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時紡ぐ英雄譚  作者: 漆峯 七々
異端者の烙印、聖女の覚醒

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成人の儀 前夜 08

物語は、主人公の四季崎しきざきがギルドで旧知の仲である銀鏡しろみと偶然再会する。

銀鏡に誘われ、隠れ家のような店を訪れた四季崎は、そこで極秘任務である「成人の儀」の護衛を依頼される。

依頼を引き受けた四季崎は、自身の武器である『四季』の性能を拡張する「可変機構」を受け取る。

彼はその夜、来るべき任務に備え、夜通し武器の手入れに没頭してしまった。

翌朝、四季崎はギルドで再び銀鏡と遭遇し、模擬戦を行うことになった。

演習場では、銀鏡が弓矢と体術を組み合わせた巧みな戦術で四季崎を翻弄します。

銀鏡は矢の軌道を隠したり、煙幕で視界を奪ったりと、次々に変化に富んだ攻撃を仕掛けますが、四季崎は卓越した身体能力と冷静な判断力でこれらに対応していきます。

翌日の朝?


 ここ数日の疲れが一気に取れるかのような、深い眠りから覚めた四季崎はベッドの上でよく寝たと言わんばかりに大きく背筋を伸ばした。


 柔らかな朝の光が、まだ薄暗い部屋にゆっくりと差し込み、埃の舞う様をはっきりと映し出していた。窓の外から溢れてくる賑わいに奇妙な違和感を覚えながら、ベッドから降りると日差しを全身で浴びるために窓を開け放った。


 開け放たれた窓からは、新鮮な空気が流れ込み、街の喧騒が直接耳に届いてき、朝日にきらめく街並みは、いつもと変わらぬ穏やかな表情を見せている。しかし、その賑わいは、鳥たちのさえずりや早朝の商人の声とはどこか違う、ざわめきを帯びていた。


(一昨日に帰ってきた『四季』の整備が楽しくてつい、夜更かしが続いてたから、その反動でしょう。それともあれにおかげでしょうか?)


 昨日飲んだ小暮にもらった果汁水にじっと視線を向けた。そこには空になったガラス瓶が、光に照らされ、昨夜の微かな記憶を映し出し、瓶の底に残る、乾いた果実の香りが、昨日までの忙しさを忘れさせる甘い夢の名残を漂わせる。


 思い出にふけながら、窓の外に視線を向けた。そこに広がる賑わいは朝方にしては珍しく行き交う人が、多く見受けられた。


(今日はやけに賑わってるな。なんだろう、この人の多さ……。成人の儀の当日に大陸を出る人が一時的に減っているせいか?うん?)


 外を眺めながら、街の様子を伺っていると、ふと胸騒ぎのような違和感に気づいた。


(太陽の向きがおかしい……?今は朝なら、もっと下の方にあるはずだ……。今は登りかけている。つまり今は……昼?)


 四季崎はここで初めて自分が集合時間を寝過ごしたことに気がついた。


(うそだろ!?まさか、こんな時間まで寝てたのか!?)


 頭の中が真っ白になり、一瞬呼吸すら忘れる。心臓が跳ね上がる気持ちを感じつつも、彼はその気持ちを抑えながら手早く服を着替え、装備を装着すると扉を蹴破る勢いで開けると部屋の外に出た。冷や汗が背中を伝う。


 四季崎の部屋の近くを通りかかっていた冒険者たちが突然扉が勢いよく空いたことに驚いている様子が見えた。彼らは驚きと戸惑いの表情を浮かべ、四季崎を見ていたが、彼はそれを気にすることなく、下へ向かう階段に一直線に向かった。彼の足音だけが、静まり返った廊下に響き渡っていた。


(今の時間が昼なら、午前中の儀式はすでに終わっているはず……。昨日の会議では昼休みを挟むと行っていたから、今はそれくらいだろう)


 考え事をしながら、階段を下っている途中ですれ違いざまに冒険者の男性にぶつかった。急に飛び出してきた四季崎に対して男性は怒鳴り散らした。


「てめぇ!どこ見てやがる!」


 男性はそのまま過ぎ去ろうとする四季崎に対して掴みかかろうとしたが、四季崎はするりと躱すと、無礼だとは思いながらそのまま足を止めることなく、軽い感じで「すまない」と謝った。と簡単に謝罪するとそのまま1階まで降りていった。


怒鳴り声が背後から追いかけてくるが、それを置き去りにする勢いで一階まで降り切った。


 一階ではいつもと同じ閑散とした中で、イリーネと女性冒険者がエントランスの中央で楽しそうに雑談に花を咲かせていた。


 四季崎が一階のエントランスを走り抜けようとすると、彼の存在に気づいたイリーネは手を振り、四季崎に向かって手を振っていた。


「しk……」

「これお願いします!」


 イリーネが何かを言う前に手に持っていた鍵を取りやすいように投げた。急に渡された鍵を危なげなく掴み取ると講義するように怒り出した。


「四季崎様!急いでいても、最低限の礼儀というものが……」


 しかし、四季崎はそのままギルドの扉を押し開けて外に出ようとしていた。無視されてしまったイリーネは同然と立ち尽くしていると、周りにいた女性の冒険者は珍しい彼女の姿を見て笑い、それに講義するように彼女たちにも怒っており様子が見え扉が閉まって

しまった。


 外に出ると、四季崎は真っ先に東通り向かおうとしたがそこで馴染みのある声に呼び止められた。


「今は昼休憩だから、急ぐだけ損だぞ?」


 足を止め、振り返ると、そこには四季崎がでてくるのを持っていたかのように入り口の壁にもたれて果物をかじっている銀鏡の姿があった。


「神楽か。なんで君がここに?警備のほうがいいんですか?」


 銀鏡は呆れながら、「お前が言うか……」と壁から身体を離すと、ローブのポケットからもう一つの果物を出すと、四季崎に投げて渡した。


「その感じ、今起きたところか?これでも食っとけ」


 四季崎は受け取ると銀鏡は東通りを指で指すと「移動しながら話そう」と言うと四季崎横を通って東通に向かって歩き出した。通り過ぎる際に四季崎の肩を軽く小突きながら、「気にすんな」と四季崎の失態を攻めようとはしなかった。

私の作品を読んでいただき、本当にありがとうございます!感想を聞かせていただけると嬉しいです。

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