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時紡ぐ英雄譚  作者: 漆峯 七々
異端者の烙印、聖女の覚醒

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祭祀場での決闘 03

四季崎と銀鏡は、儀式の最中に襲撃を受け混乱に陥った祭祀場へと急行する。

途中、満身創痍の新人冒険者や仲間の死に直面しながらも、ノクターン・リーヴァーの大群と対峙し、巧みな連携と陽動で危機を乗り越える。

銀鏡は森に潜む魔獣使いを捕縛し、冒険者たちは子どもたちを守り抜くが、祭祀場ではリーダー格の敵が聖騎士らを圧倒し、伊勢が行方不明となる。

四季崎は仲間たちの信頼を背に、救出と事態打開のため単身で祭祀場へと向かう決意を固める。

 石舞台での聖騎士と盗賊の仲間が戦う姿を楽しむように眺めている頭目の後ろに忍びようとした四季崎だったが、すぐにバレ、こちらを向くことなく話し出した。


「だから、やめろっていたのによぉ。こうなるってわかんないかな?」


 頭目は部下の無能さに呆れているようだった。


「仲間への教育がなっていないのではないのですか?それとも、教会では、そのようなことは教えてくれないか……とか?」


 四季崎が確信を持って彼らの素性を看破したことを告げたが、頭目は一切の反応を示さず、嘲笑するように鼻を鳴らした。四季崎の方が間違っていたと勘違いさせるくらいに……


「バレちゃった?おじさんこう見えて信心深いの。毎日教会に行っては人を()()()こと懺悔している日々なのさ!」


 四季崎が話そうと口を開きかけたが頭目が、それを止めるようにしゃべりだした。


「待った待った!おじさんまだ一つやり残したことがあるからさ!」


 何を考えているか全く分からず、出方を伺っているとおもむろに手を前にかざした。


シフネーア(疾風の) リーア ダート(魔弾)


 風が一瞬にして収束し、すぐに手のひらサイズまで大きくなると「バーン」とまるで子供が遊ぶかのように言い放つと放たれた風の弾丸は石舞台で戦っている聖騎士に向かって高速で飛来し聖騎士が呆気にとられている間に、風の魔弾が彼の頭部に命中し、乾いた破裂音と共に鮮血と白い破片が周囲に飛び散った。胴体だけになった聖騎士の身体は、数瞬後に力なく倒れ伏せ、地面に赤い血だまりを作った。


「拮抗しててつまんねぇからよ、一人減ったくらいが丁度いいだろ?まぁこれでトントンってことで。それでガラクタ改めて、玩具。おじさんなんか用?」


 振り返った頭目の顔は冷徹で笑みを浮かべていた。


(コイツ!人の命をなんだと思ってる!コイツに時間を与えるのは得策じゃない!)


 四季崎は奥歯を強く噛み締めながら、『四季』を構え直すと一直線に頭目へと突っ込んでいった。


「まぁ、そんな焦んなぁよ。おじさんと遊びは始まったばかりだろ?」


 そう言うと手をかざすと強烈な向かい風を「()()()()()」発生させ四季崎を襲いかかった。突然の魔法に咄嗟の回避が間に合わず、『四季』で防ごうと四季崎は最初は踏ん張ろうと足に力を入れたが、すぐに耐えきれなくなり、あえなく後方に飛ばされた。


 四季崎は空中で器用に体勢を立て直し着地をすると、頭目に視線を向けた。頭目のかざしていた腕の周囲に今度は計六個もの風の魔弾が生成させていた。


「《シフネーア(疾風の) リーア ダート(魔弾)》まずは的あてだぁ!逃げなぇと殺気の兵隊さんみたいに弾けとんじゃうよ?」


 頭目を感情の読めない顔で、腕を横に振るった。


 風の魔弾が高速で放たれると同時に、四季崎は躱しながら前進するも、狙い澄まされた次弾が瞬時に眼前へ迫ってきていた。『四季』で叩き潰すように防ぐも、その強烈な威力に腕が痺れる。それでも四季崎は、四季崎は構わず距離を詰めていった。


「ヒュー!()()()()()くるなんて面白れぇ」


 四季崎が、あと少しで頭目に攻撃が届く距離まで接近し、『四季』を振るう準備をした。


「突破報酬だ。《シフネーア(疾風の) リーア クリーヴ(断斬)》。お前の死と言うなぁ!」


 頭目はおもむろに腕を横に振るうと、接近する四季崎の首元を狙うように薄黄緑色の風の斬撃が放たれた。四季崎は咄嗟に足を止め、『四季』縦に構えて防いだ。風の魔弾ほどの衝撃はなかったが、押し戻す力があり、また距離が離されてしまった。


 風の斬撃が周囲の空気を巻き込みながら霧散すると、四季崎は『四季』の長い棍の状態を解除して短くした。


「偽装詠唱ですか?会話の中に詠唱を潜ませ、相手に悟られないようにする詠唱技術。そんな事が出来るのは聖騎士以外に私は知りませんけどね?」


 その発言に一瞬眉を動かすと、とぼけ多様な仕草をした。


「おじさん。見ての通りエルフ族だぜ?エルフ族が魔法に長けてて当然だろ?」


 四季崎はその嘘が通じないとばかりに続けた。


「エルフ族が長けているのは、魔力量と魔法技術だけだ。詠唱技術は教会の十八番だろ?」


 そこで初めて軽口叩くのをやめた頭目は少し表情が真剣なものに変わり、一瞬だけ虚空を見つめ、そして深く、冷たい息を吐き出した。


「流石、『無冠の英雄』様だ。故郷については詳しいようだな?おっと、元故郷だったか。今はどこにも定住できない哀れな異端者は故郷に未練がおアリのようだ」


 頭目の言葉に驚きも困惑も怒りを表すこともなく、頭目の幼稚な挑発に感情が揺さぶられることはなく、ただ冷静にさせるだけだった。四季崎が激情する事が狙った発言がむしろ冷静になった事に対してあてが外れたばかりに舌打ちをした。

私の作品を読んでいただき、本当にありがとうございます!感想を聞かせていただけると嬉しいです。

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