第67話・護衛部隊
感想ありがとうございます!!
みんなほえドールちゃんにいっぱいおいしいもの食べさせたい気持ちが伝わってきますw
––––東京都新宿区 とある喫茶店。
大手チェーンの運営するここは、よくSNSなどで量が多いということで有名な喫茶店だ。
パンからジュース、季節限定品まで……ありとあらゆる物がデカく、ボリューミー。
うっかり通常サイズを選ぼうものなら後悔で満ちる。
そんなお店で、対面に座りながらジュースを啜る2人の自衛官がいた。
「……なんでせっかくの外出がアンタと一緒なのよ」
そう文句を言ったのは、長いセミロングの茶髪を下げた19歳の少女。
陸上自衛官、久里浜 千華は不機嫌そうにアップルジュースをストローで吸い上げる。
服装は肩出しデザインのシャツに、カジュアルタイプのショートパンツ。
ただでさえ小さく見える身体が、より華奢に映った。
「しょうがないだろ、残った人間が僕らなんだからさ。文句は錠前1佐にでも言え」
透と似たようなコーデの坂本が、これまた大きいカゴに入ったポテトを手に取る。
普段の迷彩服じゃない彼は、長い前髪も合わさってかなり陰キャ感が漂っていた。
しかし、妙に顔が良いので余計に久里浜を苛立たせる。
「わかってる、頭では分かってるんだけど拒否反応起こすのよねぇ……。ったく……なんでこんな影キャとカフェに来なきゃいけないのよ」
「お前が東京の暑さにやられて、涼しいところで休憩したがったからじゃん。僕のせいにしないでくれる?」
「ッ……」
「まぁ隊長たちの位置はGPSで常に把握できてるし、“中露”もまだ動かないでしょ」
坂本の言葉に、久里浜が傍に置いたデカいバッグを触りながら答える。
中には、分解したアサルトライフル“HK416A5”が入っていた。
レシーバーピンを押せば、数秒で組み立てが完了する。
「いざって時の要員とはいえ……、東京で発砲するのは気が進まないわね。なんで大陸の連中ってこんなに厄介なのかしら」
「中国は天安門で、ロシアは赤の広場で。異世界人に素晴らしさをアピールしてもらえば、独裁的な国家元首が喜ぶ……誇れる文化も歴史も無い、没落する国の救いにはなるんだよ。それだけだ」
「虚しい話ね……、っていうか。アンタそういう話とは無縁だと思ってたんだけど」
「わかってる、迷彩服着てる時はこんなこと言わないよ。今の言葉は私人としての発言と取ってくれ」
「はいはい」
めんどくさそうに頷き、ポテトを取る久里浜。
次いで、メニューを開いた。
「それで? あの子連れムーヴしてる隊長達の護衛が……まさかわたし達だけじゃないわよね?」
注文を決めた久里浜が、店員を呼ぶ。
頼んだのは、標準サイズのオリジナルカツサンドだ。
標準と言っても、よその店の倍くらい量があるため、店員は何度もサイズの確認をしてから去って行った。
周囲に誰もいないことを確認してから、坂本がスマホを取り出す。
「……錠前1佐が直々に動いてる」
「はぇ!? あの人が!?」
「うん、さっきLINEでメッセージ送って来た」
画面を見せられると、そこには場違いなテンションで––––
「坂本ー、久里浜と東京デートしっかり楽しんでるかい? 外泊許可はしばらく出さないから悔いなきように。あっ、僕もさっき東京に着いたから色々よろしく〜」
画面を叩き割りたくなったが、久里浜の理性がギリギリで抑える。
「軽い……!! 全てが軽いッ!! なんでこれが異例の29歳1佐なのよ……むぐっ!?」
怒りのボルテージがMAXな彼女の口へ、ポテトを突っ込みながら坂本は返す。
「あの人は防衛大臣直轄の超人だ、こんな口調でも……一般人じゃ知り得ない情報と権力、装備を持っている。もちろん––––それに見合う信頼も」
「モグッ……錠前1佐……、確かにウワサ程度にはわたしも知ってるけど」
突っ込まれたポテトを、特に嫌がりもせず飲み込む。
「へぇー、どんな噂?」
「全部ぶっ飛んでるわよ? 元特戦第1中隊長のエリートで、対物狙撃銃を使って強風吹き荒れる2000メートルの距離を一撃ヘッドショットとか」
他にも。
目隠し状態で中即連20人が死守するキルハウスを5分で単身制圧。
近接戦闘は陸上自衛隊トップクラス。
空挺時代、5階から飛び降りて無傷だった。
「そんなヤベー人が、もしかしたら特戦……お前の先輩達を引き連れて展開してんのかよ。俺らいる?」
カツサンドが届く。
向かいで座る坂本の問いに、久里浜は毅然とした態度で言い放った。
「必要だから1佐はわたしたちも東京へ来させたのよ、わたし達の責務は––––“日本国民を守る”こと。隊長も四条先輩も……自衛官である前に日本人よ、わたしは絶対2人を守ってみせるんだから」
「ダンジョン運営のガキは?」
「あの子も可愛いから守るわよ、それに大事な捕虜だしね」
カツサンドを頬張る久里浜を見て、坂本は頬杖をつきながら肯定した。
「まっ、たまにはこういう休暇もアリか……」
3つあったカツサンドを1つ奪い取り、久里浜の文句も気にせず坂本も食事を進めた。
余談であるが、カツサンドの支払いは久里浜の遠慮を押し切って坂本がしたという。
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