白面に微笑む令嬢探偵 ～椿子の記憶録と沈黙の三事件～ 第一章『仮面の微笑』

語ることは、暴くことではない。 沈黙を理解するために、彼女は語る。 ――令嬢探偵・椿子、仮面の奥に微笑む。

冬の帝都。探偵・朝霧椿子は、美術商・黒江静馬との出会いをきっかけに、仮面にまつわる不可解な事件へと巻き込まれる。
黒江堂の展示室で、美術商組合の理事・三宅恒彦が毒殺され、顔には“語らない者”を象徴する白い仮面がかぶせられていた。

椿子は、仮面の配置、紙片の警告文、死後に施された仮面の意味を読み解きながら、事件の背後にある“語られなかった過去”に迫っていく。
やがて、三宅がかつて朝霧家に伝わる仮面の非公開取引に関与していたこと、
そして、その仮面の修復に静馬が関わっていたことが明らかになる。