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第502話・執行者エクシリアVS大天使サリエル

 

「なんや執行者ちゃん、絶好調やん。父親の新海3尉の話やと怠惰の極みって聞いとったけど」


 天界軍基地を疾走していたのは、MP7A2サブマシンガンを持った関西弁の自衛官。

 特殊作戦群所属の小隊長、アサシンだった。


 その隣を、対物ライフルを担いだ自衛官が一緒に走る。


「なんでも今回が最終決戦だから、あえてダラダラさせてあげたと聞いたぞ」


 同じ小隊長クラスのアーチャーが、前方を警戒しながら一言。

 だがアサシンは、あまり納得していない様子だった。


「実戦前に豪華な食事出すとか米軍の真似事かいな、しかし新海3尉と四条2曹が、よく彼女らを前線に突入することを許可したな。ついさっき国連で執行者ちゃんを核兵器扱いするって話出たばっかやん」


「本人たちの強い希望だそうだ。この際、バッサリ因縁を切って捨てたいんだろうよ」


「それなら理解できるな、あの子らは元々敵の上級幹部。立つ鳥跡を濁さず――――日本に永住するなら相応の覚悟を見せてもらわんといかん。子供やのに立派やね」


 アサシンは、内心で執行者を半分信頼していなかった。

 彼の任務はその性質上、人間の闇の部分に触れる機会が多い。

 ただ食事が美味しかったからという理由で寝返ってきた子供など、彼の理念からすれば信用に値しなかった。


 しかし――――


「彼女らは命がけで日本に益をもたらしとる。新海3尉たちの地道な信頼関係構築もあったやろうけど……その覚悟がこの戦いでも見れそうや」


 他国に比べて緩いから、生易しいから、政治家がアホだから。

 そんな理由で日本に来て、堂々とスパイ活動をする敵などアサシンは山ほど見てきた。

 けれど執行者の少女たちは、どこか違う気がした。


「まっ、強い子供の心配するより俺らは任務に集中しよか。”次元エンジン”の場所はわかるんか?」


「あぁ、執行者エクシリアさんから基地の構造を教えてもらっている。このブロックを進んだ先の宇宙船――――その艦尾付近だ」


「前から気になってたんやけど、なんでみんなエクシリアだけさん付けなん? どう見ても年下やろ」


「お前こそ知らなかったのか、彼女の年齢は180歳超えだぞ」


「……エクシリアさんに昨日タメ口で呼び捨てしてもうたわ、帰ったら謝らなアカン」


 そんなこんなで、2人は宇宙船の前まで来れた。

 警備や敵兵がいないのは、本隊や執行者が引き付けてくれているからだろう。


「ほな、行こか」


 ◇


「あらサリエルぅ、なんか前より弱っちくなったんじゃなぁい?」


「ッ…………!!! お前が元々強すぎなんだよ!!!」


 ビル群を駆け抜けるサリエルに、執行者エクシリアが猛追。

 翼で空を飛ぶ彼に対し、魔法陣を足場にして空中を機動。

 恐るべきはその展開速度だろう、踏み込み座標にピンポイントで出現させる様は、熟練の魔導士の腕を感じさせた。


「大人しくイヴを殺させてくれないかしら!? そうすればハッピーエンドなんだけどぉ!」


「黙れ裏切者が!! 母星を旅立ったあの日の誓いを忘却した貴様に、天使と成った僕らの気持ちがわかるか!!!」


 ビルを特級宝具で斬り裂いたサリエルは、急速反転。

 磨き上げた剣技で建物を格子状に刻み、衝撃波でエクシリアに弾丸のごとく飛ばした。


「わからないわね! 恋人に再会したいだけで世界を滅ぼすバカの思想なんて。ラブコメの主人公気取ってんじゃないわよ!!!」


 一撃。

 エクシリアがハンマー型の特級宝具を振ると、瓦礫の弾丸は一瞬で吹き飛ばされた。

 しかし、その奥にサリエルの姿は無い。


「ぬぅあああ!!!!」


 ――――ガギィイインッ――――!!!!!


 空中で激しく鍔ぜり合う。

 火花が散る中、サリエルが叫んだ。


「僕らに帰る場所なんてもう無い!! なら最後に世界の全部を道連れにすることを誰が責められる!? 執行者のお前ならわかるはずだ!! まして、僕ら大天使と同じ地球出身の人類ならな!!!!」


「…………」


 0.1秒だけ振り返る。

 確かに以前の自分なら、サリエルの気持ちがわかった。

 だが今は、


「自己中心的ね」


「はぁっ!?」


「帰る場所は自分で作るモノよ? 大切な人や世界がないから、そんな自棄(ヤケ)に走るのよ」


「知った口をぉおッ!!!!」


 エクシリアの脳内には、いくつもの光景が浮かんでいた。


『師匠! 夜食で一緒にチキン食べましょう! 透たちにバレたらダメですよ?』


『なぁエクシリア、こっちの生活は慣れたか? 不便があったらいつでも言えよ』


 愛すべき弟子、そしてそのマスターにして父親。

 それだけではない、まだ僅かな時間だが皆から受けた優しさは限りなく大きい。

 今の彼女にとって大事なのは、母星を失った悲しみを別世界に八つ当たりすることではない。


「アンタたちのエゴを、この世界で必死に生きる人間へ向けないで。居場所を奪われた側の人間なら、その悲しみを連鎖させるな」


「ッ!!!!!!」


 言い終わる頃には、勝負がついていた。

 ハンマーを消去し、代わりに別の特級宝具である2刀短剣を具現化させたエクシリアが、大天使サリエルの宝具を粉微塵に粉砕した。


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― 新着の感想 ―
無限にループして出会いを求めてるのか…こいつ絶対通り過ぎてるだろw
天使たちと同郷か。魔力があれば飯は要らない連中だから、エクシリアが特殊なんじゃなくそもそも長命種族なのかも。というか地球の自転とか公転とかの時間の進みが違うのだろうな。地球換算で185だからなー 戦…
良かった。師匠の目から見てもメンヘラ自己中達だったんやな。 天界のコメ欄の民度もアレだし、無理心中に巻き込まれる側からしたら「知らんがな」なんだよなぁ。
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