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第452話・保護者VS元保護者

 

「今の爆音、テオドールさんの技でしょうか!?」


 城の中を走っていた四条は、隣にいる眷属の方を見ながらしゃべった。

 入口で別れた第1特務小隊は、現在3方で散っていた。


 透直行組――――テオドール。

 東塔侵攻組――――四条&ベルセリオン。

 西塔侵攻組――――坂本&久里浜。


 戦力分散はしたくなかったが、今はこれが最善と判断した。

 エクシリアに関しては、危険なので入口で待機してもらっている。


「そうでしょうね、あの子がこんなに本気でやるなんて……相当ヤバいやつが来た証拠よ」


「だ、大丈夫でしょうか……?」


「わからないわ、確かに強くなったけど……もし相手がガブリエルだったら、今のテオドールでも相手になるか予想できない」


 姉の悲観的とも言える予想に、四条は首を横へ振った。


「テオドールさんだけならそうかもしれませんが、彼女には透さんがついています。心配はいらないでしょう」


「……そうね、わたしたちは自分のことを気にしましょうか」


 やがて通路が終わると、そこは明るい空間だった。

 周囲360度を紋様で覆われた壁で囲まれており、中央には何やら未知の機械が置いてある。

 明らかに他と異なる空間で、声を掛ける者がいた。


「なんだ、2人だけか」


「「ッ!!」」


 見上げれば、そこには黒衣を纏った日本人が浮いていた。


「錠前勉がいない今、戦力を分散するとは……よほど実力に自信アリと見えるが?」


「ダンジョン・マスター…………、エンデュミオン!!」


 戦闘態勢へ入ったベルセリオンが、1級宝具のハルバードを顕現させた。

 四条もまた、89式小銃を躊躇なく向ける。


「おっと、迂闊に攻撃してくれるなよ。もし中央の装置に当たれば事だ……」


「へぇ、何か教えてもらえるかしら?」


「隠すまでも無い、アレはダンジョンを制御する”次元エンジン”の補助装置だ。もし壊せば貴様ら日本人が望む制御権は手に入らんぞ?」


「ッ…………!! ここが?」


 さすがに衝撃を隠せなかった四条へ、エンデュミオンは不気味に笑いながら返す。


「別に不思議な話ではない、それだけ貴様らはもうゴールに近いのだ」


 2人の前に降り立ったエンデュミオンは、手に剣を具現化した。

 ――――”特級宝具”『グリフォニア』。


 彼の誇る、近接戦最強の武器だった。


「因果に恵まれた世界の日本人は羨ましい限りだ、俺のいた日本は世界最貧国のまま消滅したと言うのに……」


「消滅……? 一体どういうことです?」


「わからぬか? 俺のいた世界ではアノマリーを倒すことができなかった。結果として宇宙は消滅……俺だけが転生者として選ばれ、こうして世界を渡って来た」


「境遇は同情しますが、それで他の世界に迷惑を掛けて良い道理はありません。何よりあなたは――――」


 89式に銃剣を付けた四条は、怒気を込めて続ける。


「子供を飢えさせ、大人としての義務を果たさなかった……。ベルさんの保護者として、到底許すことはできません」


「はっ、くだらぬな。しょせん青臭いガキ……俺こそこんな軟弱が同じ日本人とは思えな――――」


 言葉を中断し、回避行動に移る。

 四条が89式を3バーストで射撃し、背後の壁に穴を開けたのだ。


「同情するとは言いましたが……、決して理解はしませんよ。貴方をここで無力化して、ダンジョンの制御権と透さんへの道は貰います」


「ならばやってみることだな、裏切り者の執行者もろとも葬ってくれる」


 エンデュミオンが言い終わると同時、上空から小さな影が覆った。


「『空裂破断』!!!」


 振り下ろされたベルセリオンの本気の一撃を、特級宝具で受け止める。

 衝撃波が入り乱れる中で、敵は笑みを見せた。


「イヴの復活を待つまでもない、この俺が全て片付けてくれる」


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― 新着の感想 ―
よそはよそ!ウチはウチ! 身内には情をかけるのがウチの民族性ですが、ウチの子を殴ってきたとなると話は別です! 遺伝子的にもう別物なので、すこぶる別の生き物ですダンマスw
あっ!ダンマス生きてた(笑)
こうして個別バトル連戦が続くと、このお話もそろそろクライマックスに近いのでしょうか。 ちゃんと話が着地点に向かっていると安心して読めます
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