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【完結】白面に微笑む令嬢探偵 ~椿子の記憶録と沈黙の三事件~ 第一章『仮面の微笑』  作者: ましろゆきな


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第二話:仮面の間の死

 黒江堂・仮面展示室。 椿子が静馬との会話を終え、応接間を出ようとしたその時―― 奥の展示室から、鈍い音が響いた。


「……何かが、落ちた?」


 藤村が先に動き、椿子と共に展示室へ向かう。 そこには、倒れた仮面台と、床に崩れ落ちた一人の男―― 帝都美術商組合の理事・三宅恒彦だった。


 彼の顔には、白い仮面がかぶせられていた。 だが、その仮面の下から、血が滲んでいた。


 神崎が駆けつけ、脈を確認する。


「……死んでいます。 外傷は少ない。だが、口元に泡――毒の可能性があります」


 椿子は、展示室を見渡す。 仮面の配置、倒れた台、そして三宅の手元に握られていた紙片。


「“語る者は、仮面を剥がされる”」


 椿子は、紙片の文字を読みながら、静馬の言葉を思い出す。


「私は、語ることを選ばなかった。 それが、誰かを守ることになるなら」


 静馬は、展示室の隅に立っていた。 その表情は変わらず、沈黙を湛えていた。


 椿子は、彼に問いかける。


「この部屋に、誰が最後に入ったのですか?」


 静馬は、仮面を一枚手に取りながら答えた。


「三宅氏は、“語るべきではないこと”を語ろうとしていた。 それが、彼の選択だったのです」


 椿子は、静馬の言葉に違和感を覚えながらも、展示室の空気に“何かが隠されている”ことを感じ取っていた。


 この事件は、語られなかった真実の始まり。 そして、仮面の奥にある“沈黙の動機”を探る旅の第一歩。

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