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さいしょのじつぎ

入学式から数日後。

授業も始まり、本日は初めての魔力の実技授業の日。

姫華も、他の生徒達もそわそわと落ち着きをなくしていた。

落ち着いているのは、魔力をの扱いに長ける更紗と琥珀だけだった。


「よし、授業をはじめるぞ」


時間になり授業が始まる。


「今日は最初の実技となる。

まずは全員、どれだけの力を持つか確認させてもらう」


教師が右手に持った魔道具を発動させると、実技場の一帯にさまざまな色や大きさの丸いシャボン玉のようなものがうかんだ。


「いいか。

順番にこの的を破壊してもらう。

全部壊せなくても構わないが、魔力を全力で使うように。

順番はー」


教師に呼ばれた順に的を破壊していく。

もっとも、全力でも半分を壊せればいい方だが。


「次、春日姫華」

「はい」


姫華は自らの魔具である片手用の長剣をかまえる。

魔具とは、万人が使える魔道具とは違い、持ち主専用に調整された道具で、魔力を使用する時の補助をしてくれる。


「やあ!」


剣に魔力を込めて一閃すると、すべての的が破壊された。


「すごい……」

「なかなかの魔力だな」


教師や生徒達の声に、姫華は笑顔を見せる。


「どうですか」

「ああ、満点だな」


教師の言葉ににっこりと笑って、姫華は更紗のそばにもどった。


「次、黄神琥珀」

「はい」


琥珀は魔具を使うこともなく、あっさりと的を破壊する。


「……さすが、六家……」

「おい、六家といえば次は……」

「最後、紫神更紗」

「はい」


更紗は落ち着いて中央に立つ。

そして自らの魔具に力を込める。

その魔力は、魔具である糸を通し、最小限の力で的を破壊した。


「紫神、なぜ全力でやらない?」

「学園を破壊するわけにはいきませんから。

琥珀さんもですが、私達の力で全力を出せば数キロ範囲内は更地になってしまいます。

確かに実技場の一帯には結界がありますが、六家の者の力を抑えるには弱すぎます。

ですから、逆に見本となるように、最小限の力で的を破壊してみたのですが、いけませんでしたか?」

「……」


更紗の言葉は単なる事実でしかない。

その事がわかって教師も、その事実に驚くしかない生徒達も、何も言えなくなってしまった。


「ま、そういうことだ。

俺も全力ではなかったが、力の使い方、という意味で見本にもならなかったからな。

逆に姫の方は、完全な見本だといえる。

何しろ、十数個しか壊せなかったものと同程度の力しか使っていなかったからな」

「……」


全員、言葉をなくしていた。

更紗は肩をすくめると、教師に話しかけた。


「そろそろ、お時間ではありませんか?」

「……そ、そうだな。

それではこれで解散とする。

次の授業からは、制御を学んでいくことになるからな。

まずは自分のやりやすい方法を見つけられるようになることだ。

では、解散」


教師はそそくさと逃げるように去っていった。


「サラちゃん、あれってわたしにもできるかな?」

「訓練次第です。

一緒に頑張っていきましょう」

「うん!」



「フン」

仲良さげな二人とはうらはらに、琥珀は更紗との力の差を感じて、暗い感情を覚えていた……

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