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ばーか

作者: 大空☆☆




 「じゃじゃじゃじゃーん!!見て見て、友達に頼んで作ってもらったんだー!!お兄ちゃん専用自白剤ーー!!」


 「待て、ちょっと待て、自白剤とか凄く気になること聞こえた気がするけど、それより先に言いたいことがやまほどある。何で俺は椅子に縛り付けられている。何で目隠しをされている。後、晩飯に何を盛った」



 気がついたらそこは真っ暗な場所で、そして体を椅子に縛り付けられ、両手を椅子の後ろで縛られている状態だった。

 いや、わかる。

 何言ってんだお前?とか言われてもおかしくないってことくらいわかるさ。

 でも俺も一言言いたい。

 この状況で一番状況理解をしていないのは俺だっつーの。

 さっきまで普通に妹と楽しく妹の手料理を食べていたっていうのに、気づいたら何か目が霞んできて、そしたらこの状況になっちゃってたの。

 ね?意味わかんないでしょ?

 今すぐにでも発狂して暴れだしたいところだけど、でもまだ我慢、我慢だ。

 まだこいつの話を詳しく聞いていない。

 発狂するのはそれからでも遅くないはずだ。



 「友達に頼んで即効性の睡眠薬を作ってもらったのだ。縛り付けたのはね、逃がさない為。アイマスクは凄まれない為だよ☆」


 「離せえぇぇぇぇぇッ!!今すぐこの縄を解け!お前を縛り上げて空き地に晒してやるからよぉぉーー!!」



 遅かった。

 てかもう手遅れだった。

 ウチの妹、もう取り返しのつかないほど犯罪に手を染めてしまっていた。

 どうしよう……どうやったら警察は動いてくれるのだろうか。

 証拠がいるよな?

 明日にでも盗撮専用カメラと盗聴専用マイクを買いに行こう。

 そして証拠を手に警察に引き出してやる。



 「あ、チャーンス。はいよっと」



 ポイッと何かを放り込まれた。

 口の中に。

 その瞬間、液体(味的に水だったと思う)を口に流し込まれ手で口を押さえ込まれる。



 「んーんーーッ!!」



 生命の危機を感じ、緊急信号を感じ取った体がその液体を体に取り込んでいた。

 そして瞬間に気づく。

 ……やってしまったと。



 「――さてさてお兄ちゃん、いやさ、兄様。兄様の秘密をここから暴いてやろうではないか。まずはそうだね……付き合っている人はいる?」


 『いないよ』


 「あは、効いてる効いてる。さすが澪だね。完璧に催眠状態になってるし、私の言うことにも絶対みたい。これなら縄を解いても大丈夫そうだね。うん、よしよし。楽しみだなぁ楽しみだなぁ。お兄ちゃん、好きな子はいる?」


 『いる』


 「え……!?誰々?その子って私の知ってる子……?」


 『うん』


 「…………幼馴染のきりちゃん?」


 『違う』


 「…………じゃあ、いつも図書室で一緒に勉強してる佐倉先輩?」


 『違う』


 「…………お兄ちゃんと一緒のテニス部の向日葵先輩?」


 『違う』


 「…………雪子会長?」


 『違う』


 「…………じゃあ、じゃあ誰なの?」


 『澪ちゃん』


 「え……?澪って…もしかして前川 澪……?私の親友の……?」


 『うん』


 「そ…そう……か。そう…だった…んだ……すん…で、でも……ぐす、何で?……何で…っぐ……澪…なの……?」


 『かわいいから』


 「お…兄ちゃん……えぐ…私のことは…すん……好き?」


 『嫌いだ』


 「――ッ!?な、なんでぇ……」


 『久美はいつも俺に迷惑をかけるから。いつも俺の邪魔をする。いつも俺を怒らせる。だから久美は嫌いだ』


 「…………こめん…なさい。もう…しないから……もう迷惑…かけない…から……えぐ…だから…だから…私を……嫌いに……ならないで……」


 「うん、まあそこまで反省するなら許してやろう。まったく、ブラコンの妹を持つと本当に大変だなぁ……」


 「……え?」



 俺は唯一残されたアイマスクを外し、立ち上がって久美の下による。

 そして涙で顔を汚す妹の頭を撫でながら袖口で涙を拭ってやる。



 「まったく、あんな変な薬飲ませやがって……。効き目が弱かったから途中で気づけたものの、効き目が長かったらどうしてくれるんだっての」


 「どこ…から……?」


 「会長あたりからかな?そこらへんからはお前に対するお返しってわけ」


 「う、うぅ……」



 ま、これでこいつもちょっとは反省するだろう。

 こいつみたいな奴にはこれくらいの罰を与えないとな、うん。

 ……いや、本音としては良心の呵責が凄いけどさ。

 泣いてる妹なんて見れたもんじゃない。

 なら何でやったんだって話だけど、仕方ないじゃん。

 最近妹がやりたい放題だったからちょっとお灸をすえるくらいにしか考えてなかったんだからさ。

 そしたらこれだよ。

 妹号泣。

 俺落ち着いているように見せながらも内心心臓がバクバク。

 それのせいで今この空間が凄く気まずい。

 正直なところ逃げ出したい。



 「ほら、泣き止めって。冗談だからさ」


 「澪が好きっていうのも?」


 「冗談冗談」



 いや、澪ちゃんかわいいからどちらかというと好きだけどね。

 でも変な薬を作っては俺が気づかないように服用してくるところは苦手だ。

 それ以外はちょっと不思議系の美少女なんだけどな……。



 「私が…嫌いっていうのも……?」


 「当たり前だろ、妹なんだから。俺が妹を嫌いになることなんてありえないから。ずっとお前のお兄ちゃんだっての」


 「そういう意味じゃないのに……」


 「え?」


 「なんでもない!もう、お兄ちゃんなんか大嫌……知らない!!」


 「お、おい、ちょっと!」



 行ってしまった。

 ああなってしまった妹は手に負えない。

 おそらく今日はもう部屋から出てこないだろう。

 ……はぁ、明日にでも何か買ってきてやろう。



 「ついでに澪ちゃんも呼んでおくか。そうしたらアイツもちょっとは機嫌よくなるだろう」



 俺は携帯を取り出し、澪ちゃん宛てのメールを作成する。

 するとその途中、メールの着信音がなった。

 誰からだろう?と思いながらも澪ちゃんにメールを送る。



 「そういうことだから明日、家に来てもらっていい?っと。よし、さてメールメール」



 名前を見ると、妹からだった。

 何々……題名、馬鹿?

 はぁ、ったくあの小娘め。

 言葉使いを改めろって。



 お兄ちゃんの馬鹿!!

 二年の人ならいいけど、澪で騙すなんて酷いよ!

 いつも一緒にいる澪だから凄く驚いたんだからね。

 ちゃんと私の気持ちも考えてよ、ほんとに。

 やっぱりお兄ちゃんは私が嫌いなのかも?って思っちゃったじゃん。

 ん?でも嫌いじゃないんだよね?

 だってさっき好きって言ってたもんね。

 言ってたもんね!?(笑)

 好きって言えるお兄ちゃんってさ、シスコンだよねほんと。

 君君、シスコンは馬鹿にされちゃうから気をつけたほうがいいよ(笑)

 いつも私ばかり相手してるから弁明は出来ないだろうけどね。

 つーか、私を泣かせた罰として明日買い物付き合って!

 物を持たせまくってやるんだから!!

 あ、逃げてもダメだからね!?

 リングの貞子みたいに追い詰めてやるんだから(笑)

 ガミガミ文句言いながら追いかけてやる(笑)

 とまあ、そんな感じに明日約束だからね?絶対だからね!?

 うん、もういいや、それじゃあまた明日、よろしくね!!



 ……もっと顔文字とか絵文字を使えよ、現役女子高生よ。

 普通今時の子は男子が読めないような文字を使うものだろう。

 澪ちゃんは違う意味で読めないメールを送ってくるけど、あの子は別だ。

 読めないっていうか理解出来ないからね、あの文。

 ま、一応返しとくかメール。



 題名;ばーか


 本文

 今時縦読みとか古すぎるんだよ。

 しかもどうせ作るならもっとうまく作れ、バレバレだ馬鹿(笑)

 明日だけどな、澪ちゃん呼んどいたから家で遊んでろ。

 その間にお前の好きそうなケーキとか買ってきてやるから。

 だからゆっくり遊んでろ。

 明日お前のメール澪ちゃんと一緒に見て笑ってやるからさ「ばーか」って(笑)



 送信、と。

 お、上から降りてきたか。

 拗ねてたから今日は降りてこないと思ってたら、よほど恥ずかしかったんだなメールの内容がバレたの。



 「お兄ちゃんの馬鹿ーッ!!」

昔友達間で流行ったメールのやりとりを思い出して書いてみました。


こんなメールもらったことなんてないです。


「ば~か」ならもらったことはあります。


その後罵倒されたのは秘密です。

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