第83話・特殊作戦群VS中国工作員部隊
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「こちらアヴェンジャー、ドローンの指揮車両を撃破。すぐに撃たれるだろうし……後退する」
中国部隊へパンツァーファウスト3を撃ち込んだのは、錠前が送り込んだ特殊作戦群の一員だった。
彼の無線に答える形で、別のビルに潜んだ特戦隊員が無線を行う。
「了解、そちらの第2射に合わせて発砲開始する……しくじるなよ」
「わかってるよアーチャー、お前は相変わらず声が怖え。おっと……早速撃ち込んで来たな」
中国部隊の95式による激しい制圧射撃が、雪崩のように部屋へ入ってくる。
だが、アヴェンジャーと名乗った隊員は発射機を捨ててサッサと退避。
銃弾は誰もいないオフィスをズタズタに引き裂いた。
階段を登って屋上まで駆け上がる。
煙を立ち昇らせる車両の傍で、下の階へ撃ちまくっているのが見えた。
「アーチャー、敵さん思ったより重武装だが……そこから装備判別できるか?」
海を渡って来たにしては良い装備である。
5秒ほどして、報告が送られて来た。
「アヴェンジャーへ、どうも高レベルの防弾プレートを着ているように見える。武器はブルパップ式のアサルトライフルだ」
「ブルパップ……っとなると95式あたりか? まぁ防弾プレートなんて……」
顔と一緒に、『M7』アサルトライフルの銃口を向けた。
「関係ないけどな」
ダブルタップで2発。
やたらと叫びながら、フルオートで乱射していた若者へ命中した。
6.8ミリ・レミントンSPC弾は、レベルⅣアーマーを前評判通りに貫き、中国工作員を簡単に殺害する。
最新のサウンド・サプレッサーにより、撃たれた方位しかわからないだろう。
「逃げ始めたぞ、仕留めろアーチャー」
「了解」
別のビルで待機していたアーチャーが、バレットM107対物狙撃銃を発射した。
巨大なサイレンサー付きのそれが放たれると、衝撃波と共に弾丸を音速より速く飛翔させた。
「命中、ヘッドショット」
大口径弾は、建物に逃げようとした中国工作員を殺害。
なんの感慨もなく、あの世へ送った。
「アヴェンジャーへ、撹乱と追い込みを行うぞ。このまま1ブロック分押し込めと“カタストロフィー”が言っている」
「りょうかーい、悟られんなよ?」
数発だけ撃ったアーチャーは、ビルの屋上に登って端まで行く。
そこには、隣のビルまで繋がったワイヤーが立てられていた。
カラビナを掛け、ワイヤー間を一気に移動。
これは、作戦前にアヴェンジャーが仕掛けて回っていた『グラップリング・ワイヤー』だ。
戦闘想定地域のあちこちに、これと同じ物が仕掛けられており、ビル間の迅速な移動を可能にしていた。
カラビナを外してすぐに、アーチャーはバレットを構える。
スコープには、全く見当違いの方向を撃つ中国人が映った。
彼らからすれば隠れているつもりだろうが、完全に丸見えである。
躊躇なくトリガーを引き、これもまたワンショットで仕留めた。
アーチャーとアヴェンジャーは、射撃と移動。
これをグラップリングの活用によって効果を最大化し、敵を完璧に撹乱していた。
相手からすれば、どこに逃げ込んでも大口径弾が貫いてくるのだ。
数にして30人以上いるものと思い込んでいるが、実際はたった2人が演じる劇に過ぎない。
あらゆる方向からの射撃で15人まで減った中国人チームが、1棟の廃ビルへ逃げ込む。
同時に、射撃をピタリとやめた。
これで向こうからすれば、射線を防げたと思い込む算段である。
「アーチャーからカタストロフィーへ、追い込み漁は成功。目標は檻へ入り込みました」
無線を送ると、すぐさま向こうから楽しげな声が返ってきた。
「さすが陸自きってのスナイパーと撹乱のプロ、その調子で他の中国人達もこのビルに誘い込んでくれない? ドンドン食ってくからさ」
「それは良いのですが……、1つ聞かせてください」
1キロ先の廃ビルを眺めながら、アーチャーは尋ねる。
「本当に援護も無しに、“お1人”で全員相手するつもりですか?」
「えっ、何か問題ある?」
「いや……1佐が良いのなら、構わないのですが……」
「おいおい随分不安そうにするね、アーチャー」
ビル内の椅子から立ち上がった狂人––––錠前1佐は不気味に笑った。
「これと同じシチュエーションで君たちと演習した時、どんな結果だった?」
思い起こす記憶と共に、アーチャーは初めて喫した敗北の思い出を掘り出した。
「……突入した特戦第1中隊の全員が、あなた1人に殺されました」
「そうだね。まぁ君らに比べれば、連中は大陸に生える雑草と同じだよ。っということで––––」
コールサイン、“絶対的破滅”は優しく……飄々と答えた。
「今から全員殺してくるね」
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