第35話・普通科の最終兵器、銃弾メタはこれで消毒
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「なんだアイツら、銃弾当てても四散するだけじゃん。幽霊かよ」
地面に伏せて、バイポッドを立てながらセミオートで狙撃していた坂本が、怪訝な表情を見せる。
それもそうだろう、クマをも倒す7.62ミリ弾がまるで効かないのだから。
「あと2分稼いでくれ! この人の治療が終わったら俺も加わる!」
その言葉に反応した3人が、一斉に銃撃をモザイク達に集中させた。
猛烈な弾幕が、敵に熱線を撃たせまいと襲いかかる。
「悪いな……、しかし驚いたよ。こんなことして後で怒られないか怖くなかったのか?」
“こんなこと”と言うのは、間違いなくボロボロにした高機動車の件だろう。
だが透は、涼しい顔で止血帯を絞った。
「助けられる命がそこにあるのに、サイドミラーを気にするほど繊細じゃありませんよ。配信者は図太くてなんぼですから」
「はっ、さすが……世界中が注目してるだけある」
負傷した隊員を車に乗せると、透はバイクの傍に立てかけられたスマートフォンに目をやった。
配信中となっており、コメント欄がゆっくり流れている。
「えーっと、これ見てる人たち。心配してくれてありがとうね、負傷者はもう安全だから、続きが見たかったら俺たちの配信に来てくれ」
【新海3尉キタ––––––––––––––––!!!!!!!】
【やっぱ自衛隊凄い! よく間に合わせた!!】
【日本最強の英雄キタ、勝ち確じゃん】
微笑んで、配信を切る。
そして硝煙を浴びたスマホを、隊員に渡した。
「自衛隊で俺たち以外がダンジョン配信することは認められてないんで、後で上からお説教かと」
「大丈夫だよ、ウチの嫁の方がよっぽど怖い。今から言い訳でも考えとかないとな……」
頷く透へ、隊員は笑顔を見せた。
「救援に感謝する、アンタらは命の恩人だ。おかげで新婚旅行も行けるし子供の顔も見れる。遺言は……笑い話にでもするかな」
「ぜひそうしてください」
銃声が一層激しくなる。
3人が絶えず銃撃しているので、タワー内を音が跳ね返りまくっていた。
「何アイツら! 攻撃は阻止できるけどこっちも通んない! しかもモザイクがキモい! ホラーよホラー!!」
HK416A5を発砲していた久里浜が、これ以上無いくらいの悪態をつく。
確かに敵は銃弾を透過しており、イマイチ決定打に欠ける。
それでも、透の顔に追い詰められた様子は一切無い。
「さて、いっちょ消毒タイムと行こうか」
「おい、何をするつもりだ……?」
後部座席をゴソゴソと弄り出す透に、隊員が不安気に話し掛ける。
そんな彼が見たのは、銃器でも爆弾でも無かった。
「まさか……!」
大きなタンクに繋がったホースが、高圧洗浄機のような外観の発射機に繋がっている。
一見すればお庭の洗浄でも始めるのかと思うそれは、陸上自衛隊普通科が保有する最終兵器。
「さて、雪には効かなかったが……連中に東北の雪原以上の胆力はあるかな?」
透が銃の代わりに装備したのは、かつてコレラ菌に掛かったバナナを処分した実績を持つ兵器。
名を––––『火炎放射器』だった。
「全員発砲しつつ退避! 俺には近づくなよ––––発射ッ!!」
トリガーを引くと、大量の火炎が水のごとくばら撒かれた。
高熱のそれは、ゲル化剤に着火するタイプのもの。
透が薙ぎ払うように放つと、火炎はモザイクたちに引火––––一気に燃え上がらせた。
【ヒャッハー! 汚物は消毒だーッ!!】
【それ言ってみたかっただけだろ】
【自衛隊ってこんなのも持ってたの!? 知らなかった!!】
【こんなのチート過ぎるw、銃弾メタ効果無しwww】
透のリスナーたちが、各々大盛り上がりする。
この火炎放射器は、本来戦闘を目的に導入したものではない。
前述した北日本の豪雪や、菌に侵された物を処理するために購入したのだ。
「おっらあああぁぁあああ!!」
特にこのゲル化剤タイプはとにかくヤバく、なんと水を浴びても炎が消えないという特性を持つ。
透の火炎放射は効いているようで、モザイク達は次々と業火に包まれていった。
「やはり可燃性のガス生命体だったのですね……、偵察隊が情報を持ち帰ってくれて助かりました」
あれだけいたモザイク達は、火炎放射によって噴水広場からあっという間に消え去った。
一部の個体が水に飛び込んだが、それも虚しく燃え尽きる。
透たちが戦闘を終えたと同タイミングで、後ろの通路から中央即応連隊の増援自衛官らがやって来た。
汚物は消毒だ!
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