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ここはなにかが欠けている

騎士への不純な道

作者: 浮月重月
掲載日:2026/09/20

9/21後書きに追記

「ミト姉(ねぇ)と結婚するために騎士になりたいんだけど」


オレがそう言ったら無表情になった。ヴェルデが。いやオリーバか。

大マジなんだが。そんなに変な事言ったのか?


「ロッカ、あなたねえ…

 なんでミト姉と結婚するのに騎士にならないといけないの?」


「いや、騎士ってかっこいいだろ?お給金もいいみたいだぞ。

 好きなオンナにはやっぱり楽させてあげたいじゃん。

 それにかっこいいほうがオンナとしてはいいんじゃないのか?

 オリーバだってそうだろ。かっこいい方がいいだろ?」


「あたしはプルプラなんだけど?」


う、オリーバじゃなかった。と言うかこいつら十二人もいるけど、

付き合いも随分長いはずなのにみんな全然区別がつかない。

なんでロド兄(にぃ)はこいつら間違えないで呼べるんだろう?


「あー、間違えられてもあれだ、面倒だし。集まってー」


プルプラの一声でハーフエルフの残り十一人が集まってきた。

なんだかこいつらだけで分かりあえる妙な感覚でもあるのかな?


◆


ミト姉は村の孤児院でオレ達より二つ上のお姉さんだ。

プルプラ達十二人みたいにめちゃくちゃ美人顔じゃあないが、

オレ達含めて下の子達にすごく優しくて料理もうまい。


オレ達は大半が冒険者組合に出入りして見習いをやっているけど、

ミト姉は違ってて村の食堂で見習いとして頑張っている。

大きくなったら料理人になって店を持ちたいんだそうだ。


オレは騎士になって、お給金をミト姉に渡して楽をさせたい。

それになんと言っても騎士はかっこいいしな!


孤児院の院長先生も、領主の男爵様も昔は騎士だったらしいけど、

村にいる同じぐらいの年の大人と比べてもかっこいいし。


だからそんな変な事は言ってないと思うんだけど。


「と、ロッカは供述しておりますが。

 どう思われますか、はい、間違えられたオリーバさん」


「はい、現状では無謀も無謀、在り得ない未来だと思います」


「二人ともひでえよ!」


プルプラとオリーバに抗議するけど、残り十人も頷いている。


「あのさ、ロッカ。

 騎士になるためには王立中央学院に行かないとなんだよ?

 ロド兄みたいに勉強好きじゃないじゃない、ロッカは。


 院長先生だって王立中央学院を卒業して騎士になったんだから」


「え、そうなの?…えーと、えーと…シアン?」


「はあ…あたしはグラナーテね。まあいいけど。

 未来の旦那様のロド兄以外に見分けつくとは思ってないし。


 あたし達は半年後に王立中央学院行くために勉強してるけど、

 ロッカ、あなたあんまり勉強やってないでしょ?


 入学試験には騎士ごっこなんてないのよ?

 全部読み書き計算とかの筆記試験なんだから」


また名前間違えた。つうかわかんないよ!

こいつら声も銀色の髪も白っぽい目の色も背丈も同じなんだもん!

いや、今はそれはいいや。筆記試験ってそんなのなのか?


「じゃあ、騎士になるのって勉強が出来ないとダメなのか?」


「そりゃあそうだよ。騎士は偉い人と話したりするんだよ?

 そんな時頭が良くないと難しい話とか出来ないでしょ?


 強いのは勿論だけど、強いだけじゃ騎士じゃなくて兵士だよ」


う、それもそうだ。騎士の人は戦う前に兵士の人に指示してる。

兵士の人はだいたい戦ってるだけで、騎士の人は戦う以外もしてる。


「…じゃあ、オレも王立中央学院に行く」


「はあ?」「はあ?」「はあ?」「はあ?」「はあ?」「はあ?」

「はあ?」「はあ?」「はあ?」「はあ?」「はあ?」「はあ?」


うあ、十二人に不思議がられた。結構へこむぞこれ。でも…


「やる!王立中央学院に入学する!そして騎士になる!

 それでもってミト姉と結婚する!


 だから頼む!オレにも勉強を教えてくれ!頼む!」


◆


半年後、ロッカはギリギリながら王立中央学院に入学してしまう。

特待生ではないが、学費は半年前に入ったロドが出してやった。


ロドやハーフエルフ達に色々教わりながら、踏みとどまっている。

卒業までもあとわずか。騎士になれる可能性は、まだ残っている。

会話時点で、ロッカ達は八歳。入学後六年十二期踏みとどまっている。

ちなみにまだ告っていない。本人を目の前にすると緊張して言えない。

彼の脳内では「騎士になる=結婚」なのだが、違う事に気づいてない。

騎士への憧れとミトへの想いがごっちゃのままになっている。


「攻めの前傾姿勢」で出たハーフエルフ十二名。

プルプラ、ローホ、シアン、グラナーテ、マヘンタ、アマリリオ、

カル、オリーバ、ヴェルデ、アズラード、アズール、オスクーロ。

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