友人との再会と誘い 05
中央貿易都市セントナーレに到着した四季崎は、活気あふれる港と多様な人々の賑わいに包まれながら、三年ぶりにギルド本部を訪れる。
かつて「大還輪廻の儀」で起きた騒動と、その後の苦い記憶が胸をよぎるが、感傷を振り払い依頼の完了報告と武器の受け取り、宿泊手続きを進める。
受付嬢イリーネとの和やかなやり取りで心が和らぐ一方、手続きの最中、かつての仕事仲間・銀鏡神楽と偶然再会。
思いがけない再会に戸惑いつつも、四季崎は新たな出会いと出来事への予感を胸に、再び動き出す。過去と現在が交錯するなか、彼の新たな物語が静かに幕を開ける。
次の日の朝
賑やかな鳥のさえずり鳴り響き、窓の隙間から差し込む日差しが四季崎の浅い眠りを妨げた。夢と現実の狭間を彷徨う中、外からは、人々の賑わいが聞こえてきた。
(う…頭が重い。まだ、眠いが、今日の昼には重要な会議がある。これ以上は寝てられないな)
迫りくる眠気を何とか振り払うように寝台から這いずるようにして、起き上がると眠気を洗い流すために、冷水を浴びるため風呂場に向かった。
風呂場から出てくると、すっきりした頭で、愛用の白いシャツと褐色のパンツに着替えると、ベルトにホルスターを装着するとそこに昨日綺麗にしたばかりの武器『四季』丁寧に取り付けた。
「やっぱりお前がここにここにあると安心するよ」
そう呟くと、一階まで下りていった。一階では、イリーネが朝にも関わらず、膨大な事務仕事と格闘していた。やはり昨日も遅かったのか、時折、書類から顔を上げては、眠そうに手を口に当ててふぁ~、と小さなあくびをしている姿が見られる。
書類の隙間から四季崎がこちらに近づくのに気づくと、慌てて背筋を伸ばし、いつもの完璧な笑顔で話しかけてきた。
「おはようございます。四季崎様。昨日は寝れましたか?」
イリーネは昨日の四季崎の行動を見透かしたような質問をした。彼は内心でドキッとしながらも冷静に答えた。
「まあまあですね。それを言うなら、イリーネこそ、ずいぶん眠そうでしたが、大丈夫ですか?」
彼女は彼女で自分のあくびしていた姿を見られたと思い、少し恥ずかしそうにすると、彼が一階に降りてきた理由が気になった。
「これからどこかにお出かけですか?まだ時間は早いと思いますが?」
「そうですね。眠気を覚ますために少し走ってこようかと」
「健康的ですね。でしたら、北通りはこの時間でも、早朝から働く商人や船乗りで人が多いので、静かに走りたいなら避けたほうがいいですよ」
四季崎は彼女の助言に感謝を示しつつ、鍵を預けると、「いってらっしゃいませ」というイリーネの声に送られてギルドを後にした。
外の空気はまだ早い時間なだけあってひんやりと肌寒く、深呼吸すると肺が洗われるように空気が澄んでいた。しかし、イリーネの言った通り、北通りの方からは、早くも商人や船乗りたちが仕事の準備で忙しく行き交う喧騒が聞こえてきて、朝の賑やかさが始まろうとしていた。
四季崎はそれを横目に見ながら、軽く屈伸などして身体をほぐすと、比較的まだ人通りの少ない西通りと東通りを、一定のペースを保ちながら何度も往復するように走り込みを始めた。
予想通り、そちらの通りは外にはまだ人影が殆どいなかったが、通りに面した店の奥からは、開店準備だろうか、ガタゴトと何か作業をしているような音が時折聞こえた。
ちょうどいい、疲労と共に新鮮な空気を吸い込んで頭が冴えてくると、切り上げてギルドに戻ることにした。
ギルドのホールに入ると、宿泊していたらしいギルドメンバーが朝食を取るために食堂に降りてきており、それぞれにテーブルで食事をしたり、仲間と会話を楽しんでいた。活気が出てきたようだ。
四季崎は食堂で簡単な食事と飲み物を注文し、受け取り部屋に戻ろうと、鍵を受け取りに受付に向かうと、そこでイリーネが小さく手招きして呼んだ。
「どうかしましたか?」
四季崎は鍵を受け取りながら、尋ねると、イリーネは銀貨が詰まった革袋を机の上に置いた。
「四季崎様、昨日の報酬の差額です」
銀貨を受け取ると、念の為、確認をすると、ズボンのポケットにしまい込んだ。彼女にお礼を言いながら、自分の部屋に戻ると、食堂で買った料理を頬張りつつ、銀貨を数えた。枚数に枚数に間違いがないのを確認すると一度机に置き、暗赤色のコートを羽織ると、最後に深緑色のマフラーを巻くと、革製のサイドポーチつけると、机に置いた銀貨をポーチにしまい込んだ。
会議までの時間街でも散策しようかと思い、もう一度一回に降りると丁度、受付に話している銀鏡と目が合った。
「おはよう。是空。準備万端って感じだな?」
銀鏡の軽い挨拶に対して、軽く手を上げて答えると彼の近くまで近づいて行った。
「そんなお前は仕事の報告か?仕事熱心で何よりだ」
「まぁな。でも、簡単すぎて準備運動にすらならなかったよ……そうだ!是空。会議まで時間があるし、一戦どうだ?久々にお前とやってみたいぜ」
少し驚きながらも四季崎もそれとの模擬戦に興味が出てきたのか、それを承諾した。
「すみません、演習場を借りれますか?」
隣で聞いていたイリーネに確認を取ると、「はい、確か第二演習場でしたら終日空いていますよ」 と言うと、カウンター後ろの棚から『演習場使用許可証』と書かれた札を手渡してきた。
四季崎はお礼を言い許可証を受け取り、そのまま一階奥にある演習場へと繋がる扉に入っていった。
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