第466話・復活! 執行者エクシリア
「執行者エクシリア…………!! なぜ、お前がここに…………!?」
「あら、アンタの自慢の宝具が今まで私を縛ってたのよ? テオドールがそれを破壊してくれたんだから、こうして元に戻るのは必然と思わないかしらぁ?」
ガブリエルを軽く弾いたエクシリアは、後ろの弟子を一瞥する。
テオドールにしてみれば、その姿はかつて敵対した最強の執行者にして、偉大なる恩師。
「師匠…………」
「本当によくやったわねテオドール、師として誇りに思うわ。ここからは――――」
彼女の手に、2本の短刀が具現化された。
”特級宝具”『オーバード・クロック』、使用者のコンディションに応じて巨大なバフを与える武器だ。
「師匠に任せなさい」
瞬間、エクシリアの体からその場の誰よりも巨大な魔力が溢れ出た。
これまで敵対してきた中で、エクシリアも漏れなく欠食状態だった。
しかし3頭身の幻体で、彼女は日本の栄養満点な美味しい食事をしっかり食べていた。
本体が復活したことで、その有り余る栄養が体へ還元。
テオドールやベルセリオンと同じく、120%のポテンシャルを発揮するに至った。
さらに――――
「血界魔装――――『雷轟竜の鎧』!!!」
天空から1本のイナズマが落ち、天井を突き破ってエクシリアへ当たった。
煙が晴れると、そこには変貌した彼女の姿が浮かんだ。
髪と目はより荘厳に輝き、皮膚を美しい紋様が覆っている。
特級クラスの竜の力をその身に宿す、執行者の究極形態だ。
「この変身を使ったのは渋谷以来かしら、確かに言えるのは――――」
剣とスパークを纏ったエクシリアは、ニッと笑った。
「わたしはあの時より、10倍強いわよ」
「グッ!!」
咄嗟にガードするガブリエル。
瞬間、彼は2刀流の斬撃を正面から食らった。
激しいスパークが走り、吹っ飛んだガブリエルは壁に激突する。
砂塵が舞い、瓦礫が砕け落ちる中、執行者テオドールは膝をつきながら目を見開いていた。
「す、凄いです師匠……! あの大天使をこんな簡単に吹っ飛ばすなんて」
「フフッ、アンタのおかげよテオドール。ヤツの宝具を破壊して、体力も半分まで削ってくれた……テストなら100点をあげてるわ」
大好きな師匠に褒められ、顔を赤くするテオドール。
この小さく可愛い弟子のためにも、そんな彼女へ全てをベットしてくれた新海透のためにも。
「負けられないわね、サッサと出てきなさいよガブリエル。どうせ大したダメージじゃないんでしょぉ?」
エクシリアがそう言った時、煙が一気に晴れた。
奥からは、首をゴキゴキと鳴らしたガブリエルが現れる。
「忌々しい裏切り者が、ずいぶんと肥えて調子に乗ってるね」
「そうねぇ、こんな感覚は生まれて初めてかも……。余計に、アンタたちが哀れに思えて仕方ないわ」
「なに?」
「哀れと言ったのよ、魂が震えるほど美味しい食事を知らない、アンタらの舌バカ加減をねぇ!!」
エクシリアの持つ剣に、とてつもないエネルギーが集約されていく。
全身を電気が巡り、彼女の足裏が爆発した。
「ぐっぅううああッ!?」
一瞬だった。
まさしくイカヅチのようなスピードで肉薄したエクシリアは、2刀流でもって剣舞を披露。
あれほどのタフネスを誇ったガブリエルの肉体を、微塵切りにしてしまいそうな勢いで斬っていく。
「滅軍戦技――――『雷轟戦塵斬』!!!」
それは、今まで思い浮かべはしたが実行できなかった技。
満天の栄養に恵まれたことで、初めて彼女は己の能力を120%引き出したと言えよう。
まるで踊るように、しかし何よりも派手に、舞踏会のような上品さと闘技会のような激しさを兼ね備えた連撃。
80回目の斬撃を食らったガブリエルは、吹っ飛ばされながらも足裏を床に押し付けて踏ん張る。
全快ならまだしも、進化したテオドールと戦って消耗した後では話が違う。
長期戦は不利、援軍も期待不可。
ならばどうするか――――
「どうせ切り札の”暁天一閃”でも出すんでしょぉ? そんなの、わたしの弟子が見逃すはずが無いじゃない」
「ッ!!」
エクシリアに釘付けになっていて、さっきまで戦っていた銀髪の執行者を失念していた。
反射で見れば、もう戦闘不能と思われたテオドールが……両手に今までとは比較にならないエネルギーを溜めていた。
「波動砲――――発射用意っ」




