第412話・陥落する超大国
えー、やらかしました……。
次の次のお話を投稿しちゃいました、もう手遅れなんで、ちょっと時系列を整理しつつ、本来の412話を改稿して413話にします。
先読みできてラッキーと思っていただければ
開戦から2日後。
米軍の動きは早かった。
ロシアは間違いなく戦略原潜、内陸のICBM基地からミサイルを撃つことが予想された。
ここで日本に被害が出れば、米国としてはなに一つ美味しいことが無い。
今までダラダラと共産主義ののさばりを許してきたが、利益的にここが潮時だった。
「発射」
オホーツク海空戦によって、ロシアは極東の制空権をほぼ失った。
そこへ、米空軍は即座にグアムからB-2爆撃機を発進。
中国へお見舞いした魔力を応用する新型EMPミサイル、『XE001』をロシア領内へ撃ち放った。
迎撃網をすり抜けてユーラシア全域へ広がったミサイルは、ロシア領内にのみ限定して強烈なEMPを炸裂。
防護措置など関係なく、全てのICBM、IRBMを無力化してしまった。
ほぼ同時に、北極海に展開していた戦略原潜を、米海軍の潜水艦部隊が背後から強襲。
大半の原潜が、SLBMを発射することもできず轟沈された。
なんとか2隻が1メガトン級の核弾頭搭載弾道ミサイルを、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、博多へ向けて発射に成功するが――――
「バーズアウェイ」
いかんせん、奇襲から時間を掛け過ぎた。
既に中国沿岸部から引き返してきた、日米の主力イージス艦隊がこれを迎撃。
総数16隻のイージス艦が誇る鉄壁の防衛網によって、核ミサイルは全て大気圏外で破壊された。
海軍艦隊の壊滅、航空戦力の全滅、全ての核攻撃能力喪失。
この絶望的な戦況を受けて、極東管区の司令官は部下の前で憤死。
次点の指揮官が指揮を引き継いだが、とてもモスクワにこんな報告はできない。
前任の体たらくによって鬼の顔となった大統領へ、新司令官はリモートで宣言する。
「3割です!! 現在ウクライナに派遣されている陸軍師団を3割頂ければ、必ず北海道を陥落させて見せます!!
新しく就任した極東管区の司令官は、血眼で大統領に宣言した。
このままでは、北方領土が日本に占領されるのも時間の問題。
EMPの影響が無かった車両を使い、ロシア軍はウクライナ領から撤退を開始。
だが、それこそが致命打となった。
「おい!! 自走砲の支援はどうした!!」
――――ウクライナ・ドネツク州。
塹壕にこもりながら、眼前のウクライナ陸軍と交戦していた小隊長が叫ぶ。
「ダメです!! 戦車師団、砲兵旅団は撤退を開始!! 戦線の維持ができません!!!」
「そんなバカな話があるか!! 俺たちは3年半掛けてここまで来たんだぞ!! 同胞の血を何十万人分も大地に染み込ませ、莫大な金を使ったのに!!」
「中隊司令部からも追加の撤退命令が出ています!! ここはもうダメです!!」
ロシア軍が東方へ移動を開始したことを、アメリカは見逃さなかった。
すかさず情報をウクライナへ提供し、好機と見たウクライナ陸軍は一気呵成に攻勢を仕掛けた。
既に、露軍は防空ミサイルや戦闘機、ドローンも使用できない。
ハリコフ奪還戦を遥かに上回るペースで進撃したことで、ウクライナはこの後に全土奪還を果たすことが確約された。
3年半の不毛な戦争は、ロシアの敗北で終わったのだ。
そのことを未だ受け入れられなかったロシア大統領は、地下のシェルターで大きく怒鳴っていた。
「参謀総長! 日本とウクライナはいつ占領できるのかね!?」




