祭祀場での決闘 02
四季崎と銀鏡は、儀式の最中に襲撃を受け混乱に陥った祭祀場へと急行する。
途中、満身創痍の新人冒険者や仲間の死に直面しながらも、ノクターン・リーヴァーの大群と対峙し、巧みな連携と陽動で危機を乗り越える。
銀鏡は森に潜む魔獣使いを捕縛し、冒険者たちは子どもたちを守り抜くが、祭祀場ではリーダー格の敵が聖騎士らを圧倒し、伊勢が行方不明となる。
四季崎は仲間たちの信頼を背に、救出と事態打開のため単身で祭祀場へと向かう決意を固める。
四季崎が頭目の近くに躍り出ると、頭目は一瞥だけして頬を吊り上げた。
「死ぬ前に遺跡観光は済んだか?」
まるでこちらが、石舞台を見てきたこと読んでいるかのように軽口を叩くと、自分の周りに待機させていた先ほどの四人にもう一度指示を出した。
「行け。あれは死んでも構わないガラクタだ。さっさと処分しろ」
四人はそれぞれ返答すると襲いかかってきた。
四季崎は場所を変えるように石舞台から離れていった。ある程度まで離れると四人の接近を待つように臨戦態勢を維持した。
四人は先程と同じように三人が前で一人が後ろといった隊形を取ると、三人はすぐに包囲できるように横に広がっていった。
(私を早々に包囲して仕留めるつもりですか)
十分に広がると四季崎の正面に立っていた盗賊は剣を大きく振り上げて切りかかってきた。四季崎はその隙の大きい攻撃に違和感を感じ周囲に意識を向けると両端から端に広がっていた二人が剣を突き刺しに来ていた。
四季崎は咄嗟に『四季』を短くすると、目の前の盗賊が剣を大きく振りかぶり、がら空きになった胴体に向かって渾身のタックルを決めた。
倒れ込んだ盗賊にそのまま馬乗りになるように強烈な一撃を顎に入れ、昏睡させた。突然の事態に、左右から迫っていた盗賊たちは一瞬の混乱を見せた。
四季崎はすぐさま『四季』を長くすると自分たちの想定とは違う事態に困惑し、後方に構えていた盗賊の足を『四季』で払い除けた。
盗賊はそのまま倒れ込もうとしている間に『四季』を後ろ手に回すようにして反対の手に持ち帰るとその勢いのまま倒れる盗賊の側頭部に『四季』を叩き込みながら起き上がるとすぐさま『四季』を背中側へ回した。
すると最初に突きを繰り出した二人は四季崎の予期せぬ行動による動揺から回復し、横薙ぎに剣を振るってきていた。
激しい金属音と共に防ぐと四季崎は距離を取るように離れながら振り返った。
「あなたたち盗賊風情は人一人倒すことができない烏合の衆だったんですね」
普段なら乗ることのない安い挑発に仲間をあっけなく二人も昏睡させられた事に激情し連携など微塵もない突撃を仕掛けてきた。
四季崎は(掛かった!)とばかりにわずかに笑みを浮かべると建物跡地へと入っていった。今度は頭目の静止も聴かずに挑発に乗った仲間を見て、頭目は片手を頭に乗せると首を小さく降りながら、見送る姿が視界の端に見えた。
四季崎は建物跡の石壁や石柱などを利用して撹乱していった。盗賊は統率が取れておらず次第に二人の距離が離れていった。四季崎は二人が冷静になる前に離れていく二人の内後ろ側に位置していた盗賊を後ろから締め上げて意識を刈り取った。
盗賊がそのまま倒れ込む姿を最後の一人が目撃すると置かれた状況を理解し冷静に剣を構えた。
(ここからは真剣勝負ですか。最初に構えたときにも思いましたが、あの剣の構え。普段鎧を着込んでいるものの構え方ですね。何らかの理由で身元を隠している可能性が高い。であれば、魔獣使いが言っていた『フクロウの瞳』はただの身元を隠すための隠れ蓑だったのかも知れません)
四季崎は盗賊から放たれる剣を難なく躱しながら、改めて相手の素性を洗い出そうと試みた。
(この戦闘魔法を織り込む前提の独特な剣術……冒険者や雇われの傭兵が使うようなものではない。ましてや盗賊のはずがない。理由は分からないが、教会の関与を隠したいようだ。教会は本当に腐っているな)
四季崎は正面で疲れ切った表情を見せる盗賊に余裕の笑みを浮かべると激情しながら、剣を振り下ろしてきた。四季崎は『四季』で受け流しつつ、振り下ろされた剣を持った腕を空いている手で掴むと顔を相手の耳元に近づけた。
「鎧を着ている前提の剣の構え。それにエセルニア法剣混合剣術、あなたたちは聖騎士ですか?」
「はっ!あんた気でも狂ったか?俺らのどこどう見たらそうなるだ?」
明らかな嘘だった。嘘を見抜く為に掴んだ腕で盗賊の脈を測り、至近距離から相手の瞳孔の変化を読み取ったが、どれも彼の発言が嘘を示していた。
(欲しい情報は全て揃った。もう彼は用済みです。少し寝ててもらいましょうか)
盗賊の腕が死角になって見えにくくなった股間に膝を叩き込むとそのまま崩れ落ちた。
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