第485話・第2エリア裏ボス戦
みなさま、よいお年を!!
煙が晴れると、最奥の空間に巨大な影が現れた。
その姿はまさしく異形。
数十メートルのしなやかな筋肉を中心とし、4つの目と長い舌。8本の筋骨隆々な腕。
肉体は戦艦級の防御力を持った、蛇にも似た最悪の怪物。
「ギュラァアアアアアアアアアアッ!!!!!!」
大蛇の咆哮は、広大な部屋全体を大きく揺らした。
纏う魔力も、放った魔法も桁違いのパワー。
当然だろう、このモンスターこそ。
「ジュルルルッ」
――――特級神獣、バジリスク。
この第2エリアで神として崇められる存在であり、その強さは同じ特級という区分でもゴアマンティスを遥かに凌駕する。
以前エンデュミオンが同じ種のモンスターを召喚したことがあったが、あれは生まれたての子ども。
この個体こそ、ラビリンスタワーの壁画に記された本物の特級神獣だった。
――――ガラガラッ――――
黒煙が辺りを包む。
しかし、即死級の魔法を当てたはずの存在は――――
「ずいぶんと……派手な挨拶だねぇ。これは歓迎されてると見て良いのかな? それともノックした方が良かったかな?」
ヘラヘラと笑いながら、煙を出て歩いてくる錠前。
身体は焦げてすらおらず、ダメージの痕跡もゼロ。
バジリスクが舌を出して警戒態勢に入ったのを見て、錠前は口角を上げる。
「あぁ、君の攻撃は”次元防壁”で防いだだけだから。驚くことはないよ」
彼――――錠前勉の焼き切れていた魔眼は、既に回復している。
ゲラゲラと笑うような、恐ろしく不気味な魔力を纏った眼前のアノマリーに、バジリスクは様子見をやめた。
選んだ選択肢は、抹殺。
この生物は、ここで殺さなければならない。
「ギュラァアァァァァァァッ!!!!!」
今度はさらに温度を上げた火炎ブレスを、錠前にブチ当てる。
巨大な爆発がラビリンスタワー最上階を大きく揺らすが、爆炎の中からは”不可視の斬撃”が飛んできた。
――――バチュッ――――!!!
バジリスクの8本ある剛腕が、アッサリ斬り飛ばされる。
煙が吹き飛び、中からは無傷の錠前が姿を現した。
「なるほどー、高温の火炎ブレスに致死性の猛毒も混ぜてるわけか。普通の相手だったら今ので決まってたかもね」
あり得ない。
火炎ブレスだけでも大天使すら致命傷になる、まして一呼吸で絶命に至る異世界の猛毒まで含ませた。
腕から出血しながら、バジリスクは4つある目で錠前を見つめ続ける。
「別に驚く話じゃないよ、確かに一呼吸目はちょっとむせたけど、その後に適応しただけさ。もう僕にその毒は効かない」
”無限の適応”。
リヴァイアサンの能力をそのまま獲得した錠前は、あらゆる攻撃に対し適応をしていくことができる。
適応は戦闘終了後にリセットされてしまうが、逆に言えば……戦闘中なら同じ技で二度目のダメージは受けないということ。
さらに、同じく圧倒的な肉体反転能力も備える。
例え腕が吹き飛ぼうが、首や胴体が真っ二つにでもされない限り無限に再生できる。
しかも、こちらは治癒魔法と違って魔力を一切使用しない。
「ギュラアアァァァッ!!!!!」
バジリスクは、生まれて初めて自分より格上の存在と邂逅した。
特級神獣として、これまでどの敵も一撃で葬って来た。
アノマリーというのは、この世の理――――”因果を外れた存在”。
「これで終わりじゃないだろう? もっと魅せてみなよ」
間違いない、この男は――――
「まずはデモにちょうど良さそうだ」
ここで殺さなければならない!
「キュイイァアアアアアアアアアアアアッ!!!」
バジリスクの行動は早かった。
自身の周囲に魔法陣を5つ浮かべると、即座に召喚魔法を発動。
光の中からは、同じ蛇のようなモンスターが現れた。
バジリスクに比べれば劣るが、それらは体長40メートル越えの怪物。
子供として従える、”1級神獣”たちだった。
蛇群は咆哮と同時に炎、雷、氷、神経毒、爆裂魔法を一斉に放った。
いずれも1体1体が、エリアボスに匹敵する神獣。
食らえば即死も免れない攻撃を――――
「いいね」
錠前勉は、瞬間移動に近い速度で真上に移動。
攻撃をかわすと、下方からの爆発を踏みつけて宙に浮かんだ。
「まずはガキ蛇5匹、お前らから仕留める」
本日からアマゾンなど各販売店さんで電子単行本1巻が発売されます!!
160ページ以上を一気に読めるので、爽快感抜群です!
この物語がここまで来れたのも、ひとえに読者の方のおかげです。
引き続き、どうぞ応援よろしくお願いいたします!!




