友人との再会と誘い 10
中央貿易都市セントナーレに到着した四季崎は、活気あふれる港と多様な人々の賑わいに包まれながら、三年ぶりにギルド本部を訪れる。
かつて「大還輪廻の儀」で起きた騒動と、その後の苦い記憶が胸をよぎるが、感傷を振り払い依頼の完了報告と武器の受け取り、宿泊手続きを進める。
受付嬢イリーネとの和やかなやり取りで心が和らぐ一方、手続きの最中、かつての仕事仲間・銀鏡神楽と偶然再会。
思いがけない再会に戸惑いつつも、四季崎は新たな出会いと出来事への予感を胸に、再び動き出す。過去と現在が交錯するなか、彼の新たな物語が静かに幕を開ける。
四季崎は次に銀鏡はどのような策で来るのか警戒するように三人の銀鏡に対して全意識を集中した。
「そろそろ、解ってきたんじゃないか?虚実混濁の条件」
中央に立ち止まった銀鏡はそう発言すると、四季崎は軽く息を吐きながら答えた。
「同時行動。そして、お前が現在の本物だろ?」
昔と変わらないその洞察力と観察力に感心しながら、銀鏡は笑みを浮かべた。
「いや……そこまで当てられるとは思ってないぞ?大抵の場合、虚実の条件くらい見抜くがそれ以上はお前くらいだ」
四季崎は楽しそうに自分の仮説を解説を始めた。
「まず、最初の攻撃。動く二人が偽物で止まっている攻撃が本物。二回目の攻撃が動いている攻撃が偽物で、止まっている攻撃が偽物と本物。最後に全員止まっている時の攻撃は偽物と本物。次に本物と偽物が織り交じっている時だけ行動が同じだった。後は神楽の性格と今までの経験から予想をつけた」
銀鏡は呆れながら、「それ、後半が大部分占めてるだろ」と呆れながらも、魔法を解除した。すると、今まで周りにいた銀鏡が靄になって消えた。
「いいのか?まだ決着はついてないのに?」
魔法を解除したと同時に一気に疲れに襲われたのか、へ垂れ込んでしまった。
「魔力の消費が異常なほど多いんだよ。正直、もうきつい……それに……」
銀鏡は最後まで言い終える前に、四季崎の頭に何かが当たり「いって!」と叫び。落ちてきたものに目を向けるとそれは矢先が潰された演習用の矢だった。
「それに既に決定打は仕込んでたしな」
その場に座り込むと、銀鏡は高らかに笑って見せた。
「いつの間n……マキビシの時の風切り音……あれか?」
「それだよ。普段の前なら、気づきそうだが、是空は集中すると周りが見えなくなるからな。それを利用させてもらったよ」
四季崎は自分の癖を利用させたことに不満げな表情をすると、銀鏡は講義するように話した。
「是空、お前。どれだけ俺がその場にお前を留めながら、かつ意識を削ぐのに頑張ったと思ってるんだ。正直、二度としないしないからこの戦術!労力に対して得られる結果が少なすぎる!」
自分の立てた計画にも関わらず、不満いっぱいの銀鏡を見ていると、彼がどれほど考えて四季崎に勝とうとしたのかが伺えた。
「お前は強くなったな。正直、ここまでとは思わなかった」
四季崎は銀鏡に近づき、手を差し出すと、銀鏡はそれを掴み、身体を起こした。
「お前は変わってないな。戦術を見抜くその頭に敬意を称したいよ」
銀鏡は服の汚れを払い落とすと、「これで俺の4勝7敗だな」とニヤリと笑いながら、四季崎の背中を強く叩いた。
「今回は実戦形式ではないから、無効試合だ?」
四季崎はよろめきながらも抗議すると、「負け惜しみ」と銀鏡が言うと今度は四季崎は銀鏡の背中をバッンっと叩いた。
「次は実戦でその勝ちを取り返しますよ」
そう最後に四季崎が答えると、二人は笑いながら、演習場を後にした。
二人はギルドのエントランスに戻ると、受付にいるイリーネに 許可証を返した。
「ありがとうございます。いい運動になりました」
四季崎がイリーネにお礼を言うと後ろで銀鏡が、「俺が勝ったけどな」とイリーネに囁くと四季崎は銀鏡の脇に肘で小突いた。その二人の姿を見て、イリーネはクスリと笑った。
「お二人は久しぶりの再会にも関わらず、すごく仲がよろしいですね?なんだか、羨ましいです」
二人はイリーネの言葉を聞いて互いに顔を見合わせ、首を傾げた。そんな二人を見ながら、イリーネは頬杖を突きながら、ため息交じりに話した。
「妹たちもこれくらい仲良くしてくれると、姉として嬉しいですけどね」
と独り言のように呟くと許可証を受け取り、それをしまい込んだ。
「会議まで時間がありますし、食事でもとってはいかがでしょうか?」
二人はイリーネに促させるまま、食堂に向かうと料理を注文した。
四季崎は、木の実の盛り合わせと、サンドイッチ。銀鏡はハーブローストとサラダとパンを注文した。銀鏡の注文を聞いた店員はこの時間に手の込んだ料理を注文されたことに少し嫌そうにしていたが、銀鏡は気にする様子はなかった。
二人は、料理を待つ間、先ほどの模擬戦に対する議論を広げた。料理が到着すると、銀鏡は静かに料理を堪能するように黙々と食べ始め、四季崎は、本を取り出し、本を読みだながら、片手間に料理を楽しんだ。
二人が食べ終わるころにはちょうどいい時間になっっていた。
四季崎は銀鏡に案内されるがまま、ギルドの二階まで上がるとすぐ目の前にある扉に手をかけた。
「是空。緊張すんな。中の奴らはみんなお前も事を知っているいいやつばかりだ」
そう言って、扉を開けた。
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