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【完結】白面に微笑む令嬢探偵 ~椿子の記憶録と沈黙の三事件~ 第一章『仮面の微笑』  作者: ましろゆきな


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第四話:三宅恒彦の過去、仮面の由来

 帝都・美術商組合の資料室。 椿子は、藤村と共に三宅恒彦の過去の記録を調べていた。 彼は、帝都美術界の重鎮でありながら、数年前に“ある仮面収集事件”に関与していた。


「この事件……“白面の取引”と呼ばれていたようです。 帝都の旧家から流出した仮面が、非公開で取引されていた」


 藤村が記録の一部を指差す。


「三宅氏は、その仮面の“真贋”を巡って証言を求められたが、沈黙を貫いた。 その仮面の出所――“朝霧家”と記されている」


 椿子は、胸の奥に冷たい波が立つのを感じた。


「叔母様の家……。 つまり、三宅氏は“語るべきだった過去”を持っていた」


 さらに、記録には“黒江静馬”の名が添えられていた。 彼は、当時その仮面の修復を担当していた職人として記録されていた。


 三宅と静馬は、過去に“仮面を巡る沈黙”で繋がっていた。





 黒江堂・地下保管室。 椿子は、静馬の不在時に藤村の手配で仮面の保管記録を閲覧していた。 そこには、“白面”と呼ばれる一枚の仮面の由来が記されていた。


「白面――帝都旧家・朝霧家に伝わる“沈黙の仮面”。 語る者に試練を、語らぬ者に赦しを与える」


 椿子は、仮面の裏に刻まれた文字を見つける。


「澄子へ。 語ることがすべてではない。 この仮面が、あなたを守るように」


 それは、叔母・澄子が静馬に託した言葉だった。 仮面は、ただの美術品ではなく、“沈黙の記憶”そのものだった。


 藤村が、静馬の過去の記録を差し出す。


「彼は、朝霧家に出入りしていた。 澄子様の“沈黙”を守るために、仮面を修復し、記録を封じた。 三宅氏は、その記録を暴こうとした―― だから、彼は“仮面をかぶせられた”のかもしれません」


 椿子は、仮面を見つめながら静かに呟いた。


「静馬さんは、語らなかった。 でも、仮面を通して“語らないこと”を選んだ。 それは、誰かを守るための沈黙だった」

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