表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/437

第98話・海上自衛隊 対潜打撃群

アジア一の対潜狂

 

 ––––日本領海 相模湾沖。


 深いところでは水深が1500メートルにも達するここは、静岡県と神奈川県に囲まれた巨大な湾である。


 その水上には今、いくつもの巨大な艦影があった。


 一律に南を向くそれら“対アノマリー艦隊“の先頭を務めるのは、海上自衛隊が誇る最新鋭護衛艦『あさひ』。


 対潜水艦戦を重視したこの艦は、アジア一の対潜能力を持つことで有名だ。

 ステルスを意識した艦体に、イージス艦にも似たレーダーが特徴的である。


 スリムな艦橋で、航海員が舵を握っていた。


「『むらさめ』より通信、艦隊陣形を維持のため、速力を赤15へ変更するとのこと」


『あさひ』の後方では、同じく白波を立てて走る護衛艦がいた。

 左弦側を航行していたのは、むらさめ型護衛艦1番艦『むらさめ』。


 海上自衛隊の主力艦艇で、多機能が売りの汎用護衛艦だ。

 イージスのような圧倒的防空性能は持っていないが、中露の潜水艦相手でも十分戦える能力を持っている。


 武装は76ミリ速射砲に、VLS(垂直ミサイル発射機)。

 さらに対艦ミサイルや、短魚雷を搭載していた。


 今回のリヴァイアサン討伐戦に合わせて、32セルあるVLSの内––––なんと28セルをアスロック対潜ミサイルへ換装。


 まさしく対潜特化仕様と言えた。


「右弦の『おおなみ』も速力変更します、アメリカの報告が本当なら……そろそろですかね」


『あさひ』の右弦後方には、これまた同じ横須賀所属の汎用護衛艦。

 たかなみ型2番艦、『おおなみ』が付いていた。


 武装は『むらさめ』と似ているが、こちらは主砲が127ミリと大きい。

 そして、それら護衛艦が囲む中心にいるのは––––


「こちら『ひゅうが』、さきほど司令部より下命があった。輪形陣を保ちつつ南下を開始––––対潜警戒を厳となせ!」


 ヘリコプター搭載型護衛艦。

 名をひゅうが型1番艦『ひゅうが』は、全通タイプの飛行甲板を備えた空母のような見た目をしている。


 この艦は、対潜ヘリコプターを同時に3機運用可能な、文字通り潜水艦キラーの兵器。

 さらに空母型の艦には珍しく、他の護衛艦と同じVLSが装備されている。


 これは自衛能力向上の意味もあるが、実際は海自による高度な計画が生んだ代物。


 ひゅうが型就役時の日本では、空母タイプの艦を持つなど憲法違反だという声が多かった。


 それを見越して、海自はVLSをあらかじめ搭載することにより「これは空母ではありません、護衛艦です」と強調。


 日本人特有の言葉遊びだが、

 結果的に、後の実質的な航空母艦たるいずも型護衛艦の建造に繋がった。


 しかし、だからと言って本艦が繋ぎの空母モドキかと言えば違う。

 前述した通り、ヘリコプターを多数運用できる上で、この艦は対リヴァイアサン戦にうってつけ。


 ローテーションの関係もあり、日本海から直接呼び出したのだ。


「取舵10度! 第一戦速(せんそーく)!」


「第一戦速(せんそーく)!」


 もっとも、本来ならこれより巨大ないずも型が適しているのも否めない。

 だが、その2隻は現在使えなかった。


 2番艦の『かが』は、24年度に空母化して以来、外洋遠征艦隊の中核として機能。


 現在は南シナ海で”空母打撃群“を編成して、中国を牽制している。

 艦載機のF-35Bは、人民解放軍の戦闘機を全てにおいて上回っており、もう対潜ヘリコプターは申し訳程度にしか積まない。


 1番艦の『いずも』は、空母化改修のためドックに入っており……こちらも使用不能。


 よって、『ひゅうが』を中核とした対潜打撃群を海自は編成。

 リヴァイアサンの進路を予測し、展開を始めていた。


「横須賀より追伸! 音響探知システムSOSUS(ソーサス)がアノマリーと思しき音源を探知! 本艦隊の90キロ南東を北上中!」


「来たか……、狙いはやはり関東と見て良いな。対潜戦闘用意!!」


「対潜戦闘用意!!」


 警報が鳴り渡る。

『ひゅうが』の飛行甲板から、3機のSH-60K対潜ヘリコプターが唸りを上げて飛び立った。


 僚艦の『むらさめ』と『おおなみ』からも、SHが各1機ずつ発艦した。


「達する! これより本土防衛作戦––––”蒼雷作戦“を開始する!! 本海戦の絶対目標は、犠牲を出さない我々の完全勝利だ!」


 ”ひゅうが対潜打撃群“は、進路をゆっくりとリヴァイアサンへ向けた。


98話を読んでくださりありがとうございます!

戦後すぐに怪獣に襲われてはどうしようもないですが、現代日本には世界有数の軍事力があります。


「少しでも続きが読みたい」

「面白かった!」

「こういうダンジョン×自衛隊流行れ!」


と思った方は感想、いいねでぜひ応援してください!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
読み返し中 日本人特有の言葉遊びだが、  結果的に、後の実質的な航空母艦たるいずも型護衛艦の建造に繋がった。 変に改行されているようです(返事不要
海上自衛隊の「潜水艦絶対ぶっCOROすマン」はイージス艦や弾道弾迎撃ミサイルを配備された今も全く変わってないからね
[一言] あとがきの一言はゴジラ-1.0ですね、わかります
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ