第484話・再訪、ラビリンスタワー
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――――第2エリア、ラビリンス・タワー。
高さ300メートル、横幅200メートルの巨大建造物。
透たち自衛隊が、初めて執行者と本格的に戦った場所だ。
今は頼もしい味方のテオドールも、ここで会った時は殺し合う敵同士だった。
塔の内外には不気味な蛇の紋様が描かれており、中はまるで迷宮のような作りになっている。
かつては新海透率いる第1特務小隊が通り、モザイクと呼ばれたモンスターに火炎放射器を撃った場所。
そこに今、1人の男が立っていた。
「かれこれ数日、歩きっぱなしで嫌になるねー。まぁ自衛隊じゃこんなの普通だけど♪」
ニヒルな糸目で呟いたのは、サングラスをかけた現代最強の自衛官。
錠前勉だった。
「ベルセリオンくんとテオドールくんは、最上階への出口なんて無いって言ってたけど……」
顎に手を当てる錠前。
彼は数日、ずっとある場所を探していた。
それは、ラビリンスタワーの”本当の最上階”。
魔眼が伝えた微かな痕跡は、確かにここを示していた。
「はてさて、本当にあるのかな?」
当時の執行者姉妹は、”最上階”への階段など無いと喋っていた。
普通に考えれば、嫌がらせの類いと考えるべきこと。
迷宮内のモンスターやトラップに囲まれ、ダンジョンの栄養にする……当時は疑いもしなかったが。
「ずっと不思議に思ってたんだよねぇ、第1エリアで見かけなかった執行者がこのタワーから初めて姿を見せた。普通に考えれば焦ったって見方もできるが」
サングラスを上にあげ、魔眼を開けた。
錠前の視界に、通常の可視光線に加えて魔力、電磁波、ダークマター、プランク長に畳まれた高次元が映る。
第2エリア攻略後、自衛隊はあまりこの塔の調査をしなかった。
実際資源が現れたし、ボスも執行者も倒した。
屋上を破壊してヘリで乗り込むというムーヴだったが、もしあれが”非正規”だったならば――――
「見つけた」
錠前の魔眼は、ほんの僅かな揺らぎを捉える。
広場の中央に近づくと、ゆっくりと手を伸ばす。
一見なにも無い空間だが、彼には確信があった。
「おっ、ビンゴ♪」
錠前の触った空間が、カーテンのように開かれた。
現れたのは、黄金の扉だった。
とてつもなく周到に隠されており、魔眼が無ければ絶対に見つからなかっただろう。
彼の中で、全てのつじつまが合う。
「やはり、執行者はこのタワーに”本当の最上階”があることは知らなかったと見えるね。身内の上級幹部にすら秘匿する正規の入り口……新海たちが押し入った最上階はさしずめデコイと言ったところか」
無能極まりないダンジョン勢力にしては、ずいぶん知恵が回っている。
おそらくこのタワーを創造したのは、大天使でもエンデュミオンでも無いだろう。
考えられるのは、やはり――――
「破壊神イヴか、はたまたそれに匹敵する存在か……。まぁなんにせよ」
扉を蹴り開けて、中に入る。
「ここが本当の最上階か」
広がったのは、バカみたいに広い空間。
周囲を円形の装飾豊かな壁で囲まれた、秘密の部屋。
床は平らで非常に戦いやすそう、錠前の脳裏に似た概念が浮かんだ。
「なんか、ボスエリア感凄いね…………ん?」
瞬間、錠前の正面で閃光が走った。
――――ドゴォオオォオォォオオッッッ――――!!!!!!
突っ込んで来たのは、鉄の沸点2800度をゆうに超える灼熱の火炎ブレス。
炎は一瞬で錠前を飲み込むと、背後の壁に激突して爆発。
射線上の全てを灰塵に帰す、超高圧高威力の即死級魔法。
その威力は、執行者ベルセリオンの最大奥義である暁天一閃を超えていた。




