表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/454

第28話・犬猿の仲

 

「おー、こりゃ凄い」


 ヘリ部隊の空爆が終わった跡を、LAVの運転席に座った坂本が視界に捉える。


 草っ原は焼け焦げ、辺りはクレーターまみれと化している。

 攻撃ヘリの火力が、いかに凄まじいかを物語っていた。


「おかげで無事通過できそうね、とりあえず難関ポイントは突破かしら」


 結晶が散らばる横を、8両の90式戦車隊が通過。

 次いで89式重装甲車6両が通り過ぎ、最後尾を坂本と久里浜の乗ったLAVが過ぎ去る。


 一通り爆心地を見た坂本は、「ところで」と振り返った。


「なんでお前が僕と一緒なんだよ」


「は? わたしだって本当はごめんだったわよ。でも四条先輩と新海小隊長の指示だったから、不本意かつ仕方なくよ」


 助手席で不機嫌そうに足を組む久里浜に、運転席から坂本が横目で見る。


「––––お前、どうして特戦に入ろうと思ったんだ?」


「いきなり何よ」


「なんとなく聞いただけ、お前はもう知ってるだろうけど……あそこは本当に命懸けだと思う。当然人を殺す任務もあるだろうし。お前根が優しそうだから、いざって時撃てるのかなーって」


 しばらくエンジン音だけが響く。

 ドアの外に目をやっていた久里浜は、相変わらずのトーンで呟いた。


「撃てる撃てないじゃない、命令とあらば“撃つ”のよ」


「フーン、それを言えるだけの覚悟はできてるんだ」


「当然でしょ、わたしは……何としても特戦に戻らなきゃならない。アンタ達には悪いけど、この配信チームはただの腰掛けだから」


「ほぅ」


 言い切った久里浜に、ふと坂本は聞いてみる。


「お前、髪の匂いが昨日と違うけど……ひょっとしてシャンプー変えた?」


「気持ち悪っ! なんでわかんのよ変態!! えぇそうよ、昨日は違うの使ったわよ」


「何使ったか当ててやろうか? 四条2曹から貰った高級なシャンプーだろ。1本何千円もするヤツ」


「ギクっ……」


 表情を歪める久里浜に、坂本は相変わらず前髪もどかさずに続けた。


「あと、お前ここに来た時“エアコン”にえらく感動したらしいじゃん。良いのか? 高級なシャンプーが使えて、暑さに悩まず寝られる環境を……本当に腰掛けにしちゃって」


「むぅ……っ」


「しかもお前、昨日隊長に夜PXへ連れて行って貰っただろ」


「だから何で知ってんのよ!! マジキモい!!」


 喚く久里浜に、彼は堂々と答える。


「隊長のことだし、初実戦のご褒美に1000円くらい好きなお菓子を買ってやったと睨んでる。何を買って貰った?」


「……! クッキーとチョコ。あとアップルジュースだけどっ。なにか悪い!?」


「いいや別に、ただ……特戦の先輩達がお前に持ってた気持ち。少し分かっちゃうのがどうもね」


「どういうことよ!」


「こういうことだよ」


 左手を伸ばした坂本は、2人の間に置いてあったカバンからチョコレートを取り出した。

 結構甘い、久里浜が好みの物だった。


「お前緊張して朝飯全然食ってなかっただろ、これでも齧っとけ」


「あっ、アンタの施しなんて……!!」


「これ、四条2曹に渡されたやつだからね。お前こそ勘違いすんな、要らないなら俺が貰うよ?」


「ッ……!!」


 奪い取るようにチョコレートを取った久里浜は、助手席でモグモグと頬張る。

 どこか、小動物が必死に食べているような雰囲気だった。


「良いよな〜。冷房が自由に使えて……良いシャンプーが貰えて、隊長も先輩も優しくて、みんな頑張ってるお前が可愛いんだろうよ」


「……っ」


「だから腰掛けなんて言葉、使うのは俺の前だけにしとけよ。人の温情を裏切るのは罪だからさ」


「知ってるわよ……それくらい、暴言もアンタにしか吐かない」


「それで頼むわ、おっ––––」


 前方の戦車部隊が、急停車した。

 合わせてブレーキを踏んだLAVも、ガックンと揺れる。


「おい久里浜、サッサとそれ噛み砕いてカメラ持て」


「むぐっ!」


 必死に頬張りながら、大慌てでカメラを取る久里浜。

 坂本達の目の前で、90式戦車の120ミリ戦車砲が発射された。


「撮れ高無いと、2人にどやされる」


 爆音と衝撃波が、車体を大きく揺らす。

 戦闘が始まった––––


久里浜は頑固に頑張ってるところを、横から甘やかしてなんぼです!


「少しでも続きが読みたい」

「面白かった!」

「こういうダンジョン×自衛隊流行れ!」


と思った方はブックマークや感想、そして↓↓↓にある『⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎』を是非『★★★★★』にしてください!!

特に★★★★★評価は本当に励みになります!!! 是非お願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] こいつらくっ付くと見た、テンプレ的にw
[気になる点] いくら新設された基地だからって二人部屋はないかなと。実際の基地で新しい基地である宮古島やらはなんと20人部屋ですよ。しかも19歳で二年目だと、まだ陸士ですよ。レンジャーすらとれませんね…
[良い点] 甘やかし甘やかし、たまにわからせると。 取れ高なら君らの会話が十分満たせると思うの(ニヤニヤ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ