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時紡ぐ英雄譚  作者: 漆峯 七々
異端者の烙印、聖女の覚醒

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成人の儀 前夜 03

物語は、主人公の四季崎しきざきがギルドで旧知の仲である銀鏡しろみと偶然再会する。

銀鏡に誘われ、隠れ家のような店を訪れた四季崎は、そこで極秘任務である「成人の儀」の護衛を依頼される。

依頼を引き受けた四季崎は、自身の武器である『四季』の性能を拡張する「可変機構」を受け取る。

彼はその夜、来るべき任務に備え、夜通し武器の手入れに没頭してしまった。

翌朝、四季崎はギルドで再び銀鏡と遭遇し、模擬戦を行うことになった。

演習場では、銀鏡が弓矢と体術を組み合わせた巧みな戦術で四季崎を翻弄します。

銀鏡は矢の軌道を隠したり、煙幕で視界を奪ったりと、次々に変化に富んだ攻撃を仕掛けますが、四季崎は卓越した身体能力と冷静な判断力でこれらに対応していきます。

 四季崎が質問するのが新鮮だったのか、少し面白そうに、「構わん、なんだ?」と答えると四季崎は一言お礼を言って質問した。


「冒険者側の祭祀場での配置なんですが、半円状で警備が配置されていますが、なにか理由があるのでしょうか?これでは後方からの襲撃に対して対処に遅れてしまうと思うのですが?」


 隊長は見取り図を見ることなく、それでいて当然のように答えた。


「それなら問題ない。質問だが、エセルニア大陸の中央には何がある?」


 当然のように、「聖域があります」と四季崎が答えた。


「そうだ。祭祀場と聖域の距離が近い。故にそこに敵が潜む可能性がないと判断している」


 四季崎は「ない」とまで断言できる根拠が思い当たらなかったが、その説明を一角隊長がしてくれるようだった。


「前日までは我々ギルドが定期的に見回りをしている。当日は保安上の都合とやらで教会が()()見回りをしているらしい」


 言葉と共に聖騎士を見ると彼らは各々で頷いて見せた。


「それにギルド側では周辺の森も定期的に巡回している。危険な動物や魔獣の類もいないから安心してほしい。以上で説明になっているか?」


 今までの内容を踏まえて問題がないか考えたが、すぐに思いつくような問題はなさそうだった。


「はい。問題ありません。ありがとうございました」


(その土地特有の状況に合わせた警備方法もあるということか……これはいい勉強になった)


 自分の経験したことがないことに対して、好奇心を刺激されていると、一角隊長が全体にも何か質問がないかを確認していた。


「ほかにも質問はなさそうだ」


 最後に全員の顔を伺い質問がないことを確認すると、最後の締めに入った。


「当日は指定時間に持ち場に集合だ。明日が皆にとって貴重な経験となることを願う!」


 一角隊長は拳を高く突き上げ、部屋の全員が「オオォォ!!」と応えた。


 その一体感を確認できると一角隊長は満足げにニヤリと笑うと、「各自準備を怠るな」と言い残し部屋を後にした。一角隊長が去った後も会議室の雰囲気は高揚したまま、仲間たちは互いに肩を叩き鼓舞し合っていた。


 銀鏡は若者たちの熱意を優しく懐かしむように見つめていると、「私は先に出る」と言って先に部屋を出ようとした。銀鏡は仕方なく一緒に部屋を出ると四季崎に聞いた。


「そこまで聖騎士と一緒にいたくなかったのか?」


 見当違いの質問に眉をひそめた四季崎は、「何言ってる?」と首を傾げた。


「私はただ、明日の警備する場所の祭祀場を自分の目で見ておこうと思っただけだ」


 銀鏡は、「そういうことにしてやる」と答えると四季崎は講義するように言い争うを続けた。


 そのまま二人は一回まで来ると四季崎は最後に銀鏡を誘った。


「お前も来るか?」


「すまん!これは工房に弓の調整と矢の補充に行く予定なんだ」


 申し訳なさそうに銀鏡は謝ると早々にギルドを後にした。


 四季崎は仕方なく一人で向かうことにし、一度受付に声をかけることにした。しかし、珍しく受付には多くの人が詰めかけていてイリーネが対応に追われていたため、彼女の手が空くのを待つ間、食堂の隅で注文した飲み物を飲みながら、本を読みながら時間を潰すことにした。


 気づくと窓の外から柔らかな夕陽の光が差し込み、受付に目を向けると人がまばらになり、イリーネも通常の書類仕事に戻っていた。


「イリーネさん、すみません。祭祀場周辺を少し調べたいのですが、立ち入りは可能ですか?」


 イリーネはあまりない混雑に疲れた様子を見せながらもいつもの完璧な笑顔で対応してくれた。


「お疲れ様です、四季崎様。残念ながら、成人の儀前夜になりますと祭祀場自体は保安上入場が禁止されています。ですが、麓の街道から見える入り口前であれば問題ありませんよ」


 それでも行こうか悩んだが、行かないよりは情報があった方がいいと思い行くことにした。


「それで問題はありません。今から行ってきます」


 ギルドを立ち去ろうと背中を向けた時、イリーネが慌てて呼び止めた。


「四季崎様!今から行かれるのですか?」


 四季崎は問題でもあるのかと思い振り返った。


「ええ、ダメですか?」


「いえ、ダメっというわけでは……ですが、時間を考えると明日に差し支えるかと……」


 どう説明したかと、考えながら説明しながらイリーネは心配そうに眉を寄せた。


 四季崎は窓の外の茜色に染まる夕焼け空を見ると、頭の中で所要時間を計算した。


(行って少し調査するくらいならさほど時間はかからないだろう……)


「心配して頂きありがとうございます。でも、事前の確認も重要ですので」


 行っても聞かないだろうと諦めたイリーネは羊皮紙に短文を書き、ギルドの紋章『魔印』を押した封書を渡した。


「こちらは臨時の夜間通行許可証です。夕方以降は街門の警備が一段と厳しくなります。万が一衛兵に止められたら、これをお見せください」


 四季崎は感謝し丁重に受け取り、コートの内ポケットにしまい込んだ。


 ギルドを出ると、東通りを進んでいき、途中で簡単な食べ物をっと思い屋台で焼き菓子を買うと、夕暮れの街灯が灯り始めた街の中をあとにした。

私の作品を読んでいただき、本当にありがとうございます!感想を聞かせていただけると嬉しいです。

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