騎士への不純な道
9/21後書きに追記
「ミト姉と結婚するために騎士になりたいんだけど」
オレがそう言ったら無表情になった。ヴェルデが。いやオリーバか。
大マジなんだが。そんなに変な事言ったのか?
「ロッカ、あなたねえ…
なんでミト姉と結婚するのに騎士にならないといけないの?」
「いや、騎士ってかっこいいだろ?お給金もいいみたいだぞ。
好きなオンナにはやっぱり楽させてあげたいじゃん。
それにかっこいいほうがオンナとしてはいいんじゃないのか?
オリーバだってそうだろ。かっこいい方がいいだろ?」
「あたしはプルプラなんだけど?」
う、オリーバじゃなかった。と言うかこいつら十二人もいるけど、
付き合いも随分長いはずなのにみんな全然区別がつかない。
なんでロド兄はこいつら間違えないで呼べるんだろう?
「あー、間違えられてもあれだ、面倒だし。集まってー」
プルプラの一声でハーフエルフの残り十一人が集まってきた。
なんだかこいつらだけで分かりあえる妙な感覚でもあるのかな?
◆
ミト姉は村の孤児院でオレ達より二つ上のお姉さんだ。
プルプラ達十二人みたいにめちゃくちゃ美人顔じゃあないが、
オレ達含めて下の子達にすごく優しくて料理もうまい。
オレ達は大半が冒険者組合に出入りして見習いをやっているけど、
ミト姉は違ってて村の食堂で見習いとして頑張っている。
大きくなったら料理人になって店を持ちたいんだそうだ。
オレは騎士になって、お給金をミト姉に渡して楽をさせたい。
それになんと言っても騎士はかっこいいしな!
孤児院の院長先生も、領主の男爵様も昔は騎士だったらしいけど、
村にいる同じぐらいの年の大人と比べてもかっこいいし。
だからそんな変な事は言ってないと思うんだけど。
「と、ロッカは供述しておりますが。
どう思われますか、はい、間違えられたオリーバさん」
「はい、現状では無謀も無謀、在り得ない未来だと思います」
「二人ともひでえよ!」
プルプラとオリーバに抗議するけど、残り十人も頷いている。
「あのさ、ロッカ。
騎士になるためには王立中央学院に行かないとなんだよ?
ロド兄みたいに勉強好きじゃないじゃない、ロッカは。
院長先生だって王立中央学院を卒業して騎士になったんだから」
「え、そうなの?…えーと、えーと…シアン?」
「はあ…あたしはグラナーテね。まあいいけど。
未来の旦那様のロド兄以外に見分けつくとは思ってないし。
あたし達は半年後に王立中央学院行くために勉強してるけど、
ロッカ、あなたあんまり勉強やってないでしょ?
入学試験には騎士ごっこなんてないのよ?
全部読み書き計算とかの筆記試験なんだから」
また名前間違えた。つうかわかんないよ!
こいつら声も銀色の髪も白っぽい目の色も背丈も同じなんだもん!
いや、今はそれはいいや。筆記試験ってそんなのなのか?
「じゃあ、騎士になるのって勉強が出来ないとダメなのか?」
「そりゃあそうだよ。騎士は偉い人と話したりするんだよ?
そんな時頭が良くないと難しい話とか出来ないでしょ?
強いのは勿論だけど、強いだけじゃ騎士じゃなくて兵士だよ」
う、それもそうだ。騎士の人は戦う前に兵士の人に指示してる。
兵士の人はだいたい戦ってるだけで、騎士の人は戦う以外もしてる。
「…じゃあ、オレも王立中央学院に行く」
「はあ?」「はあ?」「はあ?」「はあ?」「はあ?」「はあ?」
「はあ?」「はあ?」「はあ?」「はあ?」「はあ?」「はあ?」
うあ、十二人に不思議がられた。結構へこむぞこれ。でも…
「やる!王立中央学院に入学する!そして騎士になる!
それでもってミト姉と結婚する!
だから頼む!オレにも勉強を教えてくれ!頼む!」
◆
半年後、ロッカはギリギリながら王立中央学院に入学してしまう。
特待生ではないが、学費は半年前に入ったロドが出してやった。
ロドやハーフエルフ達に色々教わりながら、踏みとどまっている。
卒業までもあとわずか。騎士になれる可能性は、まだ残っている。
会話時点で、ロッカ達は八歳。入学後六年十二期踏みとどまっている。
ちなみにまだ告っていない。本人を目の前にすると緊張して言えない。
彼の脳内では「騎士になる=結婚」なのだが、違う事に気づいてない。
騎士への憧れとミトへの想いがごっちゃのままになっている。
「攻めの前傾姿勢」で出たハーフエルフ十二名。
プルプラ、ローホ、シアン、グラナーテ、マヘンタ、アマリリオ、
カル、オリーバ、ヴェルデ、アズラード、アズール、オスクーロ。




