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時紡ぐ英雄譚  作者: 漆峯 七々
異端者の烙印、聖女の覚醒

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祭祀場での決闘 05

四季崎と銀鏡は、儀式の最中に襲撃を受け混乱に陥った祭祀場へと急行する。

途中、満身創痍の新人冒険者や仲間の死に直面しながらも、ノクターン・リーヴァーの大群と対峙し、巧みな連携と陽動で危機を乗り越える。

銀鏡は森に潜む魔獣使いを捕縛し、冒険者たちは子どもたちを守り抜くが、祭祀場ではリーダー格の敵が聖騎士らを圧倒し、伊勢が行方不明となる。

四季崎は仲間たちの信頼を背に、救出と事態打開のため単身で祭祀場へと向かう決意を固める。

 四季崎は頭目に感じた違和感を頭の片隅に置いたり、傷の回復具合を確認した。


(少しだが、痛みは引いている。腕も多少なら動きそうだが、無理をすれば傷が悪化しそうだ)


 腕を軽く動かし、指先にしびれがないかを確認すると最後に傷をポーチから取り出した綺麗な包帯で止血しながら、壁越しに頭目の様子をうかがった。


『穿て、魔弾』


 八つま風の魔弾を生成すると角度を調整するように腕を斜めに伸ばした。


シフネーア(疾風の) リーア ダート(魔弾)


 放物線を描いて迫ってくる魔弾を見た四季崎は即座にその場を離れるように走り出した。後ろでは建物跡が崩れ落ちる音と砂煙が舞い上がっていた。


 走り出し落ち着いて考えがまとめられそうな場所を探した。


 すると、建物跡が少し開けた場所に出ると遠くの方にいる頭目と目が合った。


「しまった!」

「見つけた!『斬れ、断斬』」


 頭目がニヤつきながら腕を振るうと薄黄緑色の風の斬撃が横薙ぎに迫ってきた。


 四季崎は反射的に身を屈めると頭の上を斬撃が通過していった。


「そんな()()手段じゃあ、長くは待たねぇぞ」


(さっきから引っかかる言い回しだ。それに偽装詠唱を止めている。詠唱から予測させないための偽証詠唱だが……)


 突如、壁を突き抜けて現れた風の槍に腕を掠めた。四季崎は痛みに耐えるように顔を顰めると遠くの方で頭目の声がした。


「あれー、当たったか?あそこだと思ったのに。じゃあ、もう少しこっちのほうかな?」


 位置を調整して新たに魔法を発動しようとしていた。四季崎は身体を屈めたままその場を走り出した。


(……言葉からどれが詠唱句か分からなくするための偽装なのに今やめる理由がない……やめたんじゃない?……やめるしかなかったとしたら?例えば、ほかの魔法の詠唱句で思考を使って、簡単な魔法にも詠唱を使っている用いるしかななかった……とか?)


 四季崎は飛び込むようにして頑丈そうな石の柱に飛び込むと柱の横を風の斬撃が通り過ぎていった。


 肩の傷と動き回っていたことで球のような汗をコートの袖で拭いながら息を整えていた。


(それなら奴の言葉の不自然さはそこから来るものか。)


 四季崎が、頭目の話していたことを思い出すように記憶の海に潜っていった。


(さっきの防衛……少し前の砦に守る……さらに籠もって……この三箇所くらいですか。この三つから連想できる魔法は……)


 四季崎は頭上から感じた気配に視線を向けると今にも彼を撃ち抜くように風の魔弾が迫ってきていた。


 最初の数発を躱し、それで立ち込めた砂煙に紛れるように前進していき隠れながら進んでいった。


(これ以上アイツに思い通りにさせる訳には!)


 四季崎は近づいていき、間合い詰めた判断すると、一気に飛び出し襲いかかり、攻勢に出た。


 四季崎の姿を見ても一切、驚くことなく、まるで想定通りと言わんばかりだった。


「やっとかくれんぼをあきらめる気になったか。だが、すこーし遅かったな。こっちの術式は完成済みだ。あとは……」


《我が心に秘めし想いと共に我を守る砦を築け》


 頭目は最後の仕上げをするように詠唱紡ぎ、唱えた。


シフネーア(狂嵐)ランパート オブ(吹き荒れる)フューリー(攻城要塞)


 発動とともに頭目の周りには視覚できるギリギリの風の渦が彼の周りで渦巻いており、まるで自信を囲む風の結界だった。


 近づくだけでもそこから放たれる猛烈は風圧で押し戻されそうだった。


 しかし、四季崎の攻撃の勢いを止めることなく突き進んだ。


 四季崎は肩の傷を気遣うことなく両手で握った長い棍状態の『四季』を振り降ろした。『四季』が吹き荒れるを切り裂き頭目は張った結界にぶつかる。魔法で作られた風の結界に当たったとは思えない硬質なものにぶつかる音を響かせ、ぶつかり続けた。


 肩の痛みに少しの力の緩みを見逃さないように結界が纏う風が四季崎に身体を押し戻すように遠ざけた。


 後ろによろめいた隙に頭目は四季崎の腕を振るうと掴んだ。


「これで今度は確実に殺せるなぁ!」


 頭目は四季崎の胸に指を立てると無慈悲にの詠唱を紡ぎ出した。


『貫け、魔槍』


 弓先一点に集中した風が四季崎の胸を貫かんとして収束していった。


(終わった……)


 四季崎は自分の死を覚悟し、絶望に満ちた表情をしていた。


私の作品を読んでいただき、本当にありがとうございます!感想を聞かせていただけると嬉しいです。

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