表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
357/456

第357話・無敵! 最強! ほえドール!!

 

「美味しい……、ラーメン? 貴様、ふざけているのか?」


「ふむ、ふざけているように聞こえますか……」


 フルアーマーな執行者が細い首をかしげた瞬間だった。


 ––––バギィッ––––!!!!


「ぐぅッ……!!!」


 目では追えない速度まで加速したテオドールが、左手でウリエルの腹筋に強烈なパンチを叩きつけた。

 ソニックブームの大音響が広がる中、彼女はいたって真剣に回答する。


「知らないようですね、食べ物の恨みは恐ろしいと」


「ッ……!! 舐めるな!!」


 吹っ飛ばされながらも、『ソドム』と『ゴモラ』を使って反撃。

 この距離で外すわけがなく、ウリエルはカウンターによる勝利を確信して––––


「よっ」


「ッ!?」


 ウリエルの目が驚愕で見開かれる。

 なんと、テオドールは弾幕の中をすり抜けるようにして、無傷で肉薄してきたのだ。


「今のわたしには透の加護があります、そんな雑な弾幕当たりませんよ」


 すれ違いざまに、左側でビームを放っていた『ソドム』を両断。

 空中で花火のような爆発が起きる。


「まずは1つ」


 鬼神のごとき戦闘技術を見せつけられ、ウリエルはもちろん……観戦していたコメント欄も震えあがっていた。


【亜光速だぞ!? なんで見える!!】


【ガブリエル様に次いで実力のあるウリエル様が押されてる……? 信じられん】


【頼む! ここで勝って停滞した俺たちに希望をくれ!!!】


 だが虚しいかな、フルアーマー・テオドールと大天使ウリエルでは、もはやその実力に明確な差があった。

 相手が弱いわけではない。

 今までの彼女であれば、既にウリエルに敗北していただろう。


「ッ! 見えない……! なんて機動だ!!」


 魔導スーツによる大幅強化、透による危機察知能力の付与、なにより––––極上のご飯をお腹いっぱい食べたことによる圧倒的バフ。

 これら全てが重なり、本来初期スペックで上回るはずの大天使を翻弄していた。


 このままでは押し負ける……!

 中国軍機による援護を期待したかったが、


「残念ながら、援護は来ませんよ」


 少女の見透かした一言。

 目を向ければ、そこにはフルアーマー・ベルセリオンによって蹂躙される解放軍機の姿があった。

 計画であればとうに邪魔者は下し、第一陣の燃料切れに合わせて中国本土に返すはずだった。


 それが、現在テオドールとの戦闘により大規模転移魔法が使えない。

 アフターバーナーすら焚けなくなった戦闘機隊は、無尽蔵の魔力を持つ執行者から逃げきれず、ハルバードによって次々と両断。


 東京湾から離れようとした戦闘機は、全くの容赦なく『まや』が対空ミサイルで叩き落としていた。

 戦闘はもはや一方的であり、中国空軍の殲滅まで時間の問題と言える。

 そして、ウリエルにとって凶報はさらに続いた。


––––まずい……! 第一陣の最終便が間もなく転移してくる……!!


 しかし、もうキャンセルはできない。

 テオドールの背後で、空が再び輝いた。

 光の中から、10機の大型輸送機が飛び出てくる。


 これらは、那覇で爆撃機と思われていた大型機だった。


【やばいやばいやばい!!!】


【時間差で転移させたのが裏目に出た!!】


【やっとマトモな援軍が来たんだ! なんとかダンジョンまでたどり着いてくれ!!】


 半ば狂乱状態と化すコメント欄。

 そう、今回の作戦の目的は––––解放軍兵士をダンジョンへ送り込むこと。


 ダンジョン内で正式に戦闘員となるためには、転移魔法ではなく、直接本人の意思で入場しなければならない。

 この制約は、内部の拡張空間を維持するためにどうしても必要な縛り。


 自衛隊員を殺し、エネルギーにするため。

 ひいてはダンジョンの直接支配のため、業を煮やした中南海が発案した戦争行為。

 全ては中国とダンジョンが、地球の覇者となるための一気呵成な作戦だった。


 アレが落ちれば、全てが失敗に終わる。

 ウリエルと残った中国軍戦闘機が、余力を全て使って執行者を引き付ける。


「くぅっ……!!」


 捨て身に近い攻撃を受け、さすがのベルセリオンも近づけない。

 事態を察知した『まや』がESSMを即座に放つが、『ゴモラ』によるビームがこれを撃墜。


 輸送機群が、ダンジョンへ向かって全速で突っ込んで行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
そこまでして輸送機をダンジョンに辿り着かせても、そこには駐屯している自衛隊に加えて彼等と協力関係を結んだ(飯テロでわからせた)エルフ達が戦闘体制でウェルカム状態なんですけどね……。しかもそこにはベルセ…
食べ物の恨みとこれまでかけられた迷惑への報復として、向こうのコメ欄をどんどん冷ましてやれ!w
なんというかまあ、相変わらずダイナミックなことをやらかす連中ではあるな。 ほんと、迷惑な事と悪行しかしないけどね。 明確に攻撃行動に出てるんだし、もはや焼き尽くすのみだな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ