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時紡ぐ英雄譚  作者: 漆峯 七々
異端者の烙印、聖女の覚醒

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友人との再会と誘い 07

中央貿易都市セントナーレに到着した四季崎は、活気あふれる港と多様な人々の賑わいに包まれながら、三年ぶりにギルド本部を訪れる。

かつて「大還輪廻の儀」で起きた騒動と、その後の苦い記憶が胸をよぎるが、感傷を振り払い依頼の完了報告と武器の受け取り、宿泊手続きを進める。

受付嬢イリーネとの和やかなやり取りで心が和らぐ一方、手続きの最中、かつての仕事仲間・銀鏡神楽と偶然再会。

思いがけない再会に戸惑いつつも、四季崎は新たな出会いと出来事への予感を胸に、再び動き出す。過去と現在が交錯するなか、彼の新たな物語が静かに幕を開ける。

 静寂を破るように、銀鏡は弓の弦をを鳴らすように、一射目を放つと同時にすぐに態勢を低くしながら、矢を流れるように番えるとすぐさま二射目を放った。


 一射目は狙い澄ましたかのように四季崎の心臓を正確に射抜く様に放たれ、すぐさま放たれた二射目は彼の右大腿部を狙うように放たれた。矢は鋭い風切り音を立てて飛翔し、二射目は一射目より強く放ったのか、四季崎に到達したのはほぼ同時だった。


(一射目でこちらを仕留めるか、重傷を負わせ、それを防ぐと今度は二射目の対処が遅れたことで、動きを封じて、戦闘継続を困難にさせる二重の確実性を持った戦術。相変わらずだな、神楽)


 銀鏡のお決まりの戦術にどこか懐かしさを感じながらも、四季崎は状況を冷静に分析すると、二射目が放たれたと同時に素早く右半身を後ろに引き、重心を移動させつつ体勢を変え二射目を躱せるようにすると同時に、心臓を狙った一射目は構えていた武器『四季』で冷静に打ち砕き、バキッとと音を立てて地面に転がり、外れた二射目は虚しく砂地に突き刺さった。


 しかし、銀鏡はそれ自体を読んでいたようで、低い姿勢のまま、四季崎を中心に円を描く様に風向きを味方につけるように走り出しながら、また矢筒から二本引き抜くと、低い姿勢のまま横っ飛びし敵の視界から一時的に消えながら、三射目を放ち、更に転がった際の立ち込めた砂塵が矢の軌跡を隠す四射目を素早く放った。


 三射目の低い姿勢から放たれた矢を腰を捻りながら跳躍して躱すと、それを読んでいたかのように死角から四射目が迫ってきた。矢の羽根が視界に入った瞬間、一瞬の焦りを感じながらも当たる寸前に無意識に手でつかみ取り、矢をへし折ると同時に地面に着地した際に念の為に、三射目を踏みつけておいた。


「矢を簡単に壊すなよ。安くないんだぞ」


 一連の流れで矢を三本も壊され、落ち込むように呟くと、それに対して四季崎は呆れたように反論した。


「安くないって、これギルドで借りられる使われなくなった矢を改良した練習用の物だろ?それに壊しとかないと後で再利用する気だろ」


 手でへし折った矢を見つめながら、再確認し自分の認識が間違っていないことがわかると、すぐに地面に放り投げた。銀鏡は「お見通しですか」とおどけた。


「しかし、さすがの身のこなしだな。是空」


「いや、さすがに最後の矢には焦ったよ」


「嘘つけ。余裕な顔して手でつかんだだろ?ったく……ここからは少し本気で行きますかっと」


 銀鏡は四季崎が折った矢に意識を向けた間に取り出した何かを地面に転がした。その瞬間、一瞬にして辺り一帯が白い煙に覆われた。煙の流れが風向きで変化し、一瞬だけ銀鏡のシルエットが浮かび上がった。


「煙幕か……」


 皮膚にまとわりつくような煙で方角感覚が鈍る中、周囲への警戒心を強め意識を集中していると、数秒後、不意に頭上から甲高いヒュルルルル!という音が鳴り響いた。


(鏑矢?)


 無意識に視線を上に向けると、煙の中から人影揺らぐのが見え、すぐに視線を視線を戻すと煙の中から忍び足と存在を感じさせない呼吸を用いて気配を悟られないように近づいてきた銀鏡が現れた。


(彼が接近戦を取るのか!!)


 こちらの動揺をしている隙に弓の握り部分――グリップを振り上げ、四季崎の腕を狙って渾身の力で叩きつけようとした。咄嗟に身体を逸らしそれを躱すと、銀鏡は即座に身を翻し、今度は弓の弓の先端部分――リムを突き出すように振るった。シュッという風を切る音とともに、狙い澄まされた一撃が四季崎の顎先をかすりそうになり、チッと舌打ちをした四季崎は仕方なく距離を取った。


 それを許さないとばかりに銀鏡は距離を詰め直し、頑丈な弓が、まるで短棒のように次々と攻撃を繰り出してきた。銀鏡の初めて見る戦い方に、一瞬戸惑いを見せたが、すぐに四季崎は熟練の棍捌きで銀鏡の弓を捌いてみせた。棍が弓にぶつかるたびに、ゴン、カンと乾いた音が響く。銀鏡は隙を見ては弓のリムを突き出し、あるいはグリップ部分で打ち据える。


一進一退の攻防が続く。四季崎は正確な棍捌きで銀鏡の攻撃を捌き、逆に鋭い突きや払いで銀鏡を追い詰める。銀鏡は弓をまるで手足のように扱い、時には盾として、時には攻撃の起点として、巧みに棍を受け流していた。


 四季崎は今までの流れて銀鏡から距離を取ろうと離れたが、今度は銀鏡は追ってくることはなかった。不審に思い、銀鏡に視線を向けると、そこには既に新たな矢が弓に番え終えられいつでも放てる状態でニヤリと笑う銀鏡の姿があった。


 こちらに気づいたと分かると、銀鏡はついに五射目を放っていた。

私の作品を読んでいただき、本当にありがとうございます!感想を聞かせていただけると嬉しいです。

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