにため息をついた。
「とりあえず、教室をさがさなきゃ」
姫華は校舎に向かって歩きだした。