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【完結】白面に微笑む令嬢探偵 ~椿子の記憶録と沈黙の三事件~ 第一章『仮面の微笑』  作者: ましろゆきな


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第三話:沈黙の仮面と初動の推理

 黒江堂・仮面展示室。 三宅恒彦の遺体は、白い仮面をかぶったまま、床に崩れていた。 椿子は、展示室の空気を吸い込みながら、静かに歩を進める。


 まず目に入ったのは、倒れた仮面台。 その上には、能面が置かれていたはずだが、今は床に落ちている。


「この仮面は、三宅氏が倒れる前に落ちたのではなく―― 彼が倒れた衝撃で落ちたものではない。 つまり、仮面台は“意図的に”倒された可能性がある」


 椿子は、仮面の配置を確認する。 壁に並ぶ仮面のうち、三宅の遺体の近くにある一枚だけが、微かに傾いていた。


「この仮面は、“見られる位置”に動かされている。 誰かが、三宅氏に“何かを見せた”のかもしれない」


 藤村が紙片を差し出す。


「“語る者は、仮面を剥がされる”」


 椿子は、紙片の筆跡を見つめる。


「この文字は、三宅氏のものではない。 筆圧が浅く、癖がない。 つまり、これは“誰かが彼に向けて書いた警告”だわ」


 神崎が毒物の可能性を示唆する中、椿子は三宅の手元に注目する。


「彼は、仮面を自らかぶったのではない。 仮面の紐が、後ろで“結ばれて”いる。 つまり、誰かが彼に仮面をかぶせた―― それは、死後か、直前か」


 椿子は、静馬の方へ視線を向ける。 彼は、展示室の隅で沈黙を保っていた。


「静馬さん。 この仮面は、“語らない者”のものだと、あなたは言いましたね。 では、三宅氏は“語ろうとした者”だったのでは?」


 静馬は、仮面を一枚手に取りながら答えた。


「彼は、語ることを選びました。 だが、語るには“代償”が必要だったのです」


 椿子は、展示室の空気に“沈黙の圧”を感じながら、初動の推理をまとめた。


 ・仮面台は意図的に倒された

 ・紙片は警告として置かれた

 ・仮面は死後にかぶせられた可能性が高い

 ・三宅は“語ろうとした者”だった

 ・誰かが“沈黙を強いた”可能性がある


「この事件は、“語ること”を巡るもの。 そして、仮面はその象徴。 私は、沈黙の中にある“動機”を探ります」

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