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第307話・ハッピーエンドに続く道

 

 ––––大浴場。


 ユグドラシル駐屯地のお風呂場は、新設ということもあってかなり充実していた。

 最前線で働く自衛官のため、潤沢な予算でスーパー銭湯並みの設備を作り上げたのだ。


 ある意味、日本人の譲れない意地とも言えるこの場所で––––


「さぁ師匠、まずは体から洗いましょう!」


 身体に白いタオルだけ巻いたテオドールが、やはり頭にエクシリアを乗せながら入場。

 早速洗い場へ向かった。

 彼女の身体は非常に華奢で、幼いながらも今すぐアイドルをやれそうな体系だ。


「す、凄い施設ね……180年以上生きてきたけど、こんなの初めて見たわ」


 一方のエクシリアは、テオドールの頭の上でポカンとしていた。


「ふっ、この程度で驚くなんて……エクシリアもまだまだね」


 後続で入ってきたベルセリオンが、ドヤ顔で言い放つ。

 彼女もまたタオルだけを巻いており、スタイルはテオドールと同レベルだった。


「あら、でもベルさんも最初にここへ入った時は、ふえふえ鳴いてたではありませんか」


 無情にも現実を突き付けたのは、最後に入ってきた四条。

 この中では一番年上と言っても過言ではないが、まだまだ若い20代。

 湿気で濡れた黒髪のショートヘアは輝き、スタイルも筋肉が売りの自衛官とは思えないくらい細い。


「ちょ、ちょっとエリカぁ!! ここはわたしに少しくらい先輩風吹かせてよね!」


 抗議する眷属。

 だが、四条はそんな彼女の性格を知ってて言ったので、特に悪びれはしない。

 ベルセリオンは今となっては有能だが、まだ時折……当時の慢心や驕りが見え隠れしている。


 四条は、そこが少し心配だった。

 彼女は変にイキらなければ、絶対負けないのだから。


「では師匠、ここに座ってください」


 鏡の前にエクシリアを置くと、テオドールも一緒になって頭を洗い始めた。

 どうやらシャンプーの質にかなり感動しているようで、「もっと早く寝返っておけば……」とぼやいている。


「師匠! お背中お流しします!」


「あ、ありがと……」


 髪を洗い終わり、さらには全身をキッチリと弟子に磨いてもらう。

 エクシリアは立場上仕方なかったとしても、愛弟子である彼女を第3エリアで1回、渋谷で1回の計2回殺しかけている。


 本当なら嫌悪されてもおかしくないのに、まだ自分を慕ってくれるテオドールが……存在自体まぶし過ぎる。

 本当に……、


「良い弟子を持ったわね」


「ほえ? 師匠、何か言いましたか?」


「なんでもないわ、ありがとうねテオドール」


「むふふー、師匠のためなら手間でもないですよー」


 いよいよ湯舟に入る。

 先に洗い終わった四条とベルセリオンのところへ、早速お邪魔した。

 この際、テオドールは普通に入ったものの、3頭身のエクシリアにとっては底が深すぎる。


 なので、本人は仰向けになってプカプカと浮かんでいた。


「はぇえ……、気持ちいいわねー」


 浮かびながら、プカプカと周囲を漂う。

 どこかへ行ってしまいそうになったら、テオドールが優しく自分の所へと戻していた。


「でもまぁ、日本に侵攻した日は……まさかこうなるなんて思わなかったわね」


 感慨深そうに呟くベルセリオン。

 同じくと言った様子で、テオドールも口を開いた。


「自分の住んでいた世界が、いかに矮小だったか思い知らされました。透や四条と出会えて本当に良かったです」


 もし何かの拍子で、この3人が仲間になってくれなかったら……。

 もし戦いの果てに、何百人もの自衛官を犠牲に彼女たちを射殺するようなことになっていたら……。


 きっと誰かはそれをバッドエンドと呼ぶだろう。

 今こうして、敵だった子たちと仲良くお風呂に入れているのは、ある意味奇跡のようなものだと四条は思った。


「わたしが一番遅くなっちゃってごめんねー」


 気の抜けた声で、プカプカと浮かぶエクシリアがそう言った。

 そういえば、この子は美味しい物を食べたらどんな鳴き声を出すのだろう。

 いや、そもそも他の2人と違って年長者なので、鳴かないかもしれない。


 少し気になった四条だが……。


「ちょっとテオドール! わたしのアヒル取らないでよね!!」


「お姉ちゃんばっかり独占してズルいもん、わたしもアヒルさん欲しいの」


 湯舟に浮かぶアヒルの玩具を巡って、楽しそうに騒ぐ姉妹。

 それを同じく漂流しながら、微笑ましそうに見守るエクシリア。

 きっとこの光景を見た人は、こう言うだろう。


「ハッピーエンドも近いですかね……」


 一方、そんな楽しそうなお風呂場から離れた区画では……眩い閃光と共に、”激しい炸裂音”が響いていた。

そもそもテオが仲間になってくれなかったら、リヴァイアサンで詰んでました……。

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― 新着の感想 ―
うちにも一人、エクチーたんが欲しい。癒しが欲しい。
( ゜∀゜)o彡。更新乙!( ゜∀゜)o彡。更新乙! ああ守りたい、この光景・・・。 と思ってたら、最後に不穏な状況が(汗)
ああ、そういえばほえドールちゃんがいなければ錠前のリヴァイアサンぱっくんちょもなかったんだっけ。 ほえドール特異点説!?
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