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時紡ぐ英雄譚  作者: 漆峯 七々
異端者の烙印、聖女の覚醒

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祭祀場での決闘 04

四季崎と銀鏡は、儀式の最中に襲撃を受け混乱に陥った祭祀場へと急行する。

途中、満身創痍の新人冒険者や仲間の死に直面しながらも、ノクターン・リーヴァーの大群と対峙し、巧みな連携と陽動で危機を乗り越える。

銀鏡は森に潜む魔獣使いを捕縛し、冒険者たちは子どもたちを守り抜くが、祭祀場ではリーダー格の敵が聖騎士らを圧倒し、伊勢が行方不明となる。

四季崎は仲間たちの信頼を背に、救出と事態打開のため単身で祭祀場へと向かう決意を固める。

 四季崎はこれ以上の会話で頭目から情報を引き出せそうにないと思い、攻勢に出ることにした。頭目も四季崎の攻撃の意志を感じ取ったように、「()()()()()()足りねぇみたいだな」とぼやくと、手をかざし、風の魔弾を六つ生成した。


 四季崎は姿勢を低くすると、不規則な動きで頭目に接近していった。


 頭目の放つ風の魔弾は低い姿勢で迫る四季崎に当たることはなく、代わりに地面に激突し、大量の砂煙を立ち上げた。砂煙が辺り一帯に立ち込め四季崎の姿を覆い隠すと、その瞬間を待っていたように四季崎はまた『四季』の長さを伸ばした。


 全ての風の魔弾を打ち尽くした頭目はもう一度、魔法を発動しようと伸ばしたままにしていたが、その腕を打ち上げるように『四季』を打ち上げると、そのまま回転させて『四季』の反対側の端を頭目の首に打ち付けようとした。しかし、頭目は表情は焦りではなく、こうなることを読んでいたように笑っていた。


『鋭き、魔槍』


 頭目は初めて、詠唱を唱えると、反対の手の人差し指だけ立てると四季崎の肩に触れた。


(短文詠唱!!)しかし、四季崎は放った攻撃の流れを止められず、回避も防御もできない状態だった。


シフネーア(疾風の) リーア バーブ(衝槍)


 頭目が静かに言い放った魔法は指先から放たれた風の魔槍によって貫かれ、その衝撃で身体の向きを強制的にずらされたことで、放った『四季』の攻撃は頭目の鼻先を掠めただけだった。


 四季崎は風の魔槍の衝撃で地面を二、三回地面を跳ねたあと滑るように立ち止まった。四季崎が貫かれた肩の痛みで地面にうずくまっていると、頭目はそれを許さないとばかりに新たな詠唱を紡いだ。


『穿て、魔弾』


 四季崎はその紡がれた詠唱に命の危険を感じ取り、痛む身体を無理やり動かして立ち上がった。


シフネーア(疾風の) リーア ダート(魔弾)


 四季崎は飛び込むようにして建物の跡の壁の後ろに身体を投げると、その瞬間には彼が元々いた場所に八つもの魔弾が同時に地面に激突し大量の砂煙を立ち込め、一帯を覆った。


「そのまま、寝てれば、楽になれたものを。儚い命をそんなに大事に()()()どうする?」


 頭目は肩をすくめ、愉快そうに口の端を吊り上げた。四季崎は砂煙に紛れるようにして場所を変えながら頭目の視界から消えた。


 頑丈そうな壁の後ろに隠れると痛む右肩の傷の状態を眉をひそめながら確認した。


(幸いなことに関節も肺も無事そうです。この傷だと回復薬では心もとないですが、ないよりましですが……鎮痛作用と止血作用に期待しましょう)


 四季崎は回復薬を取り出す為に左のポーチに左手で探ると、薄緑色の液体が瓶を取り出した。瓶の栓を口で無理やり開けると中の液体を傷口に大雑把にかけた。


 かけたところで、大きな変化は見られなかったが、傷からの出血が減っているようには感じられた。


 四季崎は少しの間その場休むように息を整えていると、頭目は四季崎は出てこないことにしびれを切らしているようだった。


「怖気づいて尻尾巻いて逃げちまったか?とんだ腰抜けの英雄だな!死ぬのが怖いなら家に()()()()!」


 頭目が四季崎を挑発したが、一切の反応を示さない彼に対して苛立ちを募らせた。


「もういいや。腰抜けの英雄は諦めて別ので遊ぶとするか。吹けば()()ようなガラクタでも憂さ晴らしにはなるだろ?」


 頭目はそう呟くと、聖騎士の方に手をかざした。風の魔弾を三つ生成した。聖騎士は先ほどの仲間の突然の死が自分に訪れると判断し、いつでも対応できるように構えたが、周りの盗賊がそれを許そうとしなかった。放たれた風の魔弾は一人の聖騎士の両腕を鎧ごと吹き飛ばし、激痛で叫び声をあげ倒れ込む落としたその胴体に風穴を開けた。


「英雄が腰抜けだから、また無垢な命が奪われちゃったよ」


 頭目は笑いをこらえるようにそう叫んだ。四季崎は頭目がなぜ同じ教会の仲間である聖騎士を残酷に殺せるのか理解できなかった。


「貴様……お前たちの目的は何だ!何がしたいんだ! 」


 四季崎は居場所がバレるのを覚悟で叫んだ。頭目は声がした方に視線を向けながら、頬を釣り上げた。


「さぁ~。俺らは()()()騎士のように命令に従ってるわけじゃねぇ。やりたいようにやるただの盗賊だぜぇ?」


(今になってとぼける理由がどこにある?それにあの言い回し……)


 未だにとぼけるように頭目のしゃべる言葉に妙な言い回しがあることに四季崎は引っかかりを感じた。

私の作品を読んでいただき、本当にありがとうございます!感想を聞かせていただけると嬉しいです。

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