第486話・アノマリーVS特級神獣
正月だろうが更新は絶やさないスタイルです。
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追撃は即座に行われた。
バジリスクと配下の1級神獣たちは、各々の属性を込めた高威力ブレスを放ち、次いで2匹が跳び上がった。
蛇の強靭な筋力が可能な跳躍は、ブレスと合わせての連撃コンボ。
空中という無防備な場所で、このアノマリーを確実に葬る。
相手が”通常の生物”なら、確かに有効打だっただろう。
「はっは!!」
しかし、今回ばかりは運が悪かった。
錠前は空中で手をポケットに突っ込んだまま、飛んできたブレスを正面から受け止めた。
あらゆる属性の複合攻撃ですら、錠前の次元防壁はビクともしない。
ブレスは1本に纏まって貫徹力と威力を上げていたが、呆気なく四散。
周囲の壁を激しく破壊するだけに終わった。
次いでまだ煙が残っている中、2体の神獣が大口を開けて突っ込んでいく。
その鋭利な牙には猛毒が含まれており、僅か0.2ミリグラムの量で死に至らしめる。
――――ギィンッ――――!!!
「キュアッ!?」
2体の神獣は、これもやはりと言うべきか次元防壁に弾かれる。
「僕の防壁は、執行者や大天使のとはちょっと違うんだよねぇ」
言いながら錠前は、まず目の前の神獣に対して指をなぞる。
「ただ魔力で壁を作ってるんじゃない。僕の得意は空間魔法――――普段はプランク長に格納された余剰次元を周囲に展開することで……この世界とは別の空間を纏ってるんだよ。だから君たちの攻撃は絶対に弾かれる」
一閃。
錠前が指でなぞった空間が、大気ごと斬り裂かれた。
素粒子レベルで両断され、一時的に真空へ限りなく近い状態になるレベル。
「カッ…………!!!」
堅牢な肉体など関係なく、2体の神獣は8枚おろしにされてしまった。
「まぁ、対策が無いわけじゃないんだけど……そんなの使えるヤツ普通はいないんだよね」
大量の血と肉片の雨。
それらと一緒に、錠前は降下を開始。
軽く腕を振った。
「『劈』」
詠唱を唱えるまでもない。
錠前が放った斬撃は、ブレスを放とうとしていた1級神獣3体を、一瞬の内に葬ってしまう。
直前に防御魔法を発動していたが、その上から斬り刻まれたのだ。
床へ無数に斬り傷が付き、大量の瓦礫が宙を舞う。
「ギュアアアアアアアアッ!!!!!!」
バジリスクが咆哮を上げ、落ちてくる錠前に視線を合わせた。
眼が赤く光り、光が彼を包む。
――――石化魔法――――
睨みつけた対象を、1秒未満で石に変えてしまう特級相当の魔法。
攻撃を受けた錠前はすぐに石化――――
「呪いの類いか、相手が悪かったね」
しなかった。
錠前の糸目に隠れた魔眼が見開かれると、それはバジリスクの輝きを遥かに超越。
魔法を放ったバジリスクの下半身が、逆に石化してしまった。
魔眼は、あらゆる状態異常系魔法、呪いの類いを無効化。
または相手との実力差が階級換算で“2級以上”あれば、そのまま跳ね返せてしまう。
錠前が特級神獣バジリスクの魔法を跳ね返したということは、つまりそういうことだ。
「辛そうだね、君を従えてるのは大天使でもエンデュミオンでもないっしょ。それより遥か格上かな? どっちにしろ――――」
床に降り立った錠前は、人差し指を横になぞった。
「役者不足だ、胴元を出しな」
なぞった線に沿って、空間が”ズラされた”。
斬撃魔法ではないので、魔力も感知できない。
不可視不可避の一撃が、特級神獣バジリスクを真っ二つにしてしまった。
今まで見たことがない量の魔力結晶が周囲にばら撒かれる中、錠前は首を撫でる。
「ビンゴ」
彼の目の前には、”空間の裂け目”が広がっていた。
その先には花々の咲き誇る古代都市が映っており、錠前の予想が当たっていたことを示す。
「やっぱりな、最初から”第5エリア”の入り口はここだったわけか。おそらく第4エリアはデコイ、上手く隠し通したつもりだったんだろうが……」
ゆっくりと、手を伸ばす。
「僕の眼は人より良いんでね」
錠前が裂け目に手を触れた瞬間だった。
――――バチィッ――――!!!!
「ッ」
彼の手は、一方的に弾かれてしまった。
しばし思考した錠前は、「クック」と笑う。
「なるほど、そんな誓約を課すほどにここに僕が入っては欲しくないわけか」
直後に、錠前のポケットに入れていたスマホが鳴る。
バジリスクが倒されたことにより、ラビリンスタワーの電波干渉が消えたのだ。
「はいもしもしー? グッドルッキングガイ錠前勉だよ」
『じょ、錠前1佐……!』
「その声はキャスターか、どう? 四条陸将にはお帰り願えたかな?」
彼は塔に入る前、本土の特戦に指示を出していた。
透と四条の交際がバレたとあっては、あの超親バカ陸将がどんな行動を取るかわからない。
さすがに内勤で鈍っているとは思うが、念のため阻止を命じていたのだ。
しかし――――
『も、申し訳ありません……1日は稼ぎましたが、四条陸将は阻止線を突破。現在ダンジョン――――新海透3尉の元へ向かっております』
「…………」
しまっていたサングラスを掛けなおす。
彼の顔は、バジリスクと遭遇した時より明らかに困っていた。
「内勤で少しは弱体化してると思ったんだけどな……、さすがは防大時代に雄二と美咲相手に互角だっただけはある」
『い、いかがしますか? 今ならまだアサシンとアーチャーが間に合いますが』
「いや、いいよ。どの道必要な通過儀礼だ。この際――――新海には踏ん張ってもらおう」
『……新海3尉の命の保証は?』
「無いけどまぁなんとかなるでしょ、じゃあ切るね」
携帯をしまった錠前は、ニッと笑った。
「気張れよ新海、ある意味――――大天使より手強いぞ」
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