内海 ディーヌケプシー 03
ゴルゴナ大陸の港町ディーダに到着した四季崎と伊勢は、異国の街並みや活気に触れながらも、追手への警戒を怠らず慎重に行動する。伊勢は好奇心旺盛に街を探索し、歌姫イリーネの路上ライブに魅了される。イリーネはギルド受付嬢でありながら、自由奔放な性格と妖艶な歌声で人々を惹きつける存在だ。二人はイリーネの案内でギルド支部を訪れ、そこで厳格な受付嬢・滝壺と出会う。滝壺は責任感が強く、イリーネの奔放さに手を焼きつつも、ギルドの秩序を守る役割を果たしている。四季崎は伊勢の純粋な善行に自らを重ね、彼女を守ろうと決意を新たにする。ゴルゴナ大陸の港町ディーダに到着した四季崎と伊勢は、歌姫イリーネと出会い、冒険者組合の証明や報告書を受け取る。計画を練り直す中、渡し守の糸島と再会。彼の協力を得て、次なる目的地へ向かう準備を進める。
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糸島さんが言っていた海小屋は浮島になっているわけではなく、本当の島の上に建っていた。
私は数時間しか経っていないにも関わらず、しっかりした地面を踏みしめることに感動しそうだった。
(ここまでの道のり。ボクは何の役にも立たない……)
感動も束の間。道中の出来事を思い出すと不安とやるせない気持ちでいっぱいになり、悲しくなってきた。
「暗くなる前に野営の準備をしましょうか」
テキパキと指示を出し始めた糸島さんには夜食の準備を、四季さんは設営の順を、ボクには……
「伊勢には小屋の清掃をしてください」
(えっ……それだけ……もっと何か役に立てることは……)
ボクは何か言いたい気持ちになったが、グッと堪え、小屋の中に入っていった。
小屋の中は焚き火用の木材、簡易テント、非常食に水などいろいろ置かれており、外観よりは狭く感じた。
ボクは近くにあったはたきを掴むと、まずは上の方から掃除していくことにした。何度か野営の準備のために小屋に四季さんが入ってくることはあったが、こちらを見ることもなく黙々と準備をしていた。
(もしかして、あの時のこと四季さん、実はものすごく怒っているんじゃないかな?ボクみたいな素人が余計なことをしたから四季さんを危険な目に合わせてしまったし……)
ボクが色々と考えているうちに掃除が終わっていたため、外に出てくることにした。
外は、来た時とは違い、テントが準備され、焚き火がたかれていた。
焚き火にはいいにおいを漂わせている香ばしく焼かれた焼き魚が串に刺されて焼かれていた。
「食事の準備が出来たから、一緒に食べましょう」
ボクが小屋からでてくるのに気づいた四季さんは、こっちに来るように手招きした。
香ばしい焼き魚の匂いを嗅いだ瞬間から急にお腹が空き始めたのを見透かされたようで少し恥ずかしくなりながら、二人が囲んでいる焚き火まで近づいていき、一緒に食事を取った。
食事を取り終わり夜も更けてくると四季さんが水を飲みながら、空を見た。
「もういい時間だ。伊勢は今日、小屋で休んでください。私たちは外のテントを使って休みます」
(みんなで小屋で休むんじゃないんだ……)
「皆さんの方が疲れているじゃないんですか?」
「小屋周辺に魔獣除けをしているとはいえ、見張りは必要だからね」
(そういわれる仕方ないけど……)
僕は「お言葉に甘えます」と言って小屋に入ると、普段着から寝間着に着替えた。
準備していた寝袋に包まると、ボクが思っているより疲れていたのか、思ったよりもあっさりと眠りにつくことが出来た。
外で大きく焚き火が爆ぜる音が聞こえて不意に目を覚ましてしまった。
(うぅーん。外も暗いし、まだ朝じゃないんだ……)
ボクは寝袋の中でもぞもぞしながら、もう一度寝ようと思ったが、寝られそうになかった。
(そういえば、四季さんと糸島さんが外で見張りをしているんだった。ちょっと様子でも見ようかな?)
ボクは寝袋から出ると寝間着のまま服の乱れがないかだけ確認するとそっと小屋を出た。
外は寝間着だけでは肌寒いくらいだったので、羽織るものでも持ってこってこようと小屋に戻ろうとした時、不意に僕の名前が話題に上がったので、足を止めて聞き入ってしまった。
「そ……で出発前の……願い……って……だ?」
二人は小声で話しているのと、波の音で話の内容が聞き取りずらかった。
「それだ。……伊勢を、君かお願いできないか?」
「お前の方がだろう?」
「私の知識だけ、彼女の役に立たないだろう?」
「……」
「……君にお願いしたい」
声は断片的で、完全には聞き取れなかったが、どうやら重要な話のようだった。
(もしかして、四季さんは糸島さんにボクのことを任せるつもりなの?)
ボクは四季さんに嫌われてしまったことがショックで、そのまま二人の下に行くことができそうになかったので、もう一度寝袋にもぐることにした。
あまり、寝付けそうになかったが、時間経つにつれて段々と瞼が重くなっていき。気づいた時には眠りについてしまっていた。
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