第38話・再びのボスエリア
「うわっ、ひっろ……!」
思わず呟いた坂本が見上げたのは、床から300メートルはあろう高過ぎる天井。
周囲はこれまた遺跡のようになっていて、広大な壁に蛇がモチーフの絵が描かれている。
ここは、この場所は……。
ダンジョン経験者として、透が叫ぶ。
「全周警戒!! 多分だが––––来るぞっ!!」
「えっ? 何が?」
咄嗟に動く。
先頭の久里浜の襟首を掴み、全力で引っ張る。
一瞬だった。
透たちの眼前に、巨大なカマの先端が落ちて来たのだ。
床が砕け散り、瓦礫が周囲に舞い散る。
「やっぱり……、ここがボスエリアだったか!」
乗用車より大きなカマを握っていたのは、全身を真っ黒なローブで覆った。
言うならば––––“死神”だ。
––––キィンッ––––!!
部屋の壁や天井に至るまでが、一挙に星屑色へ染め上げられる。
出口も光が覆ってしまい、もう出ることなどできない。
「ッ……!! 援護ッ!!」
坂本と四条、中即連の2人がライフルを発砲。
弾丸は確かに顔部分へ命中したが、死神––––仮称『デスサイス』は微動だにしない。
いや、正確には動きを少しだけ阻害していた。
「げっほ! ゲホッ!!」
引っ張られた久里浜が、咳き込みながらデスサイスを見上げた。
「これが……エリアボス。こいつを倒せばっ」
立ち上がり、ライフルを持ち上げながら目を開けた。
透は一瞬、激情に駆られての無謀な突撃をしようとしているのではないか、そう考えたが––––
「新海隊長! こんなイレギュラーを……わたしは体験したことがありません、どうか……指示を!!」
杞憂であった。
彼女は自身の弱さをハッキリと理解しており、その上で透を頼って来たのだ。
グッと立ち上がり、20式を構えた。
「各自2人でペアを組む! 四条は俺と、久里浜は坂本とカバーし合え!!」
【ボス戦キタ––––––––!!!】
【日本の運命はまたこの人に託されるのか……!】
【ぶちのめせ! 弾で死なないヤツはいない!!】
3組が3方から距離を取り、攻撃を浴びせる。
だが、不思議なことにダメージを与えられている気が全くしないのだ。
さっきのガスの時と似ている、当てているのに効いていない。
火炎放射器は使い切ったので、もう頼れなかった。
「坂本! 久里浜っ! そっちに行ったぞ!!」
しかもこの死神、動きがとんでもなく俊敏なのだ。
距離を置いていたのに、刹那で詰められる。
2人に向かって、勢いよくカマが振られた。
久里浜が持っていた銃を手放す。
「正直気に入らないけど! ちゃんと合わせなさいよ!!」
「ざけんな! お前が僕に合わせるんだよ!!」
死神のカマが、豪快な金属音を立てて止められた。
見れば、坂本が64式に付いた銃剣で––––久里浜がコンバットナイフで同時に、完璧な呼吸合わせを行なって受け止めていた。
2人の足裏が摩擦で煙を上げ、刃の接触面に火花が散る。
一歩届かなければ、真っ二つだった。
「踏ん張れチビッ!! 油断したら吹っ飛ばされんぞ!!」
「言われなくてもやってるっての!! そっちも足腰ちゃんと入れてッ!!」
2人が足止めをしている隙に、透たちが一斉に動く。
中即連の援護射撃を背に、全力でダッシュ。
「はあぁッ!!」
四条が走り込みながら、死神の腕へ銃撃を浴びせた。
フルオートで連射しながら、89式の銃剣でローブごと切り裂く。
さらに透も、2人をアシストすべくカマを持つ手を30発全弾撃った。
「おっ!」
「えっ!?」
さっきまで有効打にならなかった攻撃を受けて、死神がすぐさま距離を取ったのだ。
見れば、銃撃や剣を受けた箇所から黒い血が垂れ落ちている。
「どうやら––––」
マガジンを交換しながら、透は笑みを見せる。
「あるらしいな……っ、攻略法の1つくらい」
この時点で彼は、死神への有効打を“直感”で理解していた。
つくづく思う、持っている武器が弓でなく––––現代技術の最高峰である銃で良かったと。
【修正報告】前の話に中国の成長率を5.5%と描写しましたが、今日世界銀行の発表で同国の年経済成長率がさらに下回っていることを確認したので、4.5%へ修正しました。
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