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第243話・テオドールの勝算

ほえほえほえのほえドール。


お菓子で釣れるよほえドール。

いっぱい食べるよほえドール。

ほえほえ鳴くよ、ほえドール。


話のネタが思い浮かばないんで、5秒で考えたつよつよの曲です。

 

 ––––渋谷スカイ、上階。


 ガラス張りが美しいこの高層ビルを舞台に、テオドールとエクシリアは激しく戦闘を繰り広げていた。


「ちょこまかと鬱陶しい!」


「体が小さいからしょうがないです」


 自動ドアを蹴破って突き進むテオドールを、魔法攻撃で周囲を蹴散らしながらエクシリアが追撃する。

 エスカレーター前でターンしたテオドールは、具現化した剣で攻撃すると見せかけて––––


「なっ!?」


 持っていた武器を、エクシリア目掛けて投擲したのだ。

 すぐに弾いたが、その隙に肉薄を許す。


「しまっ!」


「『ショックカノン』!!」


 外付けの魔力により、威力を大幅に上げた必殺技が、エクシリアを紙のように吹っ飛ばした。

 店をいくつもぶち抜き、高級香水店へ突っ込んだ。


 ガラガラと瓦礫が崩れる音へ向かって、軽く手を振る。


「ウィンドウ・ショッピングでもしといてください、良い匂いだからって盗んではダメですよ」


 エスカレーターを駆け上がり、さらに上へ進んでいくテオドール。


「この……! クソガキが!!」


 あまりに余裕な態度の彼女に、エクシリアは激昂していた。

 瓦礫を薙ぎ払い、すぐさま上へ逃げたテオドールを追った。


 いよいよ展望台が近くなってくると、周囲がガラス張りの構造に出くわす。

 陽の当たる室内で、2人の執行者がぶつかり合った。


「その余裕がブラフなのは見えてるのよ、どうしてわざわざ死期を早める真似をするのかしら」


「ほえ? 別にブラフではないんですが……」


 一度距離を取った両者は、刹那の間に一手を思考。

 ––––テオドールの目的は依然不明、ならばまずは様子見もかねて揺さぶりを掛ける。


 非常通報を受けて降りてきた民間人へ、エクシリアは手を向けた。


「『召喚魔法(オーバーロード・オーダー)』!」


 無数の鳥型飛行モンスターが、観光客へ向かって放たれた。

 下された命令はもちろん、鏖殺。


 悲鳴を上げて逃げる民間人の前へ、テオドールがすかさず割って入った。


「だから、なんでいちいち無実の方を……」


 既存の技で全部撃ち落とすのは不可能。

 ならばと、テオドールは4つの赤い魔法陣を並べた。


「『パルスレーザー』!」


 疑似的に4連装となったそれは、赤いレーザー弾の高速連射でエクシリアの召喚獣を迎撃。

 1体残らず殲滅した。


「また妙な技を……!!」


「宇宙戦艦なら必須装備ですよ」


 ここ最近は透の趣味に付き合って、彼の好きな某SFアニメをずっと見ていた。

 魔法において、重要なのは使用者のイメージだ。

 彼女は日本の独特なアニメ文化に影響を受け、独自体系の魔法を開発できていた。


 それもひとえに、テオドールの天才的なセンスの成せる技だった。


 民間人を守り切ったテオドールは、激しい攻防を繰り広げながら最後のエスカレーターへ辿り着く。


 無我夢中で追ってきているエクシリアに、彼女は問いかけた。


「随分と必死ですね、貴女らしくない」


「こっちはもう後がないのよ……、エンデュミオンに全部任すのも癪だしね」


「っということは、この襲撃はダンジョンマスターに知らせてないと?」


「それが––––」


 剣を大きく振りかぶったエクシリアは、思い切り振り下ろした。


「なんだってのよ!!」


 粉砕されるエスカレーター。

 いよいよ屋上の展望台へやってきたテオドールは、風を浴びながら哀れみの目を向けた。


「エクシリアは可哀想ですね」


「…………はぁ?」


 苛立ちがドンドン高まっていく。

 まるで、逆鱗をナイフで突き立てられるような……。


「上司も仲間も信頼せず、たった1人で背負い込む……そんな人間じゃわたしには勝てませんよ?」


「信頼? そんなもの無くたってアンタくらい殺せるわよ」


「そうですか。ちなみにわたしは、透にめちゃくちゃ信頼されてますよ?」


 満面のドヤ顔を見せたテオドールへ、血管破裂寸前のエクシリアが斬り掛かる。


 怒りがとうとう限界点に到達した。

 パワーに任せ、正面から突っ込んでくるエクシリアに……テオドールは笑った。


「引っかかりましたね」


「ッ!!?」


 今になって気づく。

 これまで散々煽ってきたのは、この瞬間を狙ってのこと……!!


 怒りに囚われ、バカ正直に突っ込んでしまったエクシリアはすぐ我に返るが……。


「全く……、透は本当に酷いマスターです」


 直進という最も読みやすい攻撃をかわしたテオドールは、愚痴を漏らしながら両手に魔力をみなぎらせた。


「バカほど強い貴女を相手に1人で戦えなんて、デザート1個じゃ到底釣り合いません」


「ッ……!!! 最初から、これが狙いか!!!」


「えぇ、そのために展望台(ここ)まで連れて来たのですから」


 両手を突き出し、テオドールは「出力最大!!」と叫んだ。


「『2連装(ツイン)・ショックカノン』!!!」


 超至近距離から必殺奥義を食らったエクシリアは、展望台の一部を破壊して高さ230メートルの空中へ放り出された。


 いくら執行者といえど、この高さから落ちれば––––タダでは済まない。



お盆期間中は更新頻度上げようとか思ったり、思わなかったり。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 熱いバトルシーンなのに… エクシリアがどう鳴くかの方が気になって気になって仕方が無い(笑) テオドールは「ほえ」 ベルセリオンは「ふえ」 ではエクシリアは? 私気になります!
[気になる点] 建物のオーナー「修理費用はどこに請求すれば…」 テオのマスター「中国までよろしく」 [一言] 距離を離せば一般人を狙われる。いわば一般人を人質に取られている状態で近接でしか戦えないとい…
[一言] SF魔法なら空だって飛べるはず。何なら魔力レンズを大量に作って空中で太陽光レンチンだって…w
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